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岩登り・剱岳 剱尾根(敗退)
荻原 健一

山行日 2012年7月21日~23日
メンバー (L)荻原、渡辺(守)

 最終的にはGWの雪稜ルートとして行きたいのだが、その下見として4年前の2008年夏にこのルートを企画したことがあった。その時は池ノ谷の二俣(剱尾根末端)で、激しい雷雨に見舞われて敗退。その後なかなか機会がなく、あっという間に4年が経ってしまった。今シーズンは全く岩トレをしておらず準備不足で不安を抱えたまま当日を迎えることとなった。

【7月21日】
 前夜に新宿から夜行バスに乗り、朝の6時に富山駅に着く。ここから電鉄富山で上市駅へ。更にタクシーに乗り馬場島へ向かうが、道沿いの早月川が増水して濁流状態で徒渉に一抹の不安を感じる。前夜にかなり激しい雨が降ったようだ。馬場島から白萩川沿いに林道を詰め、池ノ谷へ向かう。雷岩のところで小窓尾根に乗る前に徒渉があるのだが、やはりかなり増水している。4年前は膝下だったが、今回は腿上で流れも速い。なんとか渡りきり小窓尾根に突き上げる。独標1,614mで尾根を乗っ越し池ノ谷へ降りる。このあたりで雨は激しくなり、既に全身びちょびちょで4年前とほぼ同じパターンだ。時間は13時前とだいぶ早いがこれ以上の行動は不可能となり、結局池ノ谷に降りたところでテントを張って本日の行動を終える。

池ノ谷より剱尾根末端 【7月22日】
 昨日は剱尾根のコルEまで行くつもりだったので、既に敗退濃厚だ。しかし2:30に起きてみると一応星が出ている。天気予報は今日も悪いが、一縷の望みをかけて4:30に出発する。出発してすぐに雨が降り始めたので、今日の目的を取付きの偵察&池ノ谷~三ノ窓への縦走に切り替える。二俣から左俣へ入り、R10を探すがよく分からない。ここかな?というルンゼがあったので取り付いてみるが、恐ろしく岩が脆く苦戦する。途中でどうみても違うことが分かり、ハーケンを打って懸垂下降で戻る。もっと下かな?ということになり二俣方面へ戻り再度取り付く。ルンゼというよりは緩やかな斜面という感じだが、こちらも苦労しながら登る。ようやく尾根の上に乗るが、尾根上は激ヤブでどうみてもコルEではない。と、いうことでまたもや戻ることにする。池ノ谷に戻るとますますガスは濃くなり視界は数mくらい。もはや取付きの偵察すら出来る状態ではないので、あきらめて三ノ窓へ向かうことにする。視界がほとんどない中、急な雪渓をひたすら登りようやく三ノ窓に這い上がる。午後は本日も土砂降りとなり、なかなか厳しい一日だったが、何の成果もなかった。

【7月23日】
 3時に起床するが今日も小雨が降っている。モチベーションがあがらないが、予定通り本峰を越えて下山することとする。しかし出発の5時頃には雨が止み、一気に青空となる。最終日は快晴の中、三ノ窓から北方稜線、本峰、室堂の縦走を楽しみ本山行を終えることとなった。剱尾根については何の成果もなかったが、厳しい天候でもあきらめず池ノ谷から本峰を踏めたので、それなりに充実した山行だった。と、いうことにしておこう?

〈コースタイム〉
【7月21日】 馬場島(8:00) → 池ノ谷出合(12:50)
【7月22日】 幕場(4:30) → 二俣(6:30) → R10偵察(7:00~11:00) → 三ノ窓(14:00)
【7月23日】 幕場(5:00) → 室堂(15:30)

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