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岩稜登り・前穂高岳北尾根
大田 雅子

山行日 2012年9月15日~17日
メンバー (L)星野、大田

 15日は大勢の登山者と一緒に涸沢へ。着後テントを張って、雨が降りそうだったので、急いで5・6のコルの取付きを確認に行く。Fさんの積んだケルンが見えて大岩には「5・6のコル→」と書いてあるのも見えた。明るいとよくわかるが、早朝の暗いうちに出発するのでケルンがたよりになった。雪はなくなっている。
 戻って来て小屋のテラスでおでんをつまみに1杯やり、翌朝に備えて19時就寝する。
 16日は3時起床。起きて外を見ると星が出ていて、すでに5・6のコルを目指すヘッデンの光が見える。急いで朝食をとり4時出発。前に1パーティ見えるが、VI峰から登るようで左にそれていった。取付きに着くとほの明るくなってきて夏道がずっと続いているのがわかる。ここからV峰を見上げるとヘッデンの明かりがちらほら見えて、皆明るくなる前に登り始めているようだ。5・6のコルに朝日とともに到着。奥又白池にテントが見えた。先行して見えていたVI峰経由の3人組が少し前に到着していたが、すぐにV峰を登り始めた。我々はここで装備を着けてから出発。V峰は正面を直登してから茂みを縫って進む。後から1人で来ている人が追いついて来たので、先に行ってもらう。登りきるとIV峰がすぐに立ちはだかる。IV峰は中間に大岩が見えてそこからルートが左右に分かれている。左のトラバースルートを行く人が多いようだが、右を登っている人も見え、登りやすそうだったので右を行くことにした。大きな岩をぐいぐい登って行く。時々動きそうな岩もあるので慎重に進むと、2つ前のパーティが左ルートから上がってきたのと出くわす。穂先を左から回り込むと3・4のコルが下に見え、3組待っていた。1組目はすぐに見えなくなり、2組目がセットを始めた。3組目は4人1パーティで登るらしい。待っているうちに後続が次々やってきて5、6パーティ、20人近い人が集まりコルは人でいっぱいになった。
 1時間以上待ってようやく順番が廻ってきた。4ピッチあるので最初のピッチを行かせてもらう。ちょっと登ったところに開始点がある。情報によるとやや左寄りに登って行くと支点に導かれるように自然に登れるとあったので、支点を見ながら登るがどうやら直登気味に来てしまったようで、スラブの岩を登ることができず、右側に回り込んで正面目に登ると小さなテラスに着いた。前のパーティの人がやや下がった左側でビレイしていた。どうやら一般ルートでないところを登ってしまったらしい。少し待ってビレイ点が空き、下がってセットするがロープが引けなくなってしまったので、テラスに戻り肩がらみでビレイした。2ピッチ目は正面右側のガリーを星野くんがスムーズに行く。3ピッチ目は手がかりのあるクラック、4ピッチ目もルートが明確にわかり快適だった。
前穂高岳北尾根ハイライトIII峰  核心が終わり、II峰はナイフリッジだがロープなしで行けそうなので、ロープを使っている前のパーティの人を抜かせてもらった。そこから7、8m懸垂で降りて、尾根上を進むと山頂に着いた。2人とも初めての前穂を北尾根から登ることができた。山頂は結構な人で賑わっていた。一休みして下山は吊り尾根からこれまた初の奥穂高経由ザイデングラードを下る。吊り尾根は随分下りきってから登るようで、途中から稜線を歩いてみたが、それほど時間の短縮にはならなかった。奥穂に着きジャンダルムなど眺めてから下るが、さすがに晴天の3連休の穂高は大混雑で穂高岳山荘へのハシゴでは30分以上の渋滞待ちがあった。最後はザイデングラードを下り涸沢に戻り、またテラスで気分よく祝杯をあげた。
 日程的に余裕があり、天候に恵まれ、良いタイミングでパートナーにも恵まれ、ルートを検討する楽しみを味わうことができました。

〈コースタイム〉
涸沢(4:05) → 5・6のコル取付き(4:30) → 5・6のコル(5:20~30) → V峰(6:00~10) → IV峰(7:00) → 3・4のコル(7:05~8:20) → III峰(10:30) → II峰(10:55) → 前穂高岳【I峰】(11:05~35) → 奥穂高岳(13:40~50) → 穂高岳山荘(14:55~15:10) → 涸沢(16:40)


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