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縦走・袈裟丸山(小法師尾根)
鈴木 章子

山行日 2012年6月2日~3日
メンバー (L)鈴木(章)、山口(順)、中澤、前野(立)、今井

 遂に歩き切ったぜ。思い込んで3回目。
1回目 赤城からの道のりは遠かった。
2回目 なんでテントが無いの?
(でも、それはそれで楽しかったんですが)
 前回、敗退時、ツツジの咲く頃、2泊3日にしようとの案もあったが、勤め人、それは到底無理。考えたあげく、前夜発、仮眠所は前野宅になった。
 東川口駅 22時集合。山口氏の車で桐生を目指す。
 桐生は近いはずなのに、何だか遠かった。前野氏との合流にこんなに時間が掛るとは。24時過ぎに、やっと前野宅に到着。到着を待つように和世さんの手料理、ビールが並ぶ。私はこんな時間とても食べられないが、気持ちは嬉しい。何とか1時まで全員お付き合いして横になった。蛙の声が耳に程良い?

 翌朝4時半起床、な、なんと既に、朝食と弁当が作られていた。気持ちは嬉しいけど、そんなに胃も荷物も持てない。何とかテーブルに並んだものを半分まで減らし出発に至った。車は2台。6時出発。和世さん、お世話になりました。
 途中、塔の沢コース登山口に1台車を置き、取り付きの庚申ダムに向かった。今日の天気は何とか持ちそう。爽やかな空気だ。明日が心配だけれど。
 庚申ダムに車を置き、全員共同水2Lをザックに入れ、7:45出発。左に少し行ったところにガードレールがあり、水の流れていない沢が取り付き。基本的に、この沢を詰めれば自然に左側の尾根上に登り詰められるが、籔っぽいのを避けるため、強引に左側の尾根に這い上がった。上った処が、945m辺り。
 尾根上にはハッキリとした道形があり、全員、ホッ。尾根上は、風もさわやかで暑さを感じさせない。高度を上げるにつれ、カラマツ林、ツツジ、笹と変化していく。カラマツの葉は生まれて間もない。黄緑色で美味しそう。一生懸命背伸びしているのが、アキチャンみたいで可愛い?
 登り始めて、2時間ほどで草刈スキー場の看板に出会う。スキー場に適した斜面だが、何時利用されていたのか、周りの木は何メーターにも成長している。
 この尾根は、話題を沢山提供してくれそうな気がする。
 巣神山山頂は分岐になっているようだが、一体どこに行くのかわからなかった。
 巣神山~雨降沢ノ頭~小法師岳と続く尾根は、広く、高い木も少なく、さしずめツツジ街道と言っても過言ではない。
飽きることのない花回廊  カラマツが終わると、山ツツジ、ミツバツツジ、サラサドウダン、シロヤシオ、山桜と目を飽きさせることはない。シャッターを押すたびに足が止まる。笹藪も膝までで気にならない。ゆったりした登り、空は青い、最高の登山日和なのに、中澤氏と前野氏2人、脚がつる。肩が痛いと大騒ぎ。この調子では、本日の幕場予定地迄は遠いかも。
 雨降沢ノ頭手前の鞍部で、草むらに隠れていたバンビに遭遇。生後10日くらいの大きさ。大人3人にみられて緊張していた。やはり、子供は可愛い。
 1,526m~小法師岳迄はカヤトに変わる。小法師岳手前にある2つのピークは、ドジョウのような太いワラビがびっしり。喉から手が出そう。これから先のことを考え、グッと我慢。
小法師岳から笹薮へ  小法師岳でゆっくり休息を取り、笹藪へと突撃。ここ処から先、しばらくは背丈ほどの笹藪になる。登山道もハッキリしなくなる。籔は30分ほどで抜けられたが体力を要した。1,690Pまでは、腰までの笹藪。他は籔を避けながら1,784Pを通過。山はそろそろシャクナゲの花に変わってきた。1,784P を過ぎてから幕場探しになったが、地図で見るより、この尾根は広い。幕場に困ることはなかった。
 4~5人と2~3人テントを持参して2張りしたが、一つは荷物置場になってしまった。無雪期は、5人ならテント1つとツェルトでよいのでは。
 後は、楽しい楽しい夕食と、前野家のぬか漬けをつまみに20時までくつろいだ。
 明日、早朝出発と意気込む今井さん、そんなことは当然と大イビキの中澤氏。今日の出来事は夢のように、全員ぐっすり眠っていた。

