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ハイキング・富士山村山古道
鈴木 章子

山行日 2014年6月14~15日
メンバー (L)鈴木(章)、藤井、中澤、山口(順)、飯塚、杉本、内田

【6月14日(土)快晴】
海抜0m田子の浦  伝説も含め、飛鳥の時代から歩かれ、平安時代に開山、江戸時代は山岳信仰で栄える。しかし、明治初期『廃仏毀釈』で入山禁止(閉鎖)。100年後の今、弱々しくも、再度、光を浴びつつある日本最古の古道『富士山 村山古道』。
 海抜0m田子の浦で手を清め、標高2,500m新六合目までの41kmを6名の勇者を道連れに完歩してきました。
 静岡県側のゆったりとした登りに、高度計が壊れているのかと何度も疑いながらの初日でした。中澤氏は私用のため宿泊地で合流。
 東海道線吉原駅(9時集合)から海を目指し南下。海は見えるが海岸までが遠かった。テトラポットの隙間から海水に全員手をつける。さあこれから『富士山 村上古道』への幕が開けられた。海岸で各々小石を拾い、小石の収め先、富士塚へ向かう。
 確か、梅雨の真只中、しかし、この好天は富士山からの御利益なのか? 日傘が何故かよく似合う。全員地図読みはばっちり。富士塚で拾った石を収め、左富士を目指す。江戸から京への東海道で唯一富士山が左に見えるところ、葛飾北斎の絵にもある。それが地名になっているなんて、やっぱり富士山は凄い。左富士神社で一休み、旧東海道の最後の一本松で記念写真。吉原宿に着く頃には、我々6名はすっかり観光客になっていた。
旧東海道の最後の一本松  吉原宿は折しも大祭日。両側の歩道には露店がびっしり。人混みと露店を避けながら12時近くになったお腹を抱えて歩くのは言葉にならない戦いだ。
 商店街の中ほどには富士山専門店があった。そこで3名が『富士山 村上古道』の地図を購入。困ったことに、そこの店長がまたお話し好き。ペットボトルの静岡茶を全員に下さったが、我々をなかなか手放してくれない。「いかに切り抜けるかー」が最初の難関。
 富士山専門店の店長から聞いた江戸時代から経営している『鯛屋旅館』で昼食にした。お祭りメニューと言って出されたものは蕎麦ばかり。
 駿河○○蕎麦¥850が目に入り注文。前菜には、ゆで落花生と枝豆、塩気が強くて汗をかいた体には、ほど良い味。出された蕎麦にこれまた感激。蕎麦は更科、蕎麦の上には駿河名物の干しエビ・荒削りの下ろし大根・白髪葱などがテンコ盛り、味もグー。今回、最初で最後のゆったり食事に全員大満足。
 市街地を外れると露店は全くなくなりゆったりと歩けた。吉原宿まで標高10m3時間20分を要した。本日の宿泊地まで後標高480m。全員スピードアップ。西富士道路を潜ると間もなく道しるべ①に出会う。後は道しるべを頼りに行けばよい。道しるべ②の近くが最後のコンビニ。ここで今夜と明日の食事を購入。ビールで喉を潤す人もいた。
 そこから先は民家は少しずつなくなり、耕作地が多くなる道を富士山を目指して歩く。ここからは、富士山の剣ヶ峰までが見える裾野の広さ、山の高さなど全体から受ける印象を比較して、やっぱり此方を表富士と私は名付けたい。
村山神社  暑かった1日も、標高200mを過ぎると風も出てきて辛さを感じなくなってきた。この頃から、今夜はビールが飲めるのかが大きな話題になってきた。宿泊地に電話「ない!」。地図に載っている村山神社近くの山本商店に確認「ある!」。一部の人の安堵感。何だか幸せそうだった。
 村山神社着16:20。標高490m吉原宿までの時間を考えると思いのほか早く着いた。全員で参拝後、ビールを買って宿泊地へ。
 村山ジャンボは合宿専門の宿。当日は合宿がないのでとシャワーのみはちょっと悲しい。それに、素泊まり¥5,400(税込)は高い! 些か不満はあったが客は我々のみ。オーナーは我々のシャワーが終わるとサッサと帰宅。6人で八畳2部屋、トイレは綺麗、洗濯機(洗剤あり)と物干し場もあり、この点ではグー。洗濯を始めると汗だくで中澤氏が到着。再度、洗濯機を回しながら、3時間ほど手持ちの物を並べて夕食をとり床に就いた。

