トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ341号目次

ハイキング・帳付山~天丸山
土肥 雅美

山行日 2012年10月14日
メンバー (L)土肥、藤井、峯川

 13日の夕方、東所沢駅に集合して関越道の本庄児玉ICで降りた。運転してくれた藤井さんは本庄児玉って山っていうよりゴルフっぽいねなんて言っている。早く着いたので道の駅・上野の駐車場でゆっくり鍋宴会をしてから仮眠。ここには栃の木の大切株が鎮座していて専用の屋根まで付けられている。
 翌14日の朝、車で野栗温泉すりばち荘方面へ向かい、さらに林道終点の天丸山登山口まで上っていく。林道は現在工事中でさらに延長されつつあるらしく登山口の先まで伸びている。行き過ぎてしまって戻る。ここに車を置き、天丸山西側の馬道を行く。登り口の「天丸山へ」の道標があらぬ方向を指していたので藤井さんが直していた。この馬道は古からこちら上州側から上武稜線上の「馬道のコル」を越えて武蔵側へとつながっており、人や物が行き交った峠道のひとつだったが、今は武州側は踏み跡も消えてしまったらしい。この道は名前のとおり馬も通れるほど幅も広く傾斜も緩く、今回とても歩きやすかったのだが、数年前のガイド本では、刈り払いも行われず、むしろ天丸山の火事跡の尾根道のほうがまだ歩きやすいとの記述もあった。手入れをされなければこれほど立派な道もあっという間に藪に没することになるのだろう。
 馬道は数本の沢を横切り、水を取れるところもあった。馬道のコル(広河原越)へ出ると「←天丸山・大山 →帳付山」の道標があり、ひと休みして帳付山を目指す。
 すぐに正面を大岩に阻まれ今回は右を巻いて尾根上に復帰したが、左側のほうが楽だったようだ。その後も小岩峰や灌木の薄い藪が続くが踏み跡は何となく続いていた。テープも多い。リンゴちゃんマークのテープもあった。
紅葉が綺麗なルートで帳付山へ 帳付山ピークで記念撮影 岩場も高度感があまりないので怖いところはない。途中できれいなハナイグチを見つけて嬉しかったけど後にも先にもこれひとつだけだった。帳付山は地形図に山名は載っていない。上武国境線が南にほぼ直角に折れる1,619mのピークである。帳付山までは地図で見ても短い距離だが歩いてもほんとにあっという間だった。帳付山の頂上は藪で視界はないが、ピークの西端の平らなところからの展望はなかなか良かった。とくに西側の八ヶ岳の稜線と東側の独特な台形の天丸山とどっしりした大山がなかなかすてき。
 記念撮影後、ようやく色づき始めた秋の気配の中、下りに注意しながら馬道のコルまで戻る。当初の予定では馬道をそのまま戻ってもいいかなと思っていたが、少し物足りなかったので天丸山のピークを踏んで尾根通しに下ることにした。少しきつい登りで天丸山分岐点に着いて休憩。天丸山へはまず少し下りすぐ岩峰につき当たる。ちょうどその時、前方から女性3人のパーティが戻って来たので避けて道を譲り、その後岩峰の左側の踏み跡をたどったがまもなくルンゼに道を遮られてしまった。戻ってあたりを見回すと、先ほどわたしたちが避けた場所のちょうど後ろの岩の凹状のところに太いフィックスロープがぶら下がっていた。ああここだったのね、盲点をつかれちゃったね、と3人続けて登った。
 ロープは使わずに快適に登れる。しばらくで1,505.8mの天丸山ピークだ。紅葉はツツジ類のオレンジ色ぐらいだが、今年はいつまでも暑い日が続いたため秋の気配にほっと気持ちが和んだ。
 天丸山ピークからは左前方は絶壁になっているので右前方の急な藪斜面を左下方に下る。最新のエアリアでは天丸山のこの尾根通しのルートは赤破線さえ消え○危マークが3つも付いているためか歩く人もほとんどいないのだろう。帳付山への道に比べて踏み跡はかなり薄くなっている。
P3を登るみねちゃん 天丸山からの下りは慎重に進む 途中おもなピークは3つ。P3(1,400m)の岩場を登るとピークは広く平らで踏み跡に従い下り始めるが、やっぱり確認しようということになった。
 地図で方角を確かめるとP3から分岐する左側の尾根に引っ張られていることが判明。早く気付いてよかった。少し登り返して右側の尾根を下っていく。正しいほうの尾根への分岐点の下り出しの傾斜が緩いので尾根と認識しづらく、どうしても比較的はっきりした尾根上を進んでしまいがちなのだ。みねちゃんは「久しぶりに頭を使う山だなあ」と楽しそうだ。言うまでもなく尾根のRFは下りが難しく、沢のRFは上りが難しい。なんて偉そうなことを言ってしまったが、実は今回は最初からずっとみねちゃんが先頭を歩いてRFしている。そして最後は藤井さんの鉄壁の守り。真中のわたしは前後をナイトに守られたお姫さま山行ってのはちょっと妄想ですが。
独特な山容の天丸山をP3から望む  さて、さらにP2(1,330m)、P1(1,307m)の岩場を順調に過ぎ、緩い尾根上をたどっていくと突然、道が目の前でバッサリと無くなっている。下を見たら林道切通しの法面ですぐ右下に乗ってきた車が見えた。法面の上の際を右へ下って駐車地点に到着した。帰りは「さわらびの湯」に立ち寄って汗を流した。小粒だけどいろんな要素があっておもしろい山だった。途中1パーティにしか会わず、秋の一日をゆっくり楽しめた。

〈コースタイム〉
天丸山登山口(7:40) → 馬道のコル(8:40~50) → 帳付山(10:30~50) → 馬道のコル(11:45) → 天丸山分岐(11:55~12:20) → 天丸山(12:50~13:15) → P3(13:45) → P2(14:15) → P1(14:30) → 天丸山登山口(14:50)


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ341号目次