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沢登り・釜ノ沢西俣
星野 剛

山行日 2012年8月25日~26日
メンバー (L)星野、佐藤、吉田(貞)、内藤、別所、成田、江島、杉本、内田、飯塚

【8月25日(土)】
 釜ノ沢に来る人は、ほとんどが両門ノ滝から甲武信小屋に突き上げる東俣に行ってしまい、西俣を辿る人は少ない。2日目の登山道を帰る行程が東俣と比べ非常に長いことが大きな理由だろう。しかし、その「人が来ない」ところが西俣の素晴らしい所、と感じるのは自分だけだろうか。
両門ノ滝で記念撮影  鶏冠谷出合の先から左岸の巻き道を登っていく(前回来た時には間違えてここから遡行を始めてしまったが、泳ぎあり、ジャンプありのパワー系の楽しいコースだった。体力の余っている人にはお勧めだ)。しかし巻き道もところどころで崩壊しており、ルートを探すのも一苦労である。無理して早めに上流側へトラバースしようとせず、いったん上を目指して行くのが安全なようだ。
 山ノ神手前から入渓。毎夏の豪雨の影響なのか、乙女ノ沢など左右から流れこんでくるナメ滝の滝壺部分に岩が流れ込んでいる気がする。それでも天気にも恵まれ、久々に見ることのできた青空と緑の木々と白い岩のコントラスト。それを大きなスケールで見せてくれるのが東沢の初日の醍醐味である。
 金山沢との分岐を右に分かれ、大きくカーブするとすぐに魚止ノ滝が現れる。今回の行程中、唯一お助け紐を使用したのがここ。技術的には初心者でも十分来られる沢である。
 両門ノ滝は左側を大きく巻いて滝上へ。倒木が多く本当に合っているのか不安になるが、よく見ると踏み跡が残っている。岩場の中間部で右に巻いて滝の途中に出る道は間違いなので注意。
 ここから西俣が始まるが、岩の様子が変わり足元が滑りやすくなる。しばらく進むと右側に広い幕場がある。10人が横に並んで寝られる場所を見つけ設営。水場も近く薪の確保も容易である。

【8月26日(日)】
 登り出すとすぐに大きな倒木が行く手に立ちはだかる。以前訪れたときと比べ、大きく渓相が変わってしまっている気がする。小滝がいくつも続いているはずであるが、左右の山から倒れた大きな木々が流れ込み、これに石がひっかかることによって河が埋まってしまっているのだ。もう終わりかなと若干意気消沈しながら進んでいくが、それでも源流に近くなると、再度滝が姿を現してくれた。冷たい水やナメ滝、若干のクライミング気分も味わいながら沢を詰めていく。
2日目も滝が続く  二俣を左側に分かれ、滝を1つ登った後右側の藪に取り付く。ここから沢を忠実に詰めていくルートもあり、傾斜は緩いのだろうが、倒木をまたいでくぐっての繰り返しと聞くのであまり魅力を感じず、尾根へ詰める方を選択。沢の詰めとはいえ、藪こぎや手を使う登りなどはほとんど無くミズシから南に伸びる枝尾根に到着。お楽しみはここまで。西俣の本当につらいのはここから甲武信岳を越えていく、その帰路の長さだ。駐車場まで6時間強、途中8月末とはいえまだ残る残暑の厳しさにふらふらになりながら下山。

 人数が多く、コースも長く2日間を時間一杯使ってしまった山行だったが、冷遇されがちな西俣の素晴らしさを一人でも多くの人に体験して欲しかった。
 こんなことを書くのはなんなのだが、西俣の魅力は行ったことのある人だけが分かってくれればいい。いつまでもひっそりとした沢、そして幕場であって欲しいと願っている。

〈コースタイム〉
【8月25日(土)】 西沢渓谷駐車場(7:05) → 東沢分岐少し先で沢装備(7:45~8:15) → 山ノ神手前にて入渓(9:35) → 釜ノ沢出合(11:50) → 両門ノ滝(13:10~35) → 幕営地(14:20)
【8月26日(日)】 幕営地発(7:30) → 奥の二俣(9:00) → 枝尾根取付(10:20) → 枝尾根稜線(11:25) → ミズシ(12:10) → 甲武信岳(12:50~13:15) → 戸渡尾根分岐(14:05) → 徳ちゃん新道分岐(15:45) → 西沢渓谷駐車場(18:05)

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