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都道府県最高峰登山・於茂登山
箭内 忠義

山行日 2014年1月5日~7日
メンバー (L)箭内

 年末に九州の最高峰を登ったので、勢いで沖縄県の最高峰にも年明けに登ってきました。羽田から石垣島まで直行便があるので便利です。

サキシマスオウの板根です 【1月6日(月)晴れ】
 於茂登岳を登る前に西表島、仲間川をボートで遡上しました。両岸はマングローブの原生林です。汽水域に育つ木です。メヒルギ、オヒルギ、ヤエヤマヒルギの原生林です。支柱根がニョキニョキと水面から出ています。板根(ばんこん)が日本一といわれるサキシマスオウを見て帰ってきました。
 この木は年輪がないので板根の高さで年齢を計るそうです。
 陽子ちゃん達が2回も来た理由がよくわかりました。亜熱帯の魅力あるところです。

【1月7日(火)晴れ】
 真っ暗な中、宿を出て於茂登岳(526m)に向かいました。道路の脇に「沖縄県最高峰於茂登岳」の看板がありました。登山口です。そこで車を置きました。まだ先にいけるのですが道が悪いので車では侵入しません。
 真っ暗な中、強力な懐中電灯を頼りに歩いていくと小広場に出ました。ここからが本格的な登山道です。踏み出そうとすると「ザリザリザリー、バアーバアーバアー」という音が聞こえます。動物が森をかき分けて歩いているような音です。最初はドキッとしましたが、かまわず歩き始めました。しかし、登っていくと、その音が大きくなってきました。近づいてくるように聞こえます。とたんに怖くなってきました。何しろ単独ですから。こんなところで事故にあっても三峰の救助隊は来られっこありません。心臓がドキンドキンとします。懐中電灯の光を消して、そおっとそおっと降りてきました。
 小広場に着くと、さっきと同じように「ザリザリザリー、バアーバアーバアー」という音が聞こえます。動物ではなく、水道管の裂け目から水が飛び出て音を出しているようでした。
 今度は安心して登っていきました。亜熱帯の原生林は本州の山とは雰囲気が違います。葉が大きく厚い木が多いのです。強い太陽の光から自分の身を守るために葉が厚いのかもしれません。
 森に入りしばらくすると沢沿いの道となりました。少し明るくなってきました。やれやれと安心したとたん、道を間違え斜面を登っていくルートを進んでしまいました。すぐに気が付き、戻り、沢を渡ると「最後の給水ポイント」の看板がありました。
 ここから道がすこし急になってきます。東の海岸から太陽が水面より高いところに真っ赤に光っています。空が青く色づいてきました。
 さらにグングン登っていくと道が狭くなってきます。両側からリュウキュウチクと呼ばれる細い竹が道を狭めています。かまわずズンズンいくと左側に広場があり、白いドームがありました。やっと頂上かなと思いドームまで行くと行き止まりでした。頂上ではありません。道を戻り先に進むと、すぐに防災無線施設の塔が立っていました。そこから更に進むと目の前がグイーンと開け海が見えました。於茂登岳(525.4m)の頂上です。
於茂登岳の頂上です。向こうは海です  誰もいません。頂上、両手に広がる海を独り占めです。気分最高です。満足感に満たされました。
 下りは駆けるように降りて行きました。おり始めるとすぐに若い女性が登ってきました。挨拶を交わし、さっさと降りていくと、今度はかなり年配の女性3人パーティーに会いました。「上の方の花はどんな様子ですか」と質問されました。1月の石垣島ならではの質問です。余裕なくズンズン登っていったので花には気づきません。「ごめんなさい、よくわかりませんでした」としか答えられません。
 小広場に着くとやはり「ザリザリザリー、バアーバアーバアー」という音が聞こえます。やはり水道管の亀裂から水が噴き出しているのだと確信できました。
 沖縄県の森、亜熱帯で独特の雰囲気がありとてもいいです。今度、沢に挑戦したくなりました。

〈コースタイム〉
登山口(6:50) → 於茂登岳頂上(7:45) → 登山口(8:20)


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