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雪稜登攀・阿弥陀岳中央稜
飯塚 陽子

山行日 2013年2月2日~3日
メンバー (L)小幡、飯塚、大田、和田、成田

 2日(土)早朝。特急あずさ1号に各々が乗車し、茅野駅で合流。駅中で支度をし、タクシー1台に5人(+荷物)乗り込み出発。
 目的地の船山十字路のゲートには、冬期はタクシーで入るのは無理とのことなので、その手前1.3キロの車がUターンできる所まで入ってもらうことになった。
 この日は2月だというのに気持ち悪いくらい温度が高く、また途中で土砂降りの雨が降ってきたり、車中ではどうなることかと思っていたのだが、目的地に到着する頃にはその雨も小降りになり一安心。ここからゲートまでは歩きで約40分かかった。広河原まではトレースがあったので快調に飛ばす。ほどなくすると額に汗をかいてしまうほど暑くなり、厳冬期ではまずあり得ないのだが、女性陣はなんとウェア1枚になってしまったのだった。
 広河原の二俣には1時間程で到着し、事前に調べていた通りに、そこから右俣方向に進み赤ペンキで木に“四区”と書いてある方向へと進んでいく。この辺りには、やたらと赤ペンキ文字や赤テープが多く若干惑わされそうな感があるが、枝尾根を右に大きく回りこんでいき、比較的緩やかになった斜度から登ることにした。ここからはトレースもなくなり、また途中から傾斜もきつくなり、おまけに雪がグサグサなので、ステップが決まりづらく非常に難儀する登りであった。
 それでもどうにか中央稜主尾根に乗ることができ、あとはひたすら本日の幕場予定の2,180m地点を目指してラッセルで進み、適当な広さのところで幕営することになった。
 テント設営の準備中、横浜蝸牛の男女2人パーティーが下から登ってきて、ラッセルのお礼と「ここから先は我々がラッセルしますよ、幕場までですけどね!」と、かなり大きなザックを背負った男性が豪快に笑いながら登っていく。この顔になんとなく見覚えが・・・。この晩は、皆で具材を持ち寄った美味しいキムチ鍋を囲み、明日への英気を養い早々に就寝。
 3日(日)今朝は、厳冬期らしく冷え込み、そして快晴となった。樹林帯から見える山々が白く輝いている。今日の予定は、幕場から中央稜を辿って阿弥陀岳に登り、往路を戻ることとし、幕場を6:30に出発。
 昨日追い越していった横浜蝸牛パーティーのトレースを辿り、彼らのテント場に到着。2人はまだテントの中にいて言葉を交わすと、なんと十数年前に谷川の岩場でお世話になったKさんであることが判明。その時は、途中から悪天候となり下山が遅れ、どちらの山岳会も日曜日に帰ることができずに、その晩は水上駅で一緒にお疲れ宴会をしたのであった。まだバリバリの現役を続けられているようで、今日は阿弥陀奥壁を狙うとのことであった。またどこかの山で!と挨拶を交わし、我々はその先トレースのないルートを5人交代しながらラッセルで進んでいく。
第一岩峰は右裾をトラバースしながら回りこんでいくが、結構雪が深く厳しいラッセルとなった。小幡Lも時間を気にして、休憩なしでどんどん進むようにと激を飛ばす。回り込んだ先の急な斜面を直上し、第二岩峰手前のコルに到着。
 ここからはアイゼンに履き替え、第二岩峰の左端を回り込んだ先から続く、やや急な雪面と細いリッジを登っていく。中央稜の核心部と思われる箇所を越えた先からは視界が開け、右に阿弥陀南稜や権現岳、そして遠くには富士山も望めるようになってきた。
 白銀の摩利支天へと続く尾根を快適に登り、御小屋尾根と合流し、そして阿弥陀岳山頂に到着。

白銀の摩利支天頂上での豆まき

 風は強かったが、360度の大展望だ。快晴の青空の下、白銀の山々が全て見渡せて最高の気分。
 またこの日は節分で、わだっちが持ってきた豆で豆まきをして、皆で福を呼び寄せたのであった!
 その後は山頂から少し下った岩陰で風を避けて休憩をし、あとはテン場まで一気に下る。結局この日はロープを使わずに下りることができた。テン場に戻り、テントを撤収し下山にとりかかる。
 トレースを辿っての下山ではあるが、昨日と違って雪が締まっているので非常に歩きやすく、各々がガシガシと下っていく。堤防の先でタクシーを予約し、行きに降りた場所までタクシーに入ってもらい、無事に下山となった。
 今年の冬合宿で酷い風邪をひいてしまってから約1ヶ月間、体調がいまいちだったのだが、この山行で快晴の阿弥陀岳山頂に立つことができ、ようやく心身共に回復できたような気がした。
 メンバーと快晴のお天気に感謝です!

〈コースタイム〉
【2月2日】 茅野駅(9:08) → 船山十字路手前1.3km(10:30) → 約2,180m幕場(14:30)
【2月3日】 幕場発(6:30) → 阿弥陀岳山頂(10:20) → 幕場(12:30) → 船山十字路手前1.3km(15:30)

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