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雪洞訓練・谷川岳
星野 剛

山行日 2012年3月10日~11日
メンバー (L)星野、佐藤、渡辺(守)、杉本、飯塚、森田(温)、森田(純)、YUKI、永岡、和田、権、大田、橋岡、篠崎

 去年は諸事情から直前に中止せざるを得なかった谷川岳での雪洞訓練。多くの方に参加して頂けたので今回はロープワーク、ビーコン操作の訓練体験も併せて実施した。

【3月10日(土)】
 指導センターまでは除雪が行き届いていたが、奥のゲート先は足跡が見当たらない。一ノ倉沢方面は人が入っていないのだろうか?
 当初は明日のことも考え、荷物を持ったまま少し上まで行く予定であったが、訓練に必要な積雪深が十分に確保されているということで、西黒尾根登山口のすぐ近くの斜面で訓練を開始。二班に分かれて訓練を実施した。

ロープワークの練習 ・雪上でのロープワーク
 まず滑落停止の練習をした後、スタンディングアックスビレイに取り組む。制動の操作を誤ると簡単に飛ばされてしまう。ケガをしないように訓練することが大事。普段は確保する立場にならない人も、どんなことをしているか理解することで自分のするべきことがわかり、パーティーの総合力が上がるのではないかと思う。
 その後、手に余裕分のロープを持ち、肩に回したロープで制動を行う「大阪式」のコンテを練習。雪が堅くてピッケルが十分にささらない場合などは「東京式」よりもこちらの方が有効とのこと。

・ビーコン操作
 各種ビーコンの電源ON/OFF、サーチ/復帰操作、特徴や違いなどについて説明。今回みんなが持ち寄ったビーコンだけで新旧取り混ぜて6種類もあった。(OrtovoxF1/Patroller/3+, PIEPS FREERIDE, BCA Tracker DTS/2)
 それぞれまったく操作方法が異なる。各社自分たちの特徴を出そうとアイデアをひねり出すのは分かるが、困ったものである。入山前には全メンバーそれぞれのビーコンの操作方法の確認が必要だと思う。
 その後ビーコンを埋めて捜索の手順を確認した。20mくらいの範囲では簡単に見つけられてしまうかもしれない。次回はもう少し捜索の範囲を広げて練習してみたい。

・雪洞作成(14:30~16:00)
 寒気が入るのを防ぐため、雪洞の入口を小さめに作ったが、中に2人入れるような状況までなかなかいかず苦戦した。入口は大きめに掘り、後からブロックなどを積んで小さくする方が無理な体勢での作業にならず動きやすく、2人入って作業もでき、結果的に早いと思う。床を水平に作ることは、狭い雪洞で互い違いに寝る場合などを考えると重要。
 ふと見てみると、右隣で作成していた雪洞上の斜面に大きなひびが拡がっている・・・斜面の角度が緩く、雪面と天井が近くなりすぎたのが原因だろうか?残念だが、この雪洞に泊まるのは危険なので別途テントを張ることにする。宴会雪洞にするには、火を焚いても水が落ちてこないよう、天井をきれいに仕上げることも大事。

西黒尾根にて 【3月11日(日)】
 西黒尾根登山組とロープワークの復習組の二手に分かれて行動。今日は行けるところまで行こうということで、好天の中、雪と戯れながら高度を稼いでいく。ラクダのコル近くまで来ると若干登るのに技術が必要になってきた。いい時間となったのでここで引き返すことにする。
 どんどんと雲が広がってくる。午前中の好天は、低気圧に挟まれた状態で起きるいわゆる「疑似好天」であったようだ。見かけの天気に惑わされず、天気図や予報なども見た上で行動の判断をすることが必要だと改めて感じた。

 常々、大人数の訓練においては『動機づけ』の要素を一番に持たせたいと思っている。2日間の訓練で全てを学ぶのは難しい。継続して訓練する必要を感じ、山に行ってテントに早く着いたら「じゃあ少し練習してみようか」などと思ってもらえればいいなと思う。

【初参加者(篠崎さん)の感想】
 初日のビーコン訓練、ロープワーク訓練で、雪山は危険と隣り合わせ、しっかりした知識を身につけなければと、気持ちが引き締まりました。雪洞は、残念ながら潰れてしまって泊ることができませんでしたが、掘っても掘っても雪という世界が新鮮でした。2日目の西黒尾根から見た白毛門や朝日岳、国境稜線はとってもきれいで雪山っていいなって改めて思いました。
 1回の訓練ではまだまだ覚えきれない部分がほとんどですが、これからも訓練に参加して継続的に学び、思いっきり雪山で遊べるようになりたいなと思っています。初対面で初心者の私にも丁寧に暖かくご指導下さった皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。


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