 翌朝、3時半起床、身支度は思いの外、早く進み5時には出発できた。今日は、いよいよ主尾根と合流。スタートから腰までの笹藪。稜線合流近くは、傾斜もきつくなり、荷物が軽くなったとはいえ、きつかった。
 5時半合流点。大きなシラビソの木に小法師尾根の指道標と共に、那智・清岸渡寺の木札が打ちつけられていた(小法師岳・巣神山にもあった)。ここもまた修験者道か。
 主尾根はこれまでの景色とは一変。シャクナゲとシラビソに変わり、ツツジは1本も無い。天気の下り坂も重なり、全体に暗い感じがする。
 登山道には籔が掛り注意が必要。前回、ここを通過したのは積雪期。植相は全く分からなかった。
 1つずつ小さなピークを越えて行くと、シャクナゲに絡まかれた『袈裟丸山』の看板。ヤレヤレ奥袈裟だ。  その後も、シャクナゲと闘いながら暗い登山道を行く。登山道は細いけれど、30分も歩くと、それなりの幕場適地に出会う。地図上から受ける印象より尾根は広い。
 3つほどピークを越えた辺りで、今回初めて人に出会う。彼らは袈裟丸の看板迄行くのだろうか。シャクナゲを漕ぎ2時間。ようやく、後袈裟到着。ここからは、知れた道。登山道も整備されている。全員大休止。高曇りだが展望は良い。皇海山、鋸岳、男体山・・・。残念なことに、我々が歩いた小法師尾根にはガスが掛っていた。
 後袈裟から一気に賽ノ河原を目指す。登りに悲鳴を上げていた中澤氏が何故かトップ。引力のせいだろうか?不思議?
 時間的なせいだろうか、登ってくる人が多い。天気は、少しずつ下り坂。小丸に着いた時は、ガスの中だった。
 ツツジのトンネルを期待していたが、アカヤシオは既に終わっていた。所々に咲く、シロヤシオ、ミツバツツジを見ながらの下山。突然、賽ノ河原から大粒の雨(これも修行か?)。急いで小屋迄掛け下り雨宿りをした。30分程待ったが、止みそうもないので再出発。雨は益々大粒に。途中、寝釈迦で10分程雨の中休憩。今井さんと山口氏が寝釈迦を見学に。
 後は、沢が増水する前にと一気に降る。雨は滝のように降る。車にも乗れない状態。前野氏の車に、ずぶ濡れの全員が乗り、沢入駅で3人が下車、山口氏と前野氏が庚申ダムに車の回収に向かってくれた。
 合流後、お馴染になった水沼駅温泉へ。走り出して10分ほどで、あれほど苦しめられた雨はすっかり上っていた。
 温泉では、本日は露天風呂を選んだが、洗い場では風が寒かった。
 入浴後、前野氏と別れ、一路、東京へ。高速道路は渋滞もなく、一気に東川口駅。早い帰りに、これもまた、ほくほく気分の山行でした。

〈コースタイム〉
【6月2日】 庚申ダム(7:45) → 945m(8:50) → 草刈スキー場跡(9:55) → 巣神山(10:30) → 雨降沢ノ頭、1,425P → 小法師岳(12:30~13:00) → 1,784P → 鞍部(16:00)[幕営]
【6月3日】 幕場(5:00) → 主尾根合流(5:30~50) → 奥袈裟(6:15) → 後袈裟(8:10~30) → 前袈裟(8:55) → 上ノ小屋(9:45) → 小丸(20:10) → 賽の河原(11:00) → 下ノ小屋(11:05~30) → 寝釈迦 → 登山口(12:45) → 駐車場(13:00) → 水沼駅温泉

〈諸経費〉
水沼駅温泉センター:600円


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