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沢登り・丹波川泉水谷小室川谷
内藤 美智子

山行日 2013年6月29日~30日
メンバー (L)小幡、渡辺(守)、金子、橋岡、YUKI、山蔦、内藤

 小室川谷は大昔に遡行したことがある。あまりに昔すぎてどんな沢だったか全く覚えていないし、写真も記録も残していない。でも日帰りでもそれほど苦労せずに遡行できたように記憶していたのでわりと気楽な気持ちで参加を決めた。
 実際行ってみると水量が多いせいもあったのだろうが、なかなか厳しい遡行となった。7人という大人数のせいもあってとても時間がかかった。
 29日朝、青梅集合で青梅街道を三条新橋へ。泉水谷林道のゲート前は車がいっぱいで止めるスペースがなかった。仕方なく少し戻って青梅街道の駐車スペースに止める。こんなに人がいるなら当然小室川谷に入るパーティーもあるかと思い、尋ねてみると全員同じパーティーで丹波川本流で徒渉訓練をするということだった。
 林道を30分ほど辿り、『小室向』という標識があるところで谷に下る。泉水谷を少し下降して木橋を渡ると小室川谷出合だ。入渓したところは普通の川原。しばらくは滝もないが、水量が多くちょっとしたところを通過するのも時間がかかる。  最初に出合う4mの滝と7mの滝は右から巻いた。6mの滝はガイドブックには『淵を右岸から小さく巻き、滝の手前をトラバースして左岸を登る』とあるが、最初から左岸をへつっていった。
S字峡最初の6m滝  S字峡最初の6m滝はすごい水量で迫力がある。左から巻くのもちょっと難しく、ロープなしでビビってしまった。上から見ると沢は激流となっている。懸垂で沢に降りた後は右岸から左岸に渡らないといけない。果たしてこれを渡れるの?!とビビり度マックスになる。沢にかかっている流木を手掛かりに流れの中に足を入れて渡る人と流木の上を渡る人とがいた。
 6m滝上のS字峡ゴルジュはまず小幡リーダーが果敢に泳ぎに挑戦するもあえなく敗退。左岸から巻く。5mの滝も巻いたところで残置のトラロープにつかまってクライムダウンする。
 松尾沢出合を過ぎ、いくつか小滝を越える。8mCS滝は手前の大岩に残置シュリンゲがある。出だしはスタンスがなく、完全に腕力だけで登ることになる。腕力のないわたしには泊まりのザックを背負ってではとても厳しく、ロープを下ろしてもらってもヒイヒイ言ってようやく登った。
 ここまででかなり時間が押してきており、誰にも焦りがあったと思う。私は5番目に登り、上に着くとビレイ点には小幡さんと橋岡さんだけがいた。渡辺さんと山蔦さんは天場を探しながら先行しているとのことだった。沢への下降は簡単だったのでわたしも2人の後を追うことにした。
 沢は小滝が続くゴルジュ状で右岸を巻いた方が良いように見える。先行する2人の姿は見えず、1人で進むのは不安なので後続を待って5人で遡行を続けた。
 20分ほど行くとワサビ田跡と小沢があり、絶好の天場があった。この日は中ノ沢出合まで行く計画だったが、この先の小室ノ淵の通過には時間がかかりそうなのでここで泊まることになる。
 小幡さんはザックを置いて先行した2人を呼び戻しに行く。残ったメンバーはタープを張り、薪を集めておく。雨も降りだし、ここで行動中止は正解だった。
 30分ほどして小幡さんは2人に会えないまま戻ってきた。かなり先まで見に行ったが、姿は見えず、そのうち戻ってくるだろうと引き返してきたそうだ。
 その頃雨が本降りとなり、タープの下に入り休む。先行した2人はタープもなくどうしているだろうか?
 1時間ほどで雨が小ぶりになったので焚き火をする。5人でたき火を囲んでも2人のことが気がかりで楽しめない。しかもビリーカンは2つとも山蔦さんが持っているので食事の準備をすることもできない。あたりが薄暗くなったころ2人が戻ってきた!かなり疲れた様子。
 2人は(予定の)天場まで先行して泊まる準備をしておけと言われたと思い、中ノ沢出合で待っていたそうだ。遡行中にパーティーが2つに分かれしまうなんてあってはならないこと。もしもどちらかに何かアクシデントが起きてしまったら、どうなっていたか!何事もなく合流できて本当に本当にほっとした。
10m直瀑の前で記念撮影  再び雨脚が強くなったのでタープの下で夕食を作る。食後、小雨になり焚き火をするが、渡辺さんと山蔦さんは疲れたのか早めに寝てしまった。
 30日、天気はどんよりとした曇り、雨はかろうじてまだ降ってきていない。
 1日目はおそろしく時間がかかり、予定していた中ノ沢出合まで行けなかった。まだまだ先は長く、時間がかかることが予想されるので沢登りとしては早めの6時に出発した。帰りが遅くなると温泉にも寄れなくなってしまうのでみな気を引き締めて遡行する。
 15分ほどで『小室ノ淵』、右岸から巻く。さらに15分くらいで中ノ沢出合を過ぎる。滝をいくつも越えていく。
 10mの直瀑は右岸から巻き、続いて4段40mの滝が現れる。1段目2段目を登り3段目は左岸を小さく巻く。最上段は右端の滑りやすそうなスラブを登る。落ち口には残置シュリンゲがあるが、それでも怖かった。
4段40m滝1段目を登る  4段40mの滝を越えて左岸から支流が流れ込むところで休憩。前日よりもペースよく進んでいる。雨が降ってきて寒くなるが、1時間ほどでやんでくれた。
 休憩後1時間遡行を続け、蛇抜沢出合。左俣へ進む。水量は半減したはずだが、まだまだしっかりと流れがある。先は長そう。
 蛇抜沢出合から2時間近く歩いたところで沢が倒木に埋まり、通過困難になる。左岸に踏み跡があり、そこを辿ることにして沢を離れる。丈50cm程のササやぶの中に踏み跡が続いている。ヤブこぎというほどでもなく、30分ほどでツツジの咲く登山道に出た。
 曇り空にも関わらず、登山道はたくさんの登山者が行き交っていた。沢装備を解き、下山する。大菩薩嶺を通過して丸川峠へ向かうと急に人が少なくなった。
 丸川峠まで意外と遠く感じた。一休みしたのち、泉水谷林道に向かう。林道まで45分、さらに林道を駐車場まで1時間40分。なんとか温泉に寄れる時間に下山することができた。

〈コースタイム〉
【6月29日(土)】 三条新橋(9:35) → 小室川谷出合(10:20) → S字峡入口(12:15) → ワサビ田跡天場(15:10)
【6月30日(日)】 天場(6:00) → 中ノ沢出合(6:30) → 4段40m滝上(8:00) → 蛇抜沢(9:15) → 登山道(11:55~12:20) → 丸川峠(13:35~13:50) → 三条新橋(16:15)

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