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雪山登山・毛勝三山
峯川 正行

山行日 2014年4月26日~28日
メンバー (L)高木、峯川、内田

 GWは後半にアッコさんの会津朝日岳からの縦走が控えており、いつもの通り年度末は仕事で山にいけず体力がガタ落ちの私にとって、なんとしてもGW前半に山に行かなくてはと思っておりました。そんな時に、高木さんが毛勝三山に行く! という情報を仕入れ、安易? な気持ちで参加表明をした次第です。
 安易な気持ちで登れると思ってすいませんでした~ バテバテでした~
 東京駅南口のはとバス乗車エリアにて集合して21時30分出発。渋滞もなくスムーズにかっ飛ばし名立谷浜SAにて仮眠をする。

【4月26日 快晴】
 翌朝魚津ICで降り、登山口付近まで進む。魚津ICまで一直線で進み、片貝山ノ守キャンプ場を少し進むと予定通り通行止めとなり、その横に車を駐車する。かなりの台数が駐車していたが、ほぼ富山ナンバーで地元の方が山菜採りで来ている様子。道具の振り分けなど準備をしていると2台車がやってきて、2パーティは猫又山方面に進むようである。同じ日に入山したのは、我々を含め3パーティであった。
 7時半に出発し、ひとまず片貝山荘までの林道歩きをこなす。下山予定の洞杉からの林道を右にみやり進む。多少デブリなどもあるが重荷を背負って黙々と進む。約2時間で片貝山荘に到着。一応、山荘内部も軽く偵察する。電気も使えてとても快適そうでした。
 今回は通常登られる阿部木谷、毛勝谷の登路ではなく最近整備された毛勝山西北尾根から毛勝山を目指すことに。雪崩が頻発している毛勝谷で幕を張るような度胸はさすがになく、リーダー判断の尾根ルートには賛成である。1日で毛勝谷を登り切る体力もない。
 片貝山荘の先の林道をさらに進み、橋を渡りすぐ現れるヘアピンカーブ付近が西北尾根の取付となる。小さくて最初は気付かなかったが、木に毛勝山登山口と書かれた板が打たれていた。取付部の急斜面には雪が結構ついていたので早々にアイゼンを装着して登ってみるが道は尾根筋に流れていき、全く雪がついていないので、すぐにアイゼンを外す。
 覚悟はしていたが、トラロープがいくつもある、とんでもない急登が続く。こんな日に限って天気は快晴で暑くてしょうがなく、ゼイゼイ言いながら登る。道の傍らのイワウチワやカタクリを見て心を少し和ませながら気力で登っていくと、1,050m付近の台地に辿り着きやれやれ~ この先は等高線も間隔も少し広がり今までの急登はないようでほっとする。
 その先からは少しずつ雪が出てきて、快適に登り1,300m付近でまさに幕場という場所があったので13時半に行動を停止しテントを設営する。時間もあったので雪テーブルを作ることに。実は私はこの雪テーブル初めての経験! 結構簡単に出来て地味に嬉しさを感じる。まずは頑張って持ち上げたビールで乾杯してテーブルの先にある北方稜線の僧ヶ岳、駒ヶ岳を眺めながらまったり過ごす。幸せな時間でございます。

雪テーブルで僧ヶ岳を眺めながらまったり初日の快適な幕場

白光りしている毛勝山 【4月27日 快晴】
 4時起き、6時出発。30分くらい登ると1,479mの三角点があった。この先は雪がたっぷり尾根に付いていると思いきや、尾根筋は藪があり、雪庇側は結構雪塊が落ちていて歩けずに阿部木谷側の雪面を歩くが早朝で雪が硬いこともあり、結構嫌らしいトラバース箇所が多く慎重に足を進める。2,000m台地となると、目の前に陽射しに照らされて白光りしている毛勝岳が現れる。最後の登りは相当厳しそうだなあと思いながら足を進める。
 モモアセ池があると思われる付近を過ぎ、2,151m台地までの急登がまた堪える。この頃から意識が少し朦朧としてきて眠くなってくる。明らかにバテが始まっていると実感する。先頭をゆうきさんに任せて私は最後尾をトロトロと歩く。多少重荷とはいえ、なんとも情けない。確かに重荷を背負っての長い山行自体が昨年の夏以来であり、やはり準備不足だと反省する。それでも前に進むしかないので、10歩歩いて休憩して、そして進むというルーティンを黙々とこなす。2,151m台地を越えるとクワガタ池がある窪地を抜け、いよいよ最後の急登が待っている。いよいよこの頃になると、先行の二人とだんだん離れていく。上を見ればステップが綺麗に斜め方向に刻まれている。見上げるとあまりにも果てしなく、絶望してしまうので、あまり上を見ないで黙々と登る。
 ようやく斜度が緩くなってくると山頂に到着である。すでに、高木さんとゆうきさんはザックを下ろして景色を楽しんでいる。進むべき釜谷山、猫又山も見える。山頂は雪がたっぷりとあった。時刻は12時。今日は本当にあの遥か先の猫又山までいけるのか非常に不安であった。

