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雪山登山・十石山
内田 優生

山行日 2012年11月24日~25日
メンバー (L)三澤、杉本、平尾、小芝、内田

 当初は、連休を利用し2泊3日で立山に行く予定だったところ、悪天候のため例会は中止になり、急遽リーダーが複数提案してくれた山行の中から、最終的にメンバー合意のもと十石山に決定した。せっかくの連休なので、金曜の夕方、都内を出発し、乗鞍高原温泉に一泊することとなった。今シーズン初の雪山なのに、立山が中止になったことに加え、前夜入りして向かう先は温泉ということで良くも悪くも緊張感はあまりない。
 翌日も朝から温泉につかり、朝食もしっかりと宿で済ませ、のんびりとパッキングをして登山口である白骨温泉へと向かった。白骨温泉の料金所を過ぎてしばらく林道を進むと、中部電力白骨無線局のわきに数台の駐車スペースがある。ここが登山口となっているようだ。少々わかりづらい。そして予想通り誰もいない。今回もまた静かな山行になりそうだ。
乗鞍岳をバックに十石山の頂上にて  コースタイムでは無雪期で頂上まで4時間程度かかるらしい。白骨温泉を車で通った際には雪は道路脇に見える程度だったが、歩き始めるとすぐに笹藪となり足首くらいまでの雪が積もり、笹藪の緑と白のコントラストが新鮮に映る。1時間程登り1,800m付近になると緩やかな斜面となるが、1,900mを過ぎると急な傾斜となり雪もしだいに深くなっていった。思ったより積雪がある。なまった体には今シーズン初のラッセルはキツイ。それにしてもなめずにワカンを持ってきてよかった!できれば一日目で一気に山頂近くの小屋まで行こうという話で登っていたが、体が重いのか、意外に雪が深いのか、どうにもペースがあがらない。 このままだと頂上直下の小屋は微妙な時間帯となりそうだったので森林限界を超える直前でテントを張り明朝ピストンで登ろうということになった。
 翌朝6時過ぎに出発。日の出直前の6時半頃、あたり一面が一瞬にしてオレンジ色に染まり、周りの木々や空気までもが色を帯びてきた。泊まりでしか経験できない貴重な瞬間だ。
屋根まで埋まった小屋と穂高連峰  天気も素晴らしく西には乗鞍岳が見え、東には霞沢岳や穂高岳までくっきり見える。尾根に出ると景色は素晴らしいが、雪がモナカ状態で非常に歩きづらく、男性陣は特にズボズボ足が埋まってなかなか苦戦していた。歩き始めて2時間半程で頂上到達。
 しばし山座同定をしてから、半分以上埋まって屋根しか出ていない小屋を経由して下山。冬季の小屋はどこもそうだが暗くじめっとしている。やはり吹雪でなければ樹林帯のテントに勝るものはないなと実感。
 下山後ホームページで改めて小屋を見るとなんと清潔感のある素敵な小屋ではないか。秋晴れの日に紅葉した山々を眺めつつ、この気持ちのよい小屋の外で一杯やるのは最高だろうなと思う。
 下山は雪目になりそうなほどの好天に恵まれ、昼過ぎには駐車場に到着した。眺望の素晴らしい静かな山を満喫しただけではなく、しっかりとした雪山歩きもできて正月山行のいい練習となった。

〈コースタイム〉
【11月24日】 林道分岐出発(9:10) → 十石山登山道入口(9:30) → 1,800m台地(10:40) → 尾根末端(11:30) → 2,080mわかん装着(14:00) → 2,230mテント場(15:00)
【11月25日】 2,230mテント場(6:00) → 十石山山頂(8:30) → 十石峠小屋発(8:45) → 2,230mテント場(9:40~10:15) → 林道分岐到着(12:30)

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