【6月15日(日)快晴】
 翌朝4時起床。5時20分神社前を出発。今日も快晴。7人でブラブラと歩きだす。
 最後の民家鯛津さんの前に無人販売があり、大カブ3個¥50を買っておけばよかったと標高1,000m辺りから思い続けた。
 道標とテープを頼りに進むが、ここでも高度は稼げない。実際、登ったと実感できるのは1,600m辺りからだろうか。植林の中を進むが喋りに力が入りポイントはほとんど見逃す。それでも天照教社(1,000m)・中宮八幡堂は休憩地としてベスト。展望は少ないがホッとする場所だった。
 森の岩は乾いた苔に覆われ美しい。持ち帰りたくなる気分。
 その後も我々の行動に変化はなく、地図を確認し、登山道を確認し、サッカーの情報も入手しながら進む。スカイラインを2回横切ると斜度は少しずつ増してきた。間もなく高鉢駐車場へ続く道を横切った。植林はすっかりなくなり自然林の若葉が美しい。
 瀧本・笹垢離跡(1,860m)には首のない石仏が数体。今回初めての石仏。道中もっと多くの石仏に会えると思っていただけに、100年の歴史とは全てを消してしまうものだな~ 自然の力と言うべきか分からないが。
 ここから駿河湾が眼下に見られる。「あんな遠くから歩いてきたのねー」「昨日は暑かったねー」と自分たちの行動に???
眼下に広がる駿河湾  そこから、登山道はシラビソの大倒木帯の中に続く。跨いだり潜ったりを繰り返す。日帰り装備なので助かる。この辺りから山頂が見えるというがあいにく2,000m、上部は雲の中。風もひんやり感じられるようになった。日沢を右に横切ると斜度は更に強くなりガレ場へと続く。周りの木々もぐっと低くなり新六合目の小屋が見え出す頃には樹林限界を過ぎていた。
 7月1日から開山なので、あいにく小屋はまだ営業していなかった。全員、霧の中六合目まで来られたことを感謝して、新五合目に続く火山岩の砂利道を下った。登山口には入山禁止のバリケード。バリケードを抜けると、吉田口ほどの観光客はいないが軽装備の人々で混んでいた。
霧の中六合目  タクシーを待つ間、富士宮口を散策。
 五合目からジャンボタクシーで、新富士駅少し手前のスーパー銭湯で入浴、そこで食事もすませ、トボトボ歩いて新富士駅を目指した。
 今回のコースは登山道も分かりやすく下山に利用しても大丈夫。訪れる人はまだ多くはない。日本中の人が大好きな富士山。これまでとは違う顔を見た思いがした。

〈コースタイム〉
【6月14日】 東海道線吉原駅(9:00)集合 → 田子の浦(9:40) → 富士塚(10:00) → 左富士神社(10:40) → 吉原最後の一本松(10:55) → 吉原本町(昼食)(12:00) → 釈迦堂 → 道しるべ大峰(14:45) → 道しるべ④(15:00) → 道しるべ⑤(15:30) → 道しるべ⑥(16:00) → 村山浅間神社(16:20) → 村山ジャンボ(泊)
【6月15日】 村山浅間神社(5:20) → 林道富士裾野線(6:20~6:35) → 天照教社(7:45~8:00) → 緑陰広場(8:20) → 中宮八幡堂(9:00~9:20) → 富士スカイライン①(9:40) → 富士スカイライン②(10:30~10:50) → ガラン沢・高鉢遊歩道(11:15) → 瀧本・笹垢離(石仏群)(11:40) → 大倒木帯(12:00) → 室大日堂・木戸室(12:20) → 第一層・等覚門(12:45~13:00) → 新六合目(14:00) → 新五合目(14:15)=スーパー銭湯 → 新富士駅

歩行時間 6月14日 7時間
       6月15日 9時間
標高差   海抜0m~2,490m
ジャンボタクシー(新五合目~スーパー銭湯) ¥17,500
風呂代     ¥750
村山ジャンボ  素泊まり ¥5,400


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