トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ344号目次

沢登り・叶津川大三本沢(おおさんぽうさわ)
金子 隆雄

山行日 2013年10月19日~20日
メンバー (L)金子、内藤、YUKI

 変わった読み方をするこの沢へは随分昔に行こうとしたことがあった。その時はルートを間違えて小三本沢(こさんぽうさわ)へ入ってしまった。途中で気が付いたが、そのまま最後まで詰め上げて同じルートを下降した。以来すっかり忘れていたのだが、ふと思い出して行ってみようと計画した。
 私の家からは関越道経由のほうが近いので金曜夜に東所沢に集合して車で向かう。小出からカーブの多い道で只見を目指すが、途中の六十里越辺りは霧で視界が利かずヒヤヒヤしながらの運転となる。以前来た時もそうだったので、この辺は霧が多いのかもしれない。今日は何度か泊まったことがある田子倉駅で仮眠しようと思っていたのだが、着いてみると駅は封鎖されていた。廃駅になったのだろうか、知らなかった。
 少し戻った浅草岳登山口にあるレストハウスに行ってみる。中には入れないだろうと思っていたがドアを押してみると施錠はされておらず入れる。我々以外は誰もいない。泊まっちゃダメとの張り紙がある。にしては、発泡スチロール製のマットが備え付けられていたりする。これを拝借して快適に寝ることができた。
 朝になるとバスで乗り付けた登山者たちが代わるがわる窓から覗いていくが誰も入ってこようとしない。我々も早々に撤収して移動する。叶津側の登山口の駐車場に駐車し、今も工事が続いている国道を30分ほど歩くと林道の入口だ。林道の奥でも工事が行われているらしく工事用の車両が頻繁に通る。林道から小三本沢の出合を確認して藪を掻き分けて出合へ降りる。大三本沢も小三本沢も水は乳白色に濁っている。小三本沢を溯行した時もこんなだったなと思い出しだ。
 荒れた感じの広いゴーロ帯をしばらく行くと最初の滝が出てきた。5mほどの滝の右側のカンテ状の岩が登れそうだったので登ってみたが、その先にある滝がツルツルで登れそうになく引き返して右岸を捲く。
期待を抱かせるゴルジュ  捲き終わってから30分ほど進むと雰囲気のよいゴルジュが出てくる。これは意外と楽しめる沢かもしれないと期待したのも束の間、ゴルジュは直ぐに終わりまた荒れたゴーロが続くだけの沢になる。本当になにもない、荒れたゴーロ、ガレに倒木、土石流まで流れ込んでいる。止めて帰りたくなるくらいだ。
 標高900m辺りで行動を終了し泊まることにする。この先には泊まれそうな場所がなさそうだ。時刻はまだ12時で泊まらなくても下山できそうなのだが1泊の予定で重いザックを担いできたので無理して泊まることにする。雨が降っていたら下山することを選択していただろうが今日はなんとか持ち堪えてくれた。
 翌日は雨模様、気が滅入る。相変わらずの汚い沢を淡々と進む。紅葉もまだ早いようで全く楽しみのない沢登りとなってしまった。
源頭近くになってようやく普通の沢になる  それでも源頭が近くなると水も澄んできてようやく普通の沢の様相となってくる。小さいが滝も結構出てきて楽しく溯行できるようになってくる。だがそれも長くは続かない。沢が尽きると厳しい藪漕ぎが待っている。なるべく左に寄って進もうとするが思い通りには進めず高い方へと追い上げられていく。登山道に出た所はかなり浅草岳に近い所だった。
 内藤さんは浅草岳を往復するというので避難小屋で待ち合わせることにして先に降りることにした。しかし、避難小屋は見つからず止まって待っているのも雨と風で寒いので先に駐車場まで降りることにする。迷いそうな所はないので大丈夫だろう。道は雨でぐちゃぐちゃなので沢靴のまま降りたが、フェルト靴は滑って幾度となく尻餅をつきながらの下山となり、泥だらけになって駐車場に着いた。20分ほど遅れて内藤さんも着いた。避難小屋も見つからず我々もいなかったので、かなり焦ったとのことだった。
 ずっと降り続いている雨の中、只見駅近くの温泉センターに立ち寄る。風呂からあがると、ここは温泉ではないことを告げられてがっかり。最後まで期待を裏切られた山行だった。

〈コースタイム〉
【10月19日】 登山口発(7:50) → 林道入口(8:20) → 小三本沢出合(8:40~55) → 幕場900m(12:00)
【10月20日】 幕場発(7:00) → 登山道(12:10) → 登山口(15:20)

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ344号目次