トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ342号目次

雪上訓練・富士山
津田 友紀子

山行日 2013年4月13日~14日
メンバー (L)小幡、金子、大田、小芝、津田、渡辺(守)、軽部、YUKI

 そうそうたるベテランメンバーに囲まれ、今年入会した初心者は私1人という何とも贅沢な雪訓だった。前日金曜日の夜22時半新宿駅に集合。中の茶屋近くに仮眠し、翌朝馬返しまで車で移動し、ここで準備を整えた。
 朝から暖かな日差しで気持ちよく歩き始めたが、なかなかザックが重い。テント泊が3回目の私は早くも重さにばててしまい、小芝さんに1/3ほどの荷物をお願いすることになった。どうやら朝ごはんにパン1つだけだったのがいけなかったらしい。まだ体が眠っているのか、おにぎりも喉を通らず無理やり押し込み、お茶で流した。荷物が軽くなったこともあって、その後は遅い足取りながらも歩き続けることができた。しばらくは雪もなく緑に囲まれ、整備された登山道を歩く。5合目に近づくにつれ、所々凍った雪があり、アイゼンなしでは滑るところもあった。5合目近くの樹林帯にちょうどよい平地がありここにテントを張った。
 午後には雪訓開始。佐藤小屋を越えて訓練にちょうどよい斜面を求めて登っていったが、私は睡眠不足なのか歩きながら眠くなり、ふらふらする始末。せっかくの贅沢な訓練なのに先が思いやられる。ずんずん行く小芝さんと小幡さんがはるか彼方となり、後ろを気遣ってくれるおおまささんの足跡を追いながら、まだかまだかと思っているうちに雪訓場所へ着いた。どうやら今年は雪が少なかったらしく好適地がなかなかなかったようだ。
 ちょうどよい斜面で基礎から訓練開始。小幡さんをお手本にまずはツボ足訓練から。斜面を蹴り込んで登っていき、また踵に重心を置いて下っていくのを数回繰り返す。なかなか下りが難しい。滑ってしまいそうな怖さもあって他の皆さんのように速く降りていけない。また斜面を登るときは足をハの字開いて登っていくことも習い、これを実践することで翌日の登山で安定して登ることができた。次に斜面を横切るトラバースの歩き方。谷側の足は爪先を開き上体をまっすぐにして歩行する。それから滑落停止の練習を行った。滑落停止はとっさのときにどれだけ対応できるかが重要だが、何度行っても一発できちんと止めるのは難しい。訓練をしていれば万全とはいかないが、他の練習も含めて定期的に行うことが大切と感じた。最後にロープを使った訓練を行った。ロープをつなげての歩行、スタンディングアックスビレイの練習をした。
 この晩は、持ち寄ったおでんの具で晩ごはんとなった。おでんの具の好みについても結構盛り上がり、小幡さんの情感たっぷりの中島みゆきを聴きながら楽しい宴会となった。
 翌日は渡辺さんチームが予定時刻ぴったりに無事合流。富士山登頂を目指して歩き始めた。富士山に登ったことがない私は佐藤小屋近くからの下界のパノラマと朝日にとても嬉しくなったが、既に風が強く目を開けていれば砂と雪の粒が飛んでくる。サングラスをし、行けるところまで無理せず登ることとなった。
 充分睡眠を取ったはずなのに私は息があがり、皆さんから遅れをとりながらもなんとかついていく。見えた登山者は20名ほどだろうか。なんと途中でテントを張っている人もいた。風がどんどん強くなっていき、体がよろめく。私は小幡さんにロープをつないでもらった。風は落ち着く気配がなく、残念ながらちょうど7七合目を超えた2,700m付近で下山となった。帰りは馬返しまで戻っていったが、前日の登りよりも長く感じられた。
 富士山雪訓は毎年恒例とのことなので、ぜひ来年も参加し、そのときは願わくは富士山登頂が可能な体力と技術を付け、好運な天候を祈りたい。

富士山5合目からの朝焼け

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ342号目次