トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ344号目次

山スキー・十勝連峰カミフ(上富良野)エリア
山崎 邦子
永岡 恵二
渡辺 守

山行日 2014年1月11日~13日
メンバー (L)山崎、高木、斎藤(吉)、渡辺(守)、永岡

記録:山崎
 札幌に戻って2シーズン目の冬。北海道の山スキーフィールドもいろいろ分かってきたので、おすすめのコースとして、極上のパウダーが楽しめる十勝連峰カミフエリアの3部作(1)三段山、(2)富良野岳ジャイアント尾根、(3)前十勝岳カバワラ尾根の滑走計画を立てた。
 11月末には北海道の山岳会がこぞって雪訓を行うカミホロカメットク山をはじめ、東京で言う「谷川岳」みたいな存在の山域だ。今回は積雪が少なく、悪天候で前十勝岳には行けず、また3日間全く十勝岳連峰を望めなかったのは残念だったが、この気象条件の厳しさもカミフエリアの特徴といえる。
 山もいいが、べースの吹上温泉白銀荘がまたイイ。横向温泉みたいに渋いのも良いが、部屋は小ギレイで自炊場所も広く、露天風呂、宴会用大広間などスペースゆったりで実に居心地がいい。人気の自炊宿で連休は早くから満室になるので、予約開始と同時の3ヶ月前に4名定員の個室を予約。最終参加人数が読めなかったので、増えた分は同日にhyml(北海道山のメーリングリスト)のオフミが大広間とベッド棚の部屋を大人数抑えていたので、そのスペースを分けてもらうことにした。これで何人来ても大丈夫だったのだが、結局、ちあきがキャンセルで5名。
 あっちゃん、モキチ、ケイジイは10日に来道したので、ススキノで前夜祭を行う。翌朝早いので宴会はほどほどで切り上げた。

【1月11日(土)】
 今回は私が車で皆をホテルまで迎えに行くことになっており、メンバーはかなり不安がっていた様子。まぁ~、東京在住中はペーパードライバー歴○十年、北海道雪道運転初シーズンなので無理もない。とりあえず、ホテルには無事7時に到着。皆をピックアップし、ここからはモキチとケイジイに運転を担当してもらう。
 道北の天気予報はあまり良くなかったが、札幌は青空。さぁ、道央自動車に乗ろうとしたら何と通行止めだ。江別を過ぎるところから地吹雪が舞い始め、岩見沢ではホワイトアウト状態。徐行運転を余儀なくされたり、ところどころ暴風雪による渋滞もあったりで、ナビの白銀荘到着時間は15時。「これはもう、今日は滑り無しだなぁ~」と、一同モチベーション落ちまくり。こういったホワイトアウトは北海道では多々あるが、ケイジイはもちろん、雪国新潟出身のモキチもさすがに「ここまでスゴイのは無い」とビビっていた。
 それでも富良野市に入る頃には少し視界もよくなり、白銀荘には14時前に到着する。しかし結構な雪降りで山は全く見えない。あっちゃんは既に湯治モード、このまま温泉に浸かって休憩するという。滑るかどうか迷っているケイジイとモキチの尻を押し、「三段山の二段くらいまでなら1時間ちょっとで行けるから、行こう」と促す。
 14時20分スタートで三段山へ。白銀荘からすぐに登れて好きな場所で引き返せる足慣らしには格好の山だ。思ったより温かく、雪も少々重めだったが、本州のレベルで行くとそれでもパウダー。メロウな登りに一段目の急登を経て標高1,314mの二段目上まで登る。膝下くらいの深雪だったが、底づきがあり快走とはいかなかった。前走者にコース中荒らされていたのも一因。それでも一段目下の斜面は気持ちよく滑り降りる。16時前に下山。
白銀荘でhyml(北海道山のメーリングリスト)のメンバーと交流宴会  戻るとナベちゃんが到着していて入浴中。あっちゃんもしっぽり一人酒。我々も温泉に入り、17時から自炊場で夕食の準備にとりかかる。hymlのオフミには30人近い参加者が来ていて、私の知り合いも多い。北海道の山スキーに詳しい面々が多数いて、いろいろ情報が聞けるありがたい仲間である。
 三峰の夕食が終わったあと、呼ばれて大広間のhymlの宴会にお邪魔する。三峰宴会部長ケイジイはここでもいい味を出していた。
 途中、宴会を抜けて翌朝食のポトフを作っっておいたのだが、翌朝、一緒に置いてあったパンともども盗み食いされるという事件が発生。絶対に犯人は他の宿泊者しかいないのだが、犯人は分からずじまいだった。白銀荘には何度も泊まって自炊しているがこんなのは初めて。「美味しそうだったから食べられたんだよ」と周囲は慰めてくれたが、何とも後味悪い出来事となってしまった。

