トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ343号目次

岩登り・錫杖岳前衛壁1ルンゼ/左方ルンゼ
荻原 健一

山行日 2013年7月20日~21日
メンバー (L)荻原、小芝

 2年前に2回目の左方カンテに行った際に1ルンゼと3ルンゼの取付きまで下見に行った。3ルンゼは暗く湿った感じだったが、1ルンゼは各種ルート集に書かれている通り、明るく快適そうな印象を受けた。近いうちにと思っていたものの、パートナー不在でお蔵入りルートになっていたが、今年はスペシャルパートナーの小芝さんがとことん付き合ってくれるので、早速企画し今回の山行が実現した。

錫杖岳前衛壁の全景 【7月20日】
 前夜のうちに新穂高の中尾温泉口駐車場へ。仮眠をとって5時に起床し早々に出発。錫杖沢出合いの幕場まで1時間強だ。テントを張った後1ルンゼ取付きへ。まだ誰も登ってなく、結局本日1ルンゼに入ったのは我々だけで静かなクライミングのスタートとなる。
 1P目はルンゼ左のフェースを登る。岩は硬く快適なのだが、2年前の秋にクリーン化が行われ残置は皆無。カムがよく決まるが精神的には結構疲れる。40mくらいで岩角に残置シュリンゲが掛かっていたのでピッチを切る。整備されたビレー点はこの上5mくらいのところにあった。2P目は出だしがちょっと思いっきりがいる。あとは簡単。3P目は記憶にないくらい簡単。4P目も難しくないが、随分壁が濡れてきて嫌な感じになってくる。5P目が核心だが、ハングから沢のように水が滴ってきて絶悪な感じ。アブミピッチなのでなんとかなると思って登りだすが、いつも濡れているようでコケも付いていて本当に悪い。ピンもボロボロでカムを効かせてそれにアブミをセットしたりしながらあの手この手でようやくビレー点へ。6P目は快適で残置も結構出てくる。実質ここが終点であとは簡単なチムニー、草付き、藪こぎを2Pほど登ってP2・P3間の稜上に出る。1ルンゼの下降路は懸垂が一般的なようだが、小芝さんが錫杖初見参なのでこのルートを取った。P2の頭から烏帽子岩(P1)の南側をトラバースして西肩経由で北面の踏み跡を使ってクリヤ谷へ降り、幕場へ戻る。踏み跡は最近あまり使われていないようで8年前に使った時よりだいぶ荒れている感じがした。一応焚き火もしたが今日は2人共疲れているので、それほど盛り上がらず早々に就寝となる。

2P目終了点より水が滴る核心を望む 【7月21日】
 今日は人気ルートの左方カンテへ。順番待ちは勘弁なので、明るくなり始める4:30頃に出発し1番で取付きへ。私は3回目なので核心の3P目と7P目は小芝さんにリードして貰う。こちらもクリーン化されていてカムが大活躍というかカムがないと登れない。順調に登り3時間ほどで終了点へ。昨日上まで抜けているので、今日は終了点から注文の多い料理店沿いに懸垂で下降する。
 1パーティーが注文ルートを登って来ており、すれ違いざまに感想を聞くと「ワイルドなルートですね」とのこと。小川山あたりでクラックを練習していつか挑戦してみたい。
 懸垂3Pで下まで降りて終了となる。
 最高のパートナーに恵まれて今までで一番スピーディーかつ気分の良いクライミングになりました。パートナーに感謝です。

最高のパートナー!
〈コースタイム〉
【7月20日】 1ルンゼ取付(9:00) → 終了点(13:00) → 稜線(14:00) → 幕場(16:30)
【7月21日】 左方カンテ取付(5:40) → 終了点(8:40)

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ343号目次