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後袈裟丸山
前野 立穂

山行日 2012年10月20日~21日
メンバー (CL)大田、(SL)飯塚、三澤、森田(純)、前野(立)、前野(和)

【10月20日(土)快晴】
 袈裟丸山は昨年2回山行したが、どちらも雨につきまとわれた。今回は2日間とも晴れの予報。メンバーの心がけが良いのか紅葉が楽しみ。地元在住の我が家で前泊、1日目は歩行時間が少ないため、ゆっくり出発。塔ノ沢の登山口はアプローチの林道幅が狭く荒れていて車のすれ違いは注意が必要。登山口にはトイレがあり、まあまあ綺麗。歩き始めて約1時間、沢を数回渡渉するが、水量が少ないので問題なく進むことができる。歩き始めは、グリーンシャワーと沢の音が気持ちよい。大きな岩盤の寝釈迦像のところで最初の休憩。寝釈迦は岩の上部に4mほどの釈迦像が彫られていて腕を枕にして横たわっている。ここで寝釈迦と同じような姿で記念撮影。

寝釈迦に添い寝TITLE=""新しい小屋で7、8人は余裕

 先へ進むと沢から少し離れ、カラマツの森の中の綺麗な避難小屋に着く。昨年の6月に雨の中で早々避難泊した小屋だ。この脇に流れる小さな沢で各自テン場の水を補給する。この沢は1年中水が確保できそうだ。トイレは小屋の西側の少し離れたところにあるが、倒れそうで使用できない。
 少し休息し稜線に登ると賽の河原につく。ここで右折、二子山の分岐に向かう。稜線がなだらかなので分かりにくいが、よく見るとトレースがある。分岐にある方向指示標は明記されていない。コンパスで東方向へ進む。ほとんど歩かれていないトレースを20分ほど行く、2つ目のピークが二子山。笹原に三角点がある。静かなバリエーションルートである。紅葉した木々の間に男体山も近くに見える。
気持ちの良い、人がこない二子山  分岐まで引返し、小丸山に向かう。小袈裟とも呼ばれるこのピークまでは1時間、春のアカヤシオの時期にはピンク色のトンネルとなるところ。途中に気象用の無線設備がある。雨量を計測し、太陽光パネルの力で発信しているようだ。小丸山は、日光から袈裟丸への稜線が全て見られる絶景ポイントだ。
 時刻は14時。余裕をもって景色を楽しむ。ここまですれ違ったグループは山登り2組と沢登り1組だけだ。荷物が多いので「どこまで行くのか」と聞かれたが、「テント泊です」と答える声は、何故か小さくなる。ほとんどが日帰りの山行のようである。こちらは目的がある。焚火とハンモックとツェルト泊だ。
 シラカバやダケカンバの林の中にカマボコ型の避難小屋とトイレ小屋が建っている。広く平らなコルである。避難小屋を覗くと綺麗な小屋で、銀マットもしっかり敷いてある。外見とは違う清潔さである。「今日はここでいいかな?」という声に、「ダメ!各自ツェルトで寝て、寒さを味わうのだ!」の返し。立派な心がけだ。

カマボコ型の避難小屋越前屋さんのツェルト

 早速、各自ツェルトを出し、組み立て開始。Miさんがロープを1本しっかり張ってくれた。ツェルトの片屋根を結び、持参したストックを利用して引っ張る。何とかテントらしくなった。ところがIさんのツェルトは1人用で、しかも片肩しかない緊急避難用のものでかなり狭い。潜り込んでみたものの、すぐに「ダメだ」の結論。CLの3人用ツェルトに合流することに。
 私はひとり離れ、居心地が良さそうな落ち葉のある平地にストック2本と持参した荷物用ヒモを使って立ち上げ、ロープで補強した。んー満足。
 次にハンモックの出番だ。△△島で入手したハンモックを是非使いたい。ということでCLとIさんが太目の木を選び、Miさんが手伝い無事セット完了。テン場はまだ明るく、ハンモックが似合う。一人ずつ乗っては気持ちよさに感動する。

ハンモックを楽しむでも・・・ 折れて悲しい~

 かなり寒いのでいっぱい着込み、日本酒・焼酎・ワインと飲む。今夜の夕飯はチゲ鍋だ。身体の中から暖かくなる。
 シカの鳴き声が聞こえる。いっぱいいるようだ。自分が東京を離れて群馬の田舎にきたことを再認識した夜だった。
 夜も更け、各自ツェルトに潜り込む。横になると、静けさに囲まれる。しばらくすると「ガサ、ガサー」という足音がはっきり聞こえてくる。風かなと思ったが、そうでは無さそう。落ち葉の平地に設置したので、どうもシカの足音のようだ。持参したラジオをつけ寝る。夜中、風がバタバタ吹いてきたが、いつのまにか朝まで眠っていた。

【10月21日(日)快晴】
 翌朝は非常に風が強く、落ち葉が横殴りに飛んでいる。仕方ないので避難小屋の中で朝食のビビンバ風ジフィズを食べる。昨日から韓国食だ。ワイワイ言いながら、のんびりスタートになってしまう。まず、前袈裟丸山まで登る。標高差230mぐらいである。頂上は袈裟丸の標識、地元の人はここまでで引き返す山行が多いと聞く。南西方面の見晴らしが良い。赤城山がよく見える。
 続いて後袈裟丸に向かう。北方向の樹林に飛び込む。通行不可の看板があるが、トレースはしっかりある。1ヶ所、八反張というナイフリッジがあるので、そこを注意しながら問題なく通過。急なササの藪漕ぎを経て後袈裟丸に到着する。ここで本日の山行組と合流する予定。天気は最高、青空の下で休憩。ザックおいて中袈裟丸へ向かう。ここからはシャクナゲ・ササの藪となる。30分ほどで小さなピークになり、樹林の中に中袈裟の標識があった。日光方面の展望が良いのでしばらく景色を堪能し、後袈裟へ戻る。途中で予定通りKMと太田ハイキングクラブのメンバー4名と出会い皆で後袈裟にもどり昼食をとる。

全員でパチリ、後袈裟丸山1,908m紅葉と晩秋の袈裟丸山紅葉と晩秋の袈裟丸山

 合計8名となり郡界尾根を下る。この尾根は紅葉が素晴らしい。シラカバ・ダケカンバの美しさもこたえられない。八重樺原という1,400m地点からの展望が特に良い。お天気にも恵まれ感謝する。郡界尾根の登山口で2台の車に乗り、塔ノ沢登山口へ移動する。林道を車で50分、非常に助かる。太田ハイキングクラブの人たちにお礼を言い、塔ノ沢で別れる。
 122号線を桐生に向かい、途中のわたらせ(渡良瀬)渓谷鉄道水沼駅で温泉につかり、2日間の気持ち良い山行をしめくくる。本当に感謝。最後のお別れは寂しいが、またの機会を楽しみに、みなさん有難う。

〈コースタイム〉
【10月20日】 塔ノ沢の登山口(8:50) → 寝釈迦像(10:00) → 下の避難小屋(11:20) → 賽の河原(11:50) → 分岐(12:15) → 二子山(12:40) → 分岐 → 小丸山=小袈裟丸(14:15) → 避難小屋(14:30)
【10月21日】 避難小屋(7:45) → 前袈裟丸山(8:45) → 後袈裟丸山(9:40) → 中袈裟丸山(10:30) → 後袈裟丸山(11:30~12:00) → 石祠(13:00) → 八重樺原(13:40) → 郡界尾根登山口(14:10) → 塔ノ沢登山口(15:00) → 水沼駅温泉

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