毛勝山最後の急登 みんな待って~釜谷山を越えてなんとか猫又山へ進む

 なんとか足が前に進むが、悪名高き踏抜き大会が始まってしまった。最後には高木さんからスコップをお借りして自分で脱出することにする。雪はたっぷり付いているのでルートで困窮することなくスムーズに前の二人は進み、私はどんどん遅れていく。釜谷山には14時半に到着。その先に猫又山が見える。
 これならば16時には猫又に着けそう。最終手段でお二人に荷物をいくつか持っていただき、私のペースを上げる手段をとる。なんとも情けないが・・・ お陰様で猫又に行く気力が湧いてきて、ゆっくりだが足が進む。最後の雪壁を乗り越えて、15時45分に猫又山に到着。山頂はまさしく幕場適地であり、すぐに設営にとりかかる。目の前には剱岳がドーンと見える。ここからの裏剱は素晴らしい。高木さんがここにテント泊したかった理由がよくわかった。
 風も強くなりそうなので、ブロックを簡単に積み上げてフライが巻き上がらないようにする。ビールが2缶もあるので、雪の中にいれてクルクル回転すると、すぐに冷え冷えのビールになり、乾杯!! めちゃめちゃビールが美味いんです。持ち上げてほんとよかった~ 夕陽に照らされた裏剱と能登半島方面に夕陽が水面に写り込んだ光景がなんとも印象的だった。

素晴らしい裏剱~最高の猫又山の幕場

剱岳をバックに記念撮影 【4月28日 くもりのち晴れ】
 今日は猫又谷を一気に下る! 4時起き6時出発。猫又谷上部の雪の硬さもほどよいぐらいだろうか。天気が崩れる予報で、朝から高曇りで、いつ降りだすかわからない。
 剱岳から伸びる北方稜線をまじまじと眺めながら、猫又谷下降点にたどり着く。昨日、猫又谷から上がってきたパーティ(初日に駐車場で挨拶した)の踏跡がついていて、ステップを使わせて頂く。斜度がきつい上部はトラバース気味で入っていくが途中からはステップを利用して直滑降で下降する。ステップがなければ、おそらくトラバースしながら下降していて相当時間がかかったと思う。
 一歩一歩しっかり足を下ろす。アイゼンなど引っ掛けて体重が前のめりになったら全員巻き込んで滑落である。デブリがなくなる安全地帯にたどり着いて、ほっと一息である。結構踏み抜きが多く、山スキーをするにはコンディション的にどうなんだろうと思いながら降りる。1,090m付近の釜谷出合を過ぎると沢筋が出てきて左岸を踏み跡を追っかけながら進む。900m付近で踏跡が上方向に逃げている。はてと思い地形図を見るとこの上に林道が通っているようで、そちらに逃げたようである。通常、猫又谷に入る際もここからのようである。林道に降り立ちアイゼンを外してホッとして、下山モードに切り替わる。これからたらたら林道を歩けばいいかと思ったが、雪が結構残っていて、沢筋を乗り越す際は結構なデブリがあり慎重に越える。ヘアピンカーブにたどり着くと坂様谷にそって下がっていき、第四発電所にたどり着く。この先は除雪がされた林道をたらたらと歩く。洞杉と言われる観光エリア&駐車場を過ぎると初日に通りすぎた分岐点に合流し駐車場へ足を進めるだけである。頭はビールと魚介類とお風呂である。

いつかいけるか?!剱岳北方稜線一直線の猫又谷を下る

とても美味しかったです!魚津の増重さん  山間部を抜けて北山温泉の仁右衛門家という宿で入浴する。私好みのかなり鄙びた温泉地である。そのまま海の駅・蜃気楼に向かい海鮮物を頂くことに!
 そして、今回は魚津に一泊してから翌朝帰京するので、とても気持ちが楽なのです。今日は海鮮物をたらふく食べて打ち上げです! 宿は私好みのこれぞ民宿! という感じの親しみやすい女将さんがいらっしゃる大島屋旅館。魚津駅前で便利です。そして打ち上げ会場は女将さんから聞き出した「増重」というお店。ここは本当に美味しかった。有名なのかかなり混雑していた。刺し身ももちろん美味しいが、カレイの唐揚げが特に美味しかった~ かなり日本酒を飲み過ぎで二日酔いとなりました。

〈コースタイム〉
【4月26日(土)】 片貝山ノ守キャンプ場先通行止め地点【駐車】(7:30) → 片貝山荘(9:15~35) → 毛勝山西北尾根取付(10:00) → 1,050m台地(11:30) → 1,300m台地【幕営】(13:30)
【4月27日(日)】 1,300m台地(5:55) → 1,479m三角点(6:25) → 2,023m地点(10:00) → 2,151m地点(10:40) → 毛勝山(12:00~25) → 釜谷山(14:25) → 猫又山【幕営】(15:45)
【4月28日(月)】 猫又山(6:00) → 猫又谷下降点(6:30) → 釜谷出合(8:35) → 林道(8:50) → 第四発電所(10:00) → 龍石祠(10:45) → 林道分岐点(11:30) → 片貝山ノ守キャンプ場先通行止め地点【駐車】(12:00)

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