ああ、やっぱり雨。もう何日も前から降ることがわかっていた雨。
花や景色を楽しみに登る山だったら間違いなく延期か中止にしてしまうところだけれど、悪天候でのツェルト泊は、むしろ良い経験になるかもしれないと雨天決行することに。東日原でバスを降り、土砂降りの中、タル沢尾根を目指して出発しました。谷に下る近道が見つからずウロウロしていると、遥か下の方で畑仕事をされていた地元の方がこっちこっちと手招きしてくださり、無事に谷沿いの道へ。真新しい吊り橋の日原橋で対岸に渡り目指すタル沢尾根を探しながら川岸を進みましたが、それらしき入口が見つかりません。モノレール乗場に突き当たって引き返してみたり、鹿よけネットに行く手を阻まれたり右往左往。何故かトップを歩いていた私が一人はぐれて迷子になり、あわや本当にビバークか？という珍事件まで発生し、改めて作業道の錯綜する里山の難しさを思い知ったのでした。
タル沢尾根は取り付いてしまえば迷う箇所もなくわかりやすい道でしたが、さすがバリエーションルート・エキスパートの川崎さんが選んだ尾根だけのことはありました。迷子の私が時間を浪費してしまったうえに、岩稜帯に急登にと手強い箇所が多々あり、おまけに雨をたっぷり含んだ落葉で足元が悪く、将門馬場に辿り着いた時には予定時刻を大幅にすぎていました。
何とか暗くなる前に鷹ノ巣山に着かないとツェルトを張る時間がなくなってしまうと、石尾根に乗ってからは、それまでの遅れを取り戻すべくビュンビュン飛ばし、何とか明るいうちに避難小屋に到着できました。そして、こんな雨の日に山に登っているのは私達くらいだろうと思って小屋の戸を開けると、何と5人グループの先客がいらっしゃりビックリ！ 既に夕食が始まっているようでした。中を覗いた私達に、どうぞどうぞと場所を作ってくださったのですが、いえいえ私たちはツェルト泊の訓練に来たので今夜は外で寝ます。ご心配はいりません。ありがとうございます。と、ちょっぴり痩せ我慢しながら荷物を置かせていただき、早速、ツェルト張り実習にとりかかりました。幸い雨は降ったり止んだりになりましたが風が出て来たので、風向きを考慮して張る場所を選び、重石を探して来たり、支柱にするストックや木の枝の調整をしたり、細引きの結び方をおさらいしたりと、三澤さんの指導のもと、試行錯誤しながら張ってみました。地面から雨水が染み込まないか心配でしたが、それも銀マットで凌ぐことができそうでした。
予想していたよりも上出来のマイ・ベッドルームが完成しホッとしたところで、一旦、避難小屋に戻り、三澤さんが持参してくださったアルファー米ビビンバでの美味しい夕食となりました。
夜も更けて、それではおやすみなさいと、それぞれのツェルトへ。最初はボツボツとダイレクトに当たる雨音が気になり、時折吹く強風に煽られペシャンコにつぶれるのではないかと少し心配でしたが、いつの間にか深い眠りに落ちたようで、明け方、顔にあたった結露のしずくに起こされるまで、快適な一晩を過ごすことができました。