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山スキー・大渚山
斎藤 吉夫

山行日 2013年2月16日~17日
メンバー (L)斎藤(吉)、荻原、成田、今井、箭内、畔上

 2月15日22時、中央高速組の斎藤車と関越高速組の畔上車に分かれ、それぞれ出発した。最初は星も見えていたのだが、徐々に雪が降り始め、長野道に入ってからは大雪になってきた。一般道に降り、白馬あたりまで来ると、前がよく見えないほどの猛吹雪になった。畔上車との集合場所は、中土駅と決まり、テントは自分の車にあるので、そこまで行かなければならない。しかし、駅は国道を外れるらしく、四駆ではない私の車ではたしてたどり着けるか心配になるくらいの雪と風である。
 当初は、1時頃には集合場所にたどり着けると思っていたが、猛吹雪のためスピードは出せず、なかなか目的地に着かない。ようやく中土駅への標識が見えたので、国道を左折すると大型のブルが除雪の真最中であった。標識の案内に従い、すぐに右折し、もう到着したも同然だと思いながらトンネルを進むと、その先は除雪していない。道を間違えたと思い後ろがみえないままバックで戻り、今度は反対方向に進む。しかし、そちらも除雪していない。また、先ほどのトンネルへ行ったが、大型のブルが除雪作業中で、私の車に向かってバックで突進してきた。恐怖を覚えクラクションを鳴らした。ブルの運転手は、どこに行くんだ、と、大声で聞いてくる。こちらが、この先の駅へ行くと、言うと、何しにー!!??と聞いてくる。もっともな疑問だ。除雪のじゃまだから、そこをどけ、と言ってきた。
 この時点で、畔上車と合流するのは諦め、車を止めて寝る場所を探すことにした。国道に戻り、途中、北小谷駅は開いているかと思い立ち寄ったが、鍵がかかっていて入れなかった。最後に見つけたのは、農協の駐車場の前の歩道が除雪されていて、ちょうど車の入れるスペースだった。テントを張ることもできず、各自、座ったまま寝袋に入り仮眠を取った。もう2時になっていた。いや~大変な道中だった。お休みなさい。
 翌朝、7時半ころに起き、中土駅で安眠を貪っているであろう荻原氏に連絡をとり、国道のコンビニでようやく合流できた。吹雪は相変わらずなので、今日は無理と思いながら、2台で小谷温泉に向かう。四駆ではない私の車でたどり着けるか不安に思いながら、できるだけスピードを落とさないように進んだ。雪質が良かったのか、全く問題なく小谷温泉に到着した。
 少し別室で待たされたあと部屋に案内された。小谷温泉はいつも親切にしてくれる。外は吹雪、テントでなくて本当に良かったとつくづく思う。まだ、昼前だが、他にやることもないので飲み始める。
 各々気の向くまま温泉に入り、また、飲む。まるで湯治に来たようだ。16時頃から夕食の準備を始め、みんなで持ち寄った具材で鍋を楽しんだ。今日は十分に湯治を満喫したあとなので全員20時頃には布団に入った。
 翌日は、7時出発を目途に5時半起床。昨日の残りにうどんを入れ朝食とする。下山口となる大連草近くに1台の車を回した後出発した。
湯峠に続く林道を目指す  雲一つない快晴の中、8時過ぎに宿の裏手の急斜面に取り付き、まず、釜池を目指す。釜池を右に見ながら林道経由で湯峠から西に延びる稜線を行く。
 湯峠からの稜線から大渚山を見上げると、かなりの規模の雪崩の断面がはっきり見える。昨日のものか今日のものかは分からないが不気味だ。さて、快適な稜線歩きを予想していたのだが、稜線は波打っていて真っ直ぐには進めない。たしか、去年この稜線を下ったときは、雪庇はなかったように思うが、今回は、雪庇が発達し、稜線を真っ直ぐには行けない。稜線を外れ、左の急斜面をジグザグに進む。

頂上直下のトラバース360度の絶景が広がる

 頂上直下の斜面をトラバースするときは、上の雪庇が落ちてきそうだったので一人ずつ慎重に進んだ。ここを通過すれば頂上はすぐだ。
 頂上からの眺めは素晴らしく、360度、日本海まで望むことができた。休憩、記念撮影の後、いよいよ滑降だ。
 南の斜面に勢いよく飛び込んだが、何か変だ。程よい傾斜なのにうまく進まない。雪が深いせいなのか。そのうち転んでしまった。深い雪で、スキーを外してやっと起き上がり、スキー板を見ると、まるで下駄に雪が付いたかのようだ。凍り付いているのでなかなか雪が取れない。10分ほどかかって雪を取り除いたが、滑り始めるとまた同じように雪がスキー板に凍り付き滑ることができない。メンバー全員、程度の差はあれ同じような状態のようだ。
遅々として進まない  運よく、荻原さんがワックスを持っていたのでみんなそれを使い、ようやくまともに滑ることができるようになった。あのワックスがなかったら車に戻るのは夜になっていたと思う。しかし、それでも新雪の上は滑らない。たまたまあった大連草からの登りのトレースを利用して下っていった。トレースを外すとすぐに止まってしまう状態だ。こんな雪は初めてだ。15時までに小谷温泉に戻れば、温泉に入ってから帰れるのだが、この時点で温泉は厳しいかなと、覚悟する。
 それでも、下るとともに傾斜がある所は滑るようになってきた。車は、大連草から小谷温泉よりにある田中集落近くに置いてある。方角を見ながら下ったが、途中からスキーのトレースが現れたので、田中集落へのルートがどのような状態か分からないこともあり、安全策を取り、そのトレースに従い大連草集落に向かった。集落まで来た後は、ぎりぎりまでスキーで道路を下り、板を外してから20分ほどで車にたどり着いた。
 荷物を全てそこに置き、車で小谷温泉に向かかった。既に17時なので、風呂は無理だと諦めていたが、温泉の若女将は、温泉に入っていけと言ってくれる。有難い。お言葉に甘えて風呂に入ってから帰路についた。
 今回のスキーは、小谷温泉にたどり着くのが核心だったように思う。あんなすごい吹雪はそうそう体験できないだろうし、スキー板にあんなに雪が付いたのも初めての経験だった。あれ以来、必ずワックスを持って行くようになった。
 でもやっぱり小谷温泉はお湯と雰囲気がいい。来シーズンからは、小谷温泉定着のスキーを定例化したいと思うので、これからも大勢の参加お待ちしています。


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