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鋸岳~甲斐駒ヶ岳
荻原 健一

山行日 2011年12月23日~25日
メンバー (L)荻原、渡辺(守)、星野、和田

【12月23日】
 前夜に中央道原PAで仮眠し、翌朝戸台へ向かう。車を降りると関西から来た3人パーティーがすぐ横で準備していて行き先を聞くと鋸岳とのことだったので挨拶しておく。
 今日は戸台の河原を2時間ほどえっちら歩き角兵衛沢から岩小屋まで登るだけなのでお気楽だ。いくら歩いても雪はほとんどなく結局岩小屋までほぼなし。幕場の脇にようやく10cm程度の雪があるのみだった。一応こんな状況も想定して、1人1Lの水を上げていたが岩小屋のハング下の氷を破壊したところから毎分1Lくらいの微量な水が出ていたので水の確保に支障はなかった。
 駐車場で会った関西の3人パーティーが既にすぐ横に幕を張っていて、一段上がった平らな所に4人組のガイドパーティーが幕を張っていた。この3連休で鋸岳に入るのは我々を含めて3パーティーのようだ。明日は暗い中の出発となるので、ちょっとだけ偵察に行ったが、久々の重荷での縦走で疲れていたので早々にテントに戻って酒宴となる。

【12月24日】
 まだ暗い中ヘッデンを付けて6時に出発する。2時間程で鋸岳の稜線へ。稜線はさすがに風が強いが、クリスマス寒波で風速20m以上という予報ほど強くは感じない。ここからアイゼンとハーネスをつけ、ちょっと登ると第一高点(鋸岳山頂)だ。ここから第二高点までの岩稜帯は高度感があり、両側も切れ落ちて厭らしいと思っていたが、雪が少ないせいか?なんだか全然簡単でちょっと拍子抜けだ。小ギャップは懸垂して少し立った岩壁を登り返し、尾根の背を左からトラバースすると鹿窓に出る。夏道は鹿窓をくぐって反対側のルンゼを下るが、冬はこのまま稜線上を行き第三高点に出る。何故第一の次が第三でその先が第二なのかはよく分からない。
鋸岳(第一高点)山頂にて  第三と第二の間には大ギャップがあり、20m程の懸垂となる。大ギャップの底からは戸台側のルンゼを100mほど下るのだが、ここのガレ場は危険はないが歩きづらい。その後右側からトラバース気味に登り返してようやく第二高点の頂に到着する。更に稜線上に少し下って中ノ川乗越という鞍部に出た。さてここから熊穴沢を下降するか?または甲斐駒まで縦走するか? 時間は13時。天気予報は明日の午前中まではなんとか持ちそうだ。
 この先も雪はそれほど多くなく、有り難いことに先行しているガイドパーティーのトレースもある。ということで当初予定通り甲斐駒を目指すことに。三ツ頭を経て六合目石室に到着し、この中にテントを張って今日の幕場とする。そして今日はクリスマス・イブ!ということで、和田さんがワインやクリスマス料理?を振舞ってくれ大いに盛り上がった。しかしこの石室で先にテントを張っていると思っていたガイドパーティーがいない。貸切なのは有り難いがどこまで行っちゃったのだろう?。後ろの関西パーティーは熊穴沢より下降したようだが。

【12月25日】
 今日も長い一日になる。っていうか一番長いのは確実。なので明るくなると同時に6時30分に出発する。風は強いが十分行動出来る範囲だ。(我々は石室に入っていたので分からなかったが、昨夜は暴風雪となり朝の6時頃にようやくおさまったらしいのでラッキーだった。ちなみに気になっていたガイドパーティーは夜の9時まで歩き甲斐駒を越え駒津峰直下の樹林帯に張ったようです。脱帽・・・)
 トレースはないが深いラッセルはなく雪も軽いので順調に高度を稼ぐ。天気もどんどん回復してきて、時折青空をバックにした甲斐駒山頂が顔を出すこともあり、最高のロケーションの中を我々4人だけで登っていく。
甲斐駒に向かって最後の登り  やがて着いた山頂でも、時折ガスが晴れると登ってきた鋸岳、向かいには仙丈ヶ岳、北岳などがよく見えて歓声が上がる。この後天気は崩れる予定なので、そこそこに下山を開始。
 駒津峰を経て仙水峠あたりから雪も舞い始め、甲斐駒山頂付近は雲に覆われ風も相当強いようだ。北沢峠に着くころは大分体も疲れ、バスに乗りたいところだが勿論この時期はないので体に鞭打って歩き続ける。
 なんとか明るいうちにと河原歩きも飛ばしに飛ばして暗くなり始めた17時にようやく戸台駐車場に到着した。

 強いメンバーのおかげで長い長い縦走を3日間いっぱい使って踏破出来ました。皆さんに感謝です。

甲斐駒山頂にて
〈コースタイム〉
【12月23日】 戸台駐車場(9:00) → 岩小屋(14:00)
【12月24日】 幕場(6:00) → 第一高点(9:00) → 第二高点(12:00) → 六合目石室(16:00)
【12月25日】 六合目石室(6:30) → 甲斐駒ヶ岳(9:00) → 北沢峠(13:00) → 戸台駐車場(17:00)

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