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搬出訓練
さとう あきら

実施日 2012年9月30日
メンバー (L)佐藤、星野、平尾、鈴木(章)、吉田(貞)、森田(温)、永岡、軽部

 朝10時に都営新宿線東大島駅に集合。小松川公園の雑木林の斜面にて訓練開始だ。まずはロープを使った引き上げ。登山道からの転落を想定し、1:1法での引き上げを試してみる。とても重く、4、5名でやっと転落者を引き上げることが出来る、という感じだ。次に2:1法にするが、やはり大変だ。
 最後に3:1法にし、自分の体重でぶら下がりながら転落者の引き上げをしてみる。こちらはロープの操作長が3倍となるため長い距離の引き上げとなった場合は大変だが、体力的には楽で、垂壁でも自分一人で何とか引き上げることが出来そうなことを実感出来た。
 台風が接近中で、時どき雨がぱらつく。昼食後練習会場を橋の下に移動し、けが人の移動・搬送法を確認した。
 まずは近距離の移動法として、ドラッグ法による一人での意識なし者の移動、バックストラップ法による一人での意識なし者の背負い方、そしてヒューマンチェーン法による複数名での移動の仕方を体験した。実感したのは、一人でのけが人の移動はとても大変ということだ。
 次に人手がある場合の中距離の搬送法を試してみた。最初にザックとストックを使ってのけが人の背負い搬送。こちらは若干楽だが、やはり短時間で次々と背負い者の交代がないと実際は厳しそうである。
 転落の場合、まず頸椎や背骨の異常を確認することが第一優先となっている。頸椎損傷の場合、背負い搬送では悪化させる可能性があるため、寝かせての搬送が必須だ。今回、ザックを3個連結しての担架、ストックを使った担架を製作し、実際の搬送手順と合わせて確認した。少なくとも6名の人手がないと大変であるが、ヘリでのピックアップ地点までは他に適当な方法はないので覚えておく必要がある。最後に積雪期を想定したテントのフライに包んでのシート搬送を行って終了とした。

 このような訓練はその方法の習得ばかりではなく、一旦事故が発生するといかに救出が大変かを実感してもらう目的もある。その結果、安易に事故は起こせないという抑止力につながり、より安全な登山につながるのだと思う。

ヒューマンチェーン法での移動

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