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ハイキング・大ドッケ ~秘密の花園・福寿草~
川崎 恵美子

山行日 2012年3月20日
メンバー (L)川崎、天内、(YM)

 大ドッケ付近の沢に福寿草の大群生地があり「秘密の花園」と呼ばれているらしい-。それを知ってから数年経っていた。
 春になると、その沢の源頭部辺りだけが一面福寿草で真っ黄色に染まり、それはそれは見事だと、実際に行った人から話を聞いたことがあり、いつか自分も絶対に行きたいと、その日が来るのをずっと楽しみにしていた。
 参加希望者は天内さんだけだったが、私の数年来のハイキング仲間の中でもいちばんの健脚者であり地図読み大好きのYMさんが参加してくれることになった。
 西武秩父駅に集合しタクシーで登山口近くまで行くと、なんなんじゃと思うくらい人がいるじゃないですか!それもツアー山行かと思うくらいの人数。「秘密の花園」なのに団体さんが行くなんて許せないと腹立たしく思ってしまった。
 歩き始めるとまもなく廃屋が現れ、その先も登山道は無く踏み跡を拾いながら進んで行くと、今回いちばんの難所らしきところに来た。ルンゼをトラバースして沢に下る~という地点なのだがそこでしばらくうろうろしてしまった。団体さんは後ろから付いてくるし、鹿柵ネットが張り巡らされていて惑わされてしまったのだ。なんとか沢へ降りそこから支尾根を乗っこして奥の沢へと導かれると後はそのまま沢を詰めていけばいいので少しほっとした。先ほどの団体はどこかへ消えてしまったし。静かないい沢で気持ちよく進んでいくのだが想像していた以上に長いし、途中から雪になりだんだん深くなってきたのでズボズボと沈み結構な時間がかかった。
 いったいこの先に本当に「秘密の花園」はあるんだろうかと途中で疑いたくなるくらい、そう簡単には近づけなかった。
 まだかまだかと期待に胸を膨らませながら歩いていると、だんだん明るくなり尾根が近くに見えてきた。きっとあそこだと思ったとき、Yさんが雪の中からにょきにょき出ている紫色っぽいものを見つけた。もちろんそれは福寿草の赤ちゃんだったのだが、そこが秘密の花園の入り口だったのだ。
 今年は寒かったから開花が大分遅れているようだがそれでもすごいすごい!しばらくして目が慣れてきたら自分の周りが全部福寿草だったことに気が付きびっくりするほどだ。誰かが野球場のダイヤモンド位の広さが全部福寿草で真っ黄色だって言っていたけど本当に見事だ。

ようやく福寿草群生地に到着です!福寿草のアップです!綺麗です

 花園の中に入って行きたい衝動に駆られながらも遠くから見るだけにしようねとみんなで節度を守りながらしばし楽しんだ。
 帰路は尾根に上がって大ドッケから峠の尾根を下り、また元の集落へと降り立った。雪道で思ったより時間がかかってしまった。
郷愁漂う地蔵峠  朝に途中で消えた団体には尾根に上がる時にすれ違った。どうやら尾根に上がって反対コースにしたようだ。こんな時間からあの沢を下って帰れるのかと他人事ながら心配になってしまった。
 16時過ぎのバスに間に合わなかったのでタクシーを呼んで金倉橋から西武秩父駅へと向かった。
 「秘密の花園」と言ったって山の本に紹介されたし、アンチョコもあるから簡単に行けるだろうと思ったのは大間違い。読図は結構難しいし危険なトラバースも2回あった。
 誰が最初に見つけたのか?なんであそこだけが真っ黄色の大群落なのか?本当に不思議な空間だ。
 心無い人に踏まれてどんどん少なくなっているという話も聞くので、これから先どうなっていくのか心配だ。
 「秘密の花園」はずっと「秘密の花園」であってほしいと心から願う。

〈コースタイム〉
川俣橋(9:40) → カラ沢 → 二俣 → 福寿草自生地(12:55) → 1,315点(13:25) → 地蔵峠 → 金倉橋(16:20)


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