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相馬岳北稜
山蔦 隆宏

山行日 2012年11月10日~11日
メンバー (L)荻原、深谷、土肥、山蔦

 妙義最難関コースの一つとされる相馬岳北稜。昨年の同じ時期に紺野さんが3回目の挑戦で成功したと耳にした荻原リーダーがそれほどの所ならと勇躍企画し、4名で紺野さん手書きのルート図を手に北稜に挑んだ。
 北稜取付までは、国民宿舎から歩いて40分程度。妙義湖のダム下流の橋を渡り更に下流に500m程行った路肩の広くなった所に沢が入り込んでいる場所が目印だ。取付きから落ち葉の急登。370mの取付きから200m強を一気に登ると東側がスパッと切れ落ちた岩尾根に乗った。東側には妙義の町が見える。P1からP5までは、ところどころ高度感があるものの技術的に問題となるところもなく、枯れた小枝を払いながら尾根上や西側を順調に進んだ。東側は基本的に断崖絶壁。リーダーより「簡単すぎる!早く核心のP12に進め」とのお言葉。
 P5から徐々に北稜は厳しい部分を見せる。P5、P6の尾根通しは不可能。P5はピークから20mほど戻った辺りの踏み跡をたどり西側を巻いた。P6は青いロープスリングを捨て縄とし西側への15m懸垂下降で降りた。ここで簡単な途中固定の方法を教えてもらった。
 リーダーの「じゃ、ヤマツタちゃんリード」の一声でP7への登りが始まった。出だしが少し被っていたがホールドが豊富なため、それほど苦労なく左上に上がれた。スリングをインクノットにして5mおきにランニングビレイをとり上がっていった。3つ目のランニングビレイを取ったところで問題発生!スリングが残り一本!ルートはまだ8mほど残り、最上部が少し難しそうに見える。取り敢えずルート右の低木でセルフビレイを取ってから考えたが、落ちたら10mは落ちることになる。ランニングビレイを取ったらスリングが無くて支点が作れない・・・。リーダーからは「フリーで行けるだろう」との厳しい言葉があったが、ここでギブアップ。リーダーに登って来てもらいリードを代わってもらった。ここが個人的なクライマックスだった。反省点、ゲレンデのようにボルトが無いのでスリングが無いとランニングビレイが取れない。P7のような見えないルートでは装備は多めに準備すること。

P9-P10尾根からのはさみ岩 P12基部からのP12

 P11までは錯綜する踏み跡に惑わされることなく的確なリーダーのルートファインディングにより前進。相変わらず東側は絶壁。裏妙義の丁須の頭が西側に見え、正面には時折はさみ岩が顔を出していた。P11を東側から巻くと目の前に20m程の壁P12があった。
 P11-P12コルの西側の木に相馬沢へのエスケープルートと思われる赤テープがあった。最初、ここはP12ではなく赤テープはP11かP10の巻き道と判断したが巻き道にしては下りすぎだ。ルートを東側に探すも無い。ここで正面のP12の壁に取り付くこととなった。登ってみると下から見るほどではなく、木につかまり土の壁をよじ登ることができた。丁度中間点にしっかりした立木がありそこから上部が岩となっていた。岩には古いハーケンが残置されていた。これで、ここがP12であることが確定。岩はハング気味で足場も少なく最初の2m程が難しい。空身になったリーダーは、するすると上がると左側の土壁に紺野さんのアドバイスで持ってきたバイルを一振り、体を持ち上げるとあっけなく核心部を越えてしまった。ちあきさん、ザック、土肥さん、山蔦の順でP12登頂。P12からは東側に50mロープギリギリの懸垂。やはり赤色のロープスリングを残置。
 その後、仙人窟に到着。幕を張ろうかとの話にもなったが、まだ時間も早いため更に小一時間前進、仙人窟と相馬岳の中間点935m付近のピークにて15:20幕営。おそらく最適地と思われる快適な幕営であった。
 翌日は相馬岳頂上で縦走路に合流。相馬岳コースから前日に上った北稜の歯を眺めながら国民宿舎に下山した。
 今回は、強力なリーダーの力量と事前の紺野さんからの詳細な情報により、あっけなく突破することが出来た。しかし、岩は脆く両側は断崖絶壁、踏み跡は錯綜し水場は無かった。いつか自分の力で登りたいコースでした。

相馬岳コースから北稜
〈コースタイム〉
【11月10日】 国民宿舎(7:00) → 北稜取付き(7:40) → 935m幕場(15:20)
【11月11日】 935m(6:20) → 相馬岳(7:00) → 国民宿舎(9:15)

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