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後袈裟丸山
前野 立穂

山行日 2011年10月15日~16日
メンバー (L)鈴木(章)、勝部、中澤、和田、前野(立)

【10月15日(土) 雨から曇り、真夜中雨】
 数日前から2日間とも雨の予想。リーダからのメールは『決行』、さすが三峰。久しぶりに気持ちが高ぶる。予定は庚申ダムから小法師尾根への藪漕ぎ。アプローチ別行動の私は待ち合わせ場所に移動中、アッコさんから携帯電話を受ける。
 「大変なことになった」
 「どうしたの」
 「テントがない」
 「・・・」
 「さらに遅刻・・・」
 「それは了解ー」
 結局、避難小屋泊が可能な登山口からの往復山行となりました。
 沢入(そうり)駅から我が愛車(軽自動車テリオス君)に無理矢理全員が乗り、塔ノ沢の登山口へ移動。標高は820m、8台ぐらいの駐車スペースでしっかりした登山案内板と登山届がある。5分ほどで木橋を渡るが、避難小屋直下の標高1,350mまで沢沿いに道が続く。沢沿いなので迷わないが、道はかなり不明瞭で赤テープを見つけながら何度も沢を渡る。樹林帯の道の中、雨は降ったり止んだりで頭からポタポタ雨水を受けながら、1時間ほどで道の左上部に大岩が現れる。そこには寝釈迦の石像がある。大岩は階段がついていて、登ると岩を削り作られた釈迦があお向けに寝た姿になっている。深々と頭をたれ、両手を合わせ拝む。「我に幸せを・・・南無阿弥陀仏」。5分ほど離れたところには岩の相輪塔もある。少し休み、歩き始めると色づき始めたミズナラ・ダケカンバ・ツツジなどが実に気持ちよく、背中の荷物を忘れさせてくれる。1時間ほどで、沢から少し離れ、カラマツ林の中の平らな草地にナーント何と素晴らしく、実に綺麗な避難小屋を見つける。まさしく我らを待っていてくれたような小屋である。スペースも丁度5人ぐらいで小物置場の棚もある。ローソクまで用意してあり、歩き1分のところには水場がある。
 さっそく勝っちゃんは小屋に対して☆3つと評価しつつ、お酒を取り出す。時刻はまだ午後2時、しかし三峰宴会がはじまる。カラマツの黄葉を眺めながら、美味しい中華まん、カタヤキソバで気分は最高。テントの件も酒のツマミとなり、アッコ姫のお言葉と和田ッチの笑い声と紅顔の美少年の突っ込みで宴会は続く。

【10月16日(日) 雨、曇り、晴れ】
 真夜中に雨音がすごく、これは大変だと思いつつ、身体の要求するままに、しっかり寝てしまう。朝6時発、笹の雨露で下半身を濡らしながら、10分の登りで石がたくさん積まれている賽の河原へ。左に行こうと踏み出すと指導標は逆方向に袈裟丸が、要注意。二子山の分岐を過ぎ、ツヅジの紅葉とダケカンバの黄葉が現れる。「素晴らしい。東山魁夷のようだな」リーダの一言。風景を楽しみながら、途中の電波塔をすぎ30分ほどで小丸山に着く。空は雲が覆い、黒っぽいところもあるが、西の方が少し明るくなってきている。さらに15分歩くとコルの平地に鉄製カマボコ形の避難小屋がある。中は銀マットが敷いてあり、外見より快適そうである。周りはテント場としても良く、焚き火の跡もある。その後小さなピークを巻き込み、笹原にダケカンバがたくさん伸びている中を50分、「まだかな、結構遠いな」と思う頃、前袈裟丸山(1,878m)につく。天気は回復方向で真上の空が西の青空と東の白雲で二分されている。少し水分補給し、すぐに後袈裟へ向かう。“現在登山道の崩壊が進み、通行禁止”の看板があるが、注意しながら北方向に進むと痩せたコルとなる。グラグラする鉄棒に鎖とロープが張ってある。足場に気をつけ通過する。ここからは急勾配、笹のヤブコギとなる。足元も見えない中、笹を手づかみしてエンヤコリャと頑張る。アズマシャクナゲの藪に変わるとすぐ、後袈裟丸山(1,908m)に到着する。山頂名と立派な案内板がある。空は青空に変わり、我らを迎えてくれる。私は久しぶりの三峰山行に満足感いっぱいで、リーダに感謝の気持ち、合掌。時間は午前9時着。20分ほど休憩し、写真を撮り、お腹に補給した後、前袈裟・小丸・賽の河原へと戻る。小丸では360度の青空となり、先ほど登頂した後袈裟丸や予定であった小法師尾根などを確認する。途中カマボコ避難小屋では、空高く舞うイヌワシの姿を見る。袈裟丸の奥深さを感じる。男体山・太郎山さらに日光白根・錫ヶ岳・皇海山などが見られ、以前縦走したとリーダーから聞かされ驚く。宿泊した避難小屋には12時前に着く。勝っちゃんはリーダーの監視の下、小屋掃除をする。そして下山、塔ノ沢では、中ちゃんが堰堤や岩のよどみなどを覗き、25cm級の岩魚を数匹確認する。本当に美味しそう。塔ノ沢の登山口へ13時半到着。
 その後、わたらせ鉄道の水沼駅へ移動、駅の温泉(600円)につかり、駅食堂「わたらせ庵」にて腹ごしらえ。私の横で生ビールをグイッと飲む和田ッチは本当に幸せそう。私はトロッコ電車に乗込む4人をホームで見送る。さようなら、また会う日まで、あー涙。

<袈裟丸山の紹介>
 群馬県桐生市在住の私にとって一押しの山。群馬と栃木の県境に位置する300名山。山頂が二股に分かれ、北に後袈裟丸、南に前袈裟丸。弘法大師にまつわる伝説・信仰の山。シャクナゲ・ツツジが非常に美しいが、アプローチが遠い為、人の少なく地元の愛すべき山(最近はシロヤシオ、アカヤシオの山として人気があり、開花時期は大変な賑わいの様。)道中、賽の河原がある。弘法大師が通りかかると、子供らが鬼に責められ石を積み上げていた。不憫に思い大師は三夜読経し子供らを救う。子供を亡くした人が、この賽の河原で石を積めば子に会えるという。
 これから登頂をご希望の方は、当方まで連絡願います。私が丁寧にご案内致します。

袈裟丸山にて
〈コースタイム〉
【10月15日】 沢入駅(10:15) → 塔ノ沢の登山口(10:40) → 寝釈迦像(11:45) → 避難小屋(13:00)
【10月16日】 避難小屋(6:00) → 賽の河原(6:10) → 分岐(6:30) → 小丸山【小袈裟】 → 前袈裟丸山(8:10) → 後袈裟丸山(8:50) → 前袈裟丸 → 小丸 → 避難小屋(11:50) → 塔ノ沢口(13:30) → 水沼駅(14:30) → わたらせ鉄道トロッコ(15:39発)

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