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アイスクライミング・ジョーゴ沢&裏同心ルンゼ
江島 沙織

山行日 2013年12月8日~9日
メンバー (L)荻原、渡辺(守)、江島

 初めてアイスクライミングに挑戦。人気の赤岳鉱泉アイスキャンディの混雑を避けて、日~月曜の平日1日を付けて行ってきたが、まさに予測通り、土曜夜は鉱泉の宿泊者は80人、日曜の裏同心は20パーティーも入っていたそう。このエリアは平日1日を付けるのが断然お勧め。

【12月8日】
 美濃戸山荘まで車を走らせるが全く雪がない。今年は南岸低気圧がまだ来ていないことが原因で、雪が少ないようだ。赤岳鉱泉までは少しずつ雪も出てきた。鉱泉の横にはアイスキャンディがあったが、まだ完成しておらず、水がジャバジャバ垂れていた。受付を済ませ綺麗な相部屋に案内され、そこで身支度をする。赤岳鉱泉ではアックスをレンタル出来るので、初心者には有難い。(※アックス2本で1日500円!)
振り返るときれいな阿弥陀岳  今日は練習にジョーゴ沢に向かった。大同心稜と裏同心ルンゼの分岐を過ぎるとジョーゴ沢の分岐になる。硫黄岳に向かう登山客が踏み跡を辿り間違えて入ってきてしまうので、どの分岐も沢の方にはロープが張ってあった。ロープをくぐり30分程歩くとF1が見えてきた。通常はノーザイルで行くそうだが、アイス初めての私はザイルを出してもらう。アックスを振りかざすと、独特のガリッという音がする。アックスが決まると抜ける感覚がなく体を上げることが出来たが、足がどうにも決まらない。アイゼンを蹴り込むが、まっすぐ入れないと、横に滑っていってしまう。前歯2本で立つことがこんなにも難しいなんて、踵を下げてとアドバイスをもらうが、それどころじゃない! なんとか無理矢理登り切る。  F2を見上げると段々になっていてステップは沢山あるが、落ち口が垂直に見える。これはどうやって登る!? と考えていると、リーダーが滝の中央をガリッガリッと確実に蹴り込み登って行く。私もセカンドで登るがやはりあの垂直の箇所で行き詰まる。さらにロープをビナから外そうとすると手袋の先の余りが引っ掛かり思い通りに外せない。手袋をしているだけでこんなにも苦労するとは! と悪銭苦闘していると、手がどんどん張ってくる。最後は必死に登り、なんとかここも登り切る。アイススクリューを外す余裕も無いため、渡辺さんに全て回収してもらう。その頃から人気の沢とあって上からは続々と人が降りてきた。上部の乙女の滝は凍っておらず登れなかったとのこと。私達はF3を見に行き今日の行動を終了した。
 初めてのアイスクライミングはアックスの決まる感覚とリズミカルに響くガリッガリッという音がとても心地よく楽しかった。夜は鉱泉でステーキディナーを堪能。今夜の宿泊者は12人。1日ずらすだけでこんなにも違うとは。

【12月9日】
 ストーブで暖かな赤岳鉱泉で身支度をして裏同心ルンゼに向かう。今日は相部屋だった1パーティーが入るのみ。硫黄岳の登山道からロープをくぐり裏同心ルンゼの取付きへ向かう。F1(15m幅広の氷瀑)の取付きで準備をしている間に、もう1パーティーに先に行ってもらう。リーダーはベテランでリズミカルにサクサクと登って行く。その後F2の後は全く見えなくなり、その後は追いつくことはなかった。さて、いよいよ自分たちの番。昨日は練習という気持ちだったが今日は本番。緊張する。荻原さんがリードで登って行き、セカンドで登り始めるが、朝一番はどこを登ったらいいものかわからない。でも早く登らないと手が張ってしまうので、必死にステップを見つけてはアイゼンを蹴り込む。アックスは上手く決まると、全く動かず信頼して体をあげて行ったが、昨日ロープを踏まないように気を付けてと散々言われたのに、余裕がなくなると、つい踏みそうになってしまう。登り終え、渡辺さんが登ってくるのを待っている間に、前のパーティーがF2に登っているのを観察。どうやら3段の大滝の3段目が核心のようだ。
 F2(40m三段の大滝)は一段目、二段目は寝ている壁で滝の真ん中をそれほど難しくなく登れたが、三段目の壁は垂直。それでもよく見るとステップがある。それを辿って行けば登れるのだが、滝の落ち口の最後は腕力勝負!? でなんとか乗っ越すことができた。
F2(三段の大滝)ブルーアイスが奇麗  F3(8m)は小滝。セルフビレイをとるのに自分でアイススクリューを氷に刺してみる。クルクルと入っていきおもしろーい!
 F4(20mナメ状)はノービレイで行く。ノービレイとなり緊張しながらおそるおそる一歩ずつ確実に蹴り込んで行くが、なかなか前歯がささらず苦労する。横を荻原さんがリズミカルに登って行く。
 さすがに腕も脚もパンパンに張っていたのでF5(10m)の手前の小滝を巻こうと左岸をいったが、薄い雪の下には岩があり、二進も三進もいかなくなってしまい蝉のようにしていたが、どうしようもないので慎重に戻った。余計に疲労してしまった。上からザイルをたらしてもらい、F5の取付きまで登った。F5ははっきりしたステップがあり滝の右寄りをステップ通りに登って行く。がやはり最後の落ち口が登れない。スクリューのビナからロープを外そうとするが、手袋の余りが、またもひっかかり上手く外せない。そうこうしている間に腕が力つき、ぶら下がってしまった。もっと脚で立ち込めていればこんなに腕は疲労しないとわかっているが、前歯2本で立っていることが難しく、やはり腕頼みになってしまった結果だ。まだまだ難しい! しばしレストしザイルを引っ張ってもらいながら、なんとか乗っ越した。登り終えた後は、腕がパンパンでアックスを持つのも辛い。
F5よく見ればステップもしっかり  余力があれば硫黄岳に抜けて行く予定だったが、もちろんそんな余力はなくF5の終了点から大同心基部をトラバースしていき、大同心稜を下山し赤岳鉱泉へ帰った。
 初めてのアイスクライミングは脚が決まらず腕がパンプし大変だったが、アックスが氷に刺さる時の音が気持ちよく、面白かった。ぜひ、また行きたい。
 初心者にお付き合い頂いた荻原さん、渡辺さんに感謝です。


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