トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ340号目次

沢登り・滝川豆焼沢
金子 隆雄

山行日 2012年6月9日~10日
メンバー (L)金子、小幡、藤井、紺野、森田(温)、杉本、内田、永岡

 東所沢駅23:30に集合したときにはもう雨が降り始めていた。関東も梅雨入りしたとか、するとかニュースで言っていたのでしょうがないか。当初の集合時間は22:30だったのだが、車を出してくれることになっているKGが仕事でトラブっているらしく、缶詰め状態で大幅に遅れるとの連絡が入ったので急遽1時間遅らせたのだった。
 高速道路は使わずに国道299号線で秩父へ向かった。出合の丘駐車場でテントを張って仮眠するつもりでいたのだが雨が降っているので濡れずに済む所はないかと考えた結果、滝沢ダム下のループ橋の途中にある駐車場の東屋に泊まることにした。

【6月9日 曇り夕方雨】
 昨夜は遅く(と言うか朝早くと言ったほうがよいかも)まで飲んでいて寝たのが遅かったので皆なかなか起き出してこない。テントの中でまだ寝ている連中をたたき起こして出合の丘駐車場へ向かう。幸いにも雨は止んでいる。
 出合の丘駐車場の建物には雨に濡れずに寝られる場所があり、昨夜はここまで来ればよかった。小幡は「前に来たときにここに泊まった」と言う、知ってたなら言って欲しかったなぁ。駐車場には我々と同じく豆焼沢へ入るという4人パーティがいて準備中だった。
 我々もここで沢装備に身を固めていざ出発。下降場所がわからずウロウロしている4人パーティを尻目にヘリポート脇から豆焼沢目掛けてワサビ沢右岸の斜面を下る。特に踏み跡などないが芝生のような斜面なので問題ない。ヘリポートの右端の方からは踏み跡が続いているが、これはトオの滝下辺りまで続いているので下流部を割愛したい場合はこれを辿るとよい。10分ほどで豆焼沢へ降り立った所は河原状に開けた所だった。我々に続いて4人パーティが降りてきて先行して行った。
最初に出てくる6m滝をロープ使用で登る  豆焼沢は河原を少し行くと直ぐにゴルジュが始まる。ゴルジュ内の6m滝を先行パーティが登り終えようとしているところだった。この滝はのっぺりとした左壁を登るのだがちょっと嫌らしい。小幡に登ってもらってロープを垂らしてもらう。滝の落口を渡る所は岩が被さり気味なので後ろに反り返るような感じになり水量が多い時はかなり危険だ。今回の水量はそれほど多くはなかったので問題なかったが、前回来たときはロープを出したそうだ。
 更にゴルジュ内を進んで行き左岸よりトウガク沢(地形図ではトーバク沢となっている)が流入してくるとホチの滝 2段25mが大迫力で立ち塞がる。滝の上に目を移すと黄色い色も鮮やかな雁坂大橋が目に入ってくる。橋桁付近の左岸の太いパイプからすごい勢いで水が吐き出されている。トンネルの水抜きなのだろう。この滝は右岸のザレから捲くことになる。薄い踏み跡が錯綜していて一見どこでも登れそうだが変な所を歩くと土ごと滑り落ちてしまいそうだ。自分は先頭を行っていたのでよくわからなかったが後ろの方で誰か滑り落ちたようだった。だが、落ち口に降り立ったときには全員いたので大したことはなかったのだろう。
ホチの滝 2段25m 豪快だ  この先もまだまだゴルジュが続き、滝もいくつかあるが悪絶な感じはなく良い雰囲気だ。捲く場合もしっかりしたルートができていて高捲きで冷や汗をかかされるというようなことはない。ただ、沢中のいたる所に遺棄された太いワイヤーやらトロッコの車輪などがあり雰囲気を壊している。伐採時に使用したものなのか、道路工事時のものなのかわからないがちゃんと回収できないものなのかなぁ、ととても残念に思う。
 次のポイントは上段、下段ともに釜を持った2段8mのトオの滝だ。登れるのかなと観察しているとKGがさっさと一人先に行ってしまった。下段は釜の右側をへつって簡単に突破。上段は水流右のホールドの少ない所に取付いたが途中で釜にドボンとなる。上段は釜の左側を腰まで浸かって水流の左側に取付く。多少水を被るが見た目よりはホールドも豊富で難しくはない。トオの滝下で道が横断しているはずなのだが気が付かなかった。
 2段8m滝を越えるとゴルジュが終わり沢も開けてくる。右岸に幕場に良さそうな所があったので時間は早いが泊まることにする。標高1,210m付近だ。豆焼沢は日帰りも可能なので急いで先へ進むこともない。先行しているパーティも泊りのようなので先へ進んでも泊まる場所がないかもしれない。
 今回は人数が多いのでタープを2張用意した。タープを張り終えると焚火の準備、薪は豊富にある。昨夜の雨で湿ってあまり燃えないかなと思っていたが、意外とよく燃えて盛大な焚火となった。明るいうちから焚火の周りに陣取って飲み始める。
 酒を飲まない藤井さんは一人釣りに出かけて行った。だいぶ経って戻り、一匹釣れたと言っていたがイワナを入れていた袋に穴が開いていて獲物はどこかへ消えていた。骨酒が飲めるぞと喜んだのも束の間、全員がっかり。
 夕方にぽつぽつと小雨が降ったが本格的には降られずに済んだ。

【6月10日 曇り時々小雨】
 梅雨入りしたわりにはそれほど悪い天気でもなく溯行に支障はなさそうだ。出発して1時間強で二俣到着。更に30分ほどで50m大滝が現れる。幕場を出てからここまで悪場はなかった。2段50mの大滝は素晴らしい迫力だ。この滝に手出しは無用、右岸を捲くことにする。さすがに50mもあると捲くのもかなり高く上がることになる。
50m大滝下にて  大滝に続く2段8m滝も登れず左岸より捲く。この後もゴルジュの中に滝は続くが問題になるようなものはない。沢が右に大きく曲がる所にスダレ状の60mナメ滝が懸かる。右岸からの枝沢にも同じくスダレ状の15mが懸り両門の滝となっている。本流の60m滝は下からは全貌は見えない。傾斜が緩いため快適に登ることができる。
 やがて左岸のガレた涸沢を見送ると苔むした小滝の連続となる。いかにも奥秩父らしい雰囲気の中、快適に登って行く。しかし、水が非常に冷たくなってきている。小滝群が尽きると本流は水が涸れてガレっぽくなる。右岸から入る沢はまだ水流があり小滝が続いている。我々は本流を詰めて藪漕ぎなく登山道へと出た。最後まで滝登りを楽しみたかったら水流のある左の枝沢へ入るといいだろう。時間的に差はなさそうだ。
 沢装備を解いて雁坂小屋へ向かう。小屋は開いていたが営業はしていないようで誰もいなかった。
 雁坂小屋から豆焼橋へ戻るため黒岩尾根上の登山道を下る。この道は起伏が少なくとても歩き易い道でガンガン飛ばして行ける。
 やがて林道へ出るが林道歩きがやけに長く感じる。立派な林道でゲートさえなければ車で入れるのになぁと呟きながらタラタラと豆焼橋を目指した。

〈コースタイム〉
【6月9日】 出合の丘駐車場(10:10) → ホチの滝 (11:30) → 1,210m[幕営](13:55)
【6月10日 幕場発(6:10) → 二俣(7:25) → 50m大滝下(8:00) → 登山道(11:20) → 出合の丘駐車場(14:55)

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ340号目次