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沢登り・奥秩父 滝川本流 ~ 古礼沢
荻原 健一

山行日 2012年7月7日~8日
メンバー (L)荻原、和田、永田、山蔦

 当初は同じ奥秩父の大洞川・井戸沢を遡行する予定であったが、大洞川林道が通行止めとのこと。メンバーの和田さんに相談して、この沢へ変更した。

【7月6日】
 22:20池袋発の電車に乗ろうとするがハプニングがあって全員乗れず。今日は飯能までとなるが、神の思し召しもあり快適な仮眠場所を確保。雨がずっと降っていたので有り難い。

【7月7日】
 三峰口駅まで電車で移動し、タクシーで国道140号線を進み天狗岩トンネル手前で下車。雨は止んでおりモチベーションは上がってくる。
出だしから水量タップリ  ここから沢装備を付けて滝川本流へ下降する。かなり急傾斜で懸垂も交えて沢床に到着。豆焼沢との分岐よりちょっとだけ豆焼沢に入ったところに降りたので、少し戻って滝川本流に入り直す。水量はそれなりにある感じ。腰や胸まで浸かるような徒渉やへつりを繰り返しながら進む。沢は蛇行しており、やはり時間がかかる。途中足がつかないようなところも何箇所か出てくる。雨も降ってきて寒くてしょうがないが、これも沢登りのうちだ。
 疲れてきたころようやく水量比1:1の槙ノ沢へ到着。雨も強くなって水も濁ってきていたが、槙ノ沢を分けた頃から水の濁りが収まってきてほっとする。ナメの綺麗な箱淵を右からちょっと高巻き少し行くと対岸に釣橋小屋が見える。小屋は半壊状態で使えそうにはない。熊穴沢を分けて更に進む。
 長いゴルジュに突っ込むべきか?もはや体力的にも時間的にも余裕がないので止めようか?等とぶつぶつ考えながら歩いていたら、ゴルジュ手前におあつらえ向きな素敵な幕場が広がり、更に先行パーティーが幕を張って焚火をしている光景が目に入ってくる。吸い寄せられるように我々もここを幕場とすることに決定。彼らは沢ではなく踏み跡を使って釣橋小屋経由でここまで来たようだ。ちなみに踏み跡はかなり悪いとのこと。
 早速焚火を楽しむが、途中土砂降りとなり焚火は中止。疲れていたのでそのままタ―プに潜り込んでさっさと寝てしまった。

【7月8日】
 昨日も結構長かったが、今日はそんなものでは済まないので3:30に起床する。出発するとすぐにゴルジュに入る。ナメ滝と釜、小滝が連続し綺麗だが時間はかかる。途中泳ぐところがあってロープを出すが、1名ザックを流されてしまうというハプニングも起こる。
ナメと釜の連続  無事回収後、ゴルジュの出口で高巻きと懸垂をして川原に出る。その後またゴルジュになり8m滝は右からロープを出して越える。すぐ上の4m滝は左から登るが、そのうえの左の側壁はツルツルで手がかりがない。しょうがないので今にも切れそうなFIXに体重をかけて通過するが、FIXがなければ通過不可能だった。通過するとすかさず左からブドウ沢が入ってくる。更にFIXを使ったトラバースを1箇所通過してようやく古礼沢・水晶谷の出合となる。
 この出合には丁度よい幕場が1箇所あり、出来れば初日でここまで入れると2日目が楽だが、ここまで5時間近くかかっており、昨日の状態だと夜の21時を過ぎてしまうのでとても無理だった。
 出合から古礼沢を遡行する。F1の10mは左から登れるようだが、時間もないので左からさっさと巻く。200mのナメ滝を過ぎるとF4の6段30m滝が現れる。トポ図によると快適に直登出来るとあるが、とても登れそうにない。やはり連日の雨で水量はかなり多いようだ。しょうがないので左から高巻いて懸垂で越えたが、足場が悪くだいぶ時間がかかってしまった。この後は特段記憶に残るような所もなくただ歩くだけ。標高1,950mあたりより右側に延びるルンゼ地形を詰め狙い通り稜線の最低鞍部に出る。
 ここから登山道で雁坂峠に出て広瀬方面へ下る。雁坂トンネルの料金所駐車場で携帯電話が通じたので、ここからタクシーを呼び終了となる。帰りに洗っても洗ってもぬるぬる感が残る塩山温泉に入り、ビールと食事をたらふく胃袋に詰め込み、電車に乗ったらバタンキューで全員寝てしまった。
 奥秩父の沢は久しぶりだったが、相変わらず山は深く静かに迎えてくれた。どっぷり山と水に浸かった2日間、体力の揃ったメンバー4名で充実の沢を楽しむことが出来た。

〈コースタイム〉
【7月7日】 天狗岩トンネル(8:00) → ゴルジュ手前の幕場(16:00)
【7月8日】 幕場(5:30) → 古礼沢・水晶谷出合(10:30) → 稜線(15:30) → 雁坂峠(16:40) → 雁坂トンネルの料金所駐車場(19:00)

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