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沢登り・中津川二十女沢
内藤 美智子

山行日 2012年11月11日
メンバー (L)内藤、森田(温)、森田(純)

 入会6年にして初めて例会山行の計画を出した。二十女沢(はたちがさわ)はヒルの多い東丹沢にあるので11月が適期、入山口と下山口が別なので電車とバス利用が便利ということで選んだ。
 計画を出したはいいけれど、なかなか参加希望者が現れなかった。誰も参加してくれず計画倒れは、さびしいと思っていたところ、森田さんと純子さんが参加してくれることになり、参加者なしで中止という事態は免れた。
 11日の天気予報が悪くて2~3日前はやきもきした。前日には午前中くらいは降らずに済みそうという予報になったので予定通りに行くことにした。
 本厚木から宮ヶ瀬行きのバスに乗り、三叉路で下車。バス停から左折して丹沢山の登山口を通り過ぎる。同じバス停で下車した登山者は皆ここから登ったようだ。左に宮ヶ瀬湖を見ながら30分ほど進むと湖にかかる橋がある。橋の入り口にはフェンスがあって入れないように見える。しかし少し先のフェンスが途切れるところでガードレールをまたぎ、まわりこんで中に入ることができる。フェンスの裏には踏み跡がついている。おそらく釣り人がいつも通っているのだろう。私たちが橋を渡った時にも釣り人とすれ違った。
 橋を渡って戻るように林道を進み、15分ほどで二十女沢に架かる橋がある。その橋を渡って右に曲がり、二十女沢左岸林道に入る。林道には落石の跡が多い。30分くらい登ってカーブミラーがあるところから二十女沢に下りる。
 カーブミラーの後ろが尾根状になっていて下りやすそうなのだが、シカ除けフェンスがあって入れない。その左側の急な所を下る。杉林の中は少しゆるくなっていて無事に沢に下ることができた。
 靴を履き替えて遡行開始。水量は少なく、足を少し濡らすくらいで遡行できそうだ。小滝を越え、右からの支流を過ぎる。その奥はゴルジュ状になっているが問題なく通過。正面に、ほとんど水のないオオユナラノ沢が見え、本流は右に曲がる。
 本流出合の小滝を登るとゴルジュの中に滝が3段見える。1番奥の滝が3m CS滝のようだ。この滝を巻くには手前の枝沢から登るのが良いらしいが、とりあえず近くまで行ってみることにする。手前2つの小滝は簡単に越えられた。
 ガイドブックには「CS滝は右から登る」とあるが、難しそう。森田さんが取り付いてみるが、やはり行き詰ってしまう。戻ってくるのも一苦労な様子。見ているこちらもハラハラしたが、無事戻ってこられた。
 巻くために、さっき登った2つの小滝を戻るのは面倒と思い、よくよく見るとそこから右の斜面が何とか登れそう。左岸の枝尾根まで慎重に登る。枝尾根上には長めのシュリンゲが放置してあった。落し物か?バックアップのための残置だろうか?太めの立ち木にロープをかけて懸垂下降する。30mロープでは短く、下まで届かない。1回下りれば傾斜が緩んで歩いて下りられるかと思ったが、やはり危なそうなので2回の懸垂下降となった。下りたところはCS滝のすぐ上。その先もゴルジュ状が続き、いくつか小滝を越える。黄葉も見られ、なかなかきれいなところだ。8m滝手前の沢が開けたところで休憩する。休む時にはザックを乾いたところに置くなど多少気を使っていたけれど、もうヒルはいないだろうとタカをくくってもいた。動いているときは全く寒さを感じないけれど休むと少し寒い。
 「8mの滝は左から巻く」とあるが、右からのほうが小さく短時間で巻けそうに見える。手前の3mの滝を越えてから右の急斜面を登り、枯れ葉の積もったバンドをトラバースする。滝直前に1か所バンドが細くなったところがあり、そこだけは緊張した。後続には念のため、お助けひもを出した。
 8mの滝上で沢は左に曲がり、左岸からの枝沢を見た後、今度は右に曲がる。右に曲がるところには4×6mの滝。傾斜は緩いが滑りやすそうなので慎重に登る。ナメが続き、奥に2段8m滝が見えてくる。ここはガイドブック通りに左の泥斜面を登って巻く。これで主な滝は終わりだ。
 しばらく進むと炭焼き釜跡のある二俣となる。ここですでに水は見えない。右俣に入ると、わずかな流水が現れたり、消えたり。3mトイ状滝は一見ツルっとして滑りやすそうだが、登ってみると問題なく簡単に越えられた。最後の滝も3m。この滝の上で沢の幅が非常に狭くなる。廊下のようなところ。流水は完全になくなった。左岸に4m枯滝を見るところで沢幅が広くなったので休憩する。ここでは枯れ沢になってもいたし、すっかりヒルのことは忘れていた。
三俣付近から沢を振り返る  沢をつめていくと尖った三角の岩が現れる。わたしは岩の右側を登ったが、脆くてグズグズだった。森田さん、純子さんは左側を登った。三角岩を過ぎ、三俣になる。1番ゆるそうな左俣を登る。しかしすぐに急になり、ブッシュもないので、とても登りにくい。落石も起こしやすいので3人バラバラになって登る。わたしは途中から急でも木のある右の尾根に進んだ。木につかまって強引に登っていくとトラバースする踏み跡があった。それを左にたどって鍋嵐(817mのピーク)直下の稜線に出ることができた。森田さんと純子さんは途中で行き詰っていたのでロープをおろして稜線まで登ってもらった。
 ちょうどこの頃から雨が降り出したので靴もはき替えずに、すぐに下山する。稜線は登山道ではないが、しっかりとした踏み跡があり、途中一か所ロープが付いているところもあり、何の不安もなく登山道に出ることができる。登山道まで25分、そこから5~6分で物見峠。物見峠から煤ヶ谷バス停までは1時間ほどだった。バスの時間まで、わずかだったので、あわてて靴だけ履き替える。別所温泉入口で下車して「べっしょの湯」で雨にぬれた体を温めてから帰宅した。
 翌日ザックを片づけていたら、ヒルを1匹発見。純子さんも吸われてはいなかったが靴下に付いていたそうだ。恐るべし!丹沢のヒル!!

〈コースタイム〉
三叉路バス停(8:40) → 右岸林道下降点(10:00) → 二十女沢入渓点(10:10~35) → 8m滝手前(11:55~12:05) → 炭焼き釜跡(12:50) → 鍋嵐直下稜線(14:15~20) → 煤ヶ谷バス停(15:55)


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