【1月12日(日) 記録:永岡】
 前日の夜に山邦さんが作った朝食のポトフとパンが、朝起きると誰かに半分以上食べられていたという前代未聞の事件が起きた。そんなこともあり、8時出発予定が30分ほど遅くなっての出発。今日は3年ぶりの渡辺さんが一緒だ。コースは、山邦さんの知り合いの方々のアドバイスもあり、富良野岳のジャイアント尾根。白銀荘から2kmほど車で移動し、ヌッカクシ富良野川の堰堤からスタート。堰堤がある950m付近から1,400~1,500m位まで登って、ジャイアント尾根の西側の林班(りんぱん)コースを200mほど滑り、登り返してから、ジャイアント尾根を滑るルートである。
 ヌッカクシ富良野川の渡渉後、ビーコンチェックをして、すぐにスキーで登り始めた。登り始めは樹林帯。自分達より先に白銀荘を出たパーティーがしっかりトレースをつけてくれているので歩きやすかった。標高200mほど登ると、今度はベベルイ川の渡渉点となる。こちらはすっかり雪に埋もれているが、急な斜面をトラバース気味に下って直ぐに登り返すように渡る。下に転ぶと、冷たい水の中にジャボンとなる。全員無事に通過した。それ以降もずっと樹林帯が続く。斜面も段々緩やかになり、1,200m位から樹林が薄くなってきて、歩きやすくなってきた。が、寒い。
深雪&風雪のジャイアント尾根を滑る  1,400m位で前のパーティーがシールを外し、滑り出そうとしていたので、自分たちもここで登るのを止め、シールを外し、林班コースを滑ることにした。林班コースも濃くはないが、樹林帯。山邦さんの話では雪が少なく、以前はもっと疎林で快適な斜面だったとのこと。斜面は中斜面で滑りやすい。フカフカのダーパウ! 山邦さん、もきちさんの上級者が新雪の斜面を跳ねるように滑っていった。続いて自分も。しかし、そのあと3年ぶりの渡辺さんがなかなか滑ってこない。それほど離れていないので、沢の方に滑って行ったとも考えられない。「もーとー」と3人で叫ぶが、返事がない。暫くすると、雪まみれになった渡辺さんが上の方に見えた。思いっきり後傾になったボーゲンで、ターンの都度転んで降りてきた。顔に余裕は全くない。それをリーダーの山邦さんは楽しそうに見ていた。自分は3年前テレマークで行った山スキーを思いだした。ターンの都度転んだ時の山スキーの疲労度は半端ではない。渡辺さんの辛さが痛いほどわかる。
 林班コースを標高200mほど滑って、一本とって、登り返した。深い新雪でトレースまでのラッセルが非常に大変だった。トレースについてからはしっかり固められていたため、楽に登り返せた。
 林班コースの滑り出し辺りまで戻って、今度はジャイアントコース。ジャイアントというだけあって、広い尾根で快適そう。ただ快適なのは最初の方だけで、徐々に樹林が濃くなった。標高200m程で樹林が濃くなり、そこからはほぼ登りのトレースに沿って滑ることとなった。
 今回のコースは半分以上樹林帯の中だったため、せっかくのダーパウを楽しむには物足りない感じだった。
 それにしても、渡辺さん、お疲れ様でした・・・。

ジャイアント尾根を無事下山 雪まみれのナベちゃん、お疲れ様

【1月13日(月) 記録:渡辺(守)】
三段山登山口にて。ここは十勝岳の登山口でもある  この日も朝から雪が降っていたが、風は弱く視界が利いたので気楽に参加できた。三段山はまさに白銀荘の裏山といった感じ。山荘駐車場より一段上がり平坦な道をてくてくと進むと、すぐに三段山登山口の標識となり、そこで記念撮影。本当はもっと先の前十勝岳に行こうとしたが、この雪では仕方ない。しかし、本当に雪がよく降るのだが、そのくせ雪は重くてスキーの滑りは悪い。一段目は広い丘陵をくねりながらの登り、樹林帯を越えると二段目が見えてくる。去年、雪崩遭難があった場所とのこと。こんなところで・・・と思うが、実際はいかにも雪崩が起きそうな場所は気を付けるので、こういうなんでもない場所での遭難が多いのだろう。二段目も直ぐに登ってしまうが、視界が利かなくなり雪もザラザラになる。ここで終わりにして来たルートをそのまま滑ってもどる。あっという間で10時半には山荘到着し、再び温泉に入る。
 私は車で10分のカミホロ荘に延泊するため、皆を送ってまた再び温泉に入る。2時ごろまで休憩室でゴロゴロし、カミホロ荘に移り、またまた温泉に入る。翌日は、夕方便まで時間があるので富良野スキー場にでも行こうかと思ったが、とても寒いのでまた温泉を繰り返し、それでもまだ時間があったので後藤純男美術館と旭山動物園に行った。3年ぶりの山スキーで全く上手く滑れずくじけてしまったが、温泉と芸術とペンギンがとても良かった。

2日間お世話になった白銀荘 おススメの自炊温泉宿です
〈コースタイム〉
【1月11日】 白銀荘(14:20) → 三段山一段目(14:50) → 二段目(15:15) → 白銀荘(15:50)
【1月12日】 堰堤(9:00) → 林班コース滑り出し(10:55) → 林班コース登り返し(11:25) → ジャイアントコース滑り出し(12:05) → 堰堤(13:35)

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ344号目次