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山スキー・北アルプス双六岳
荻原 健一

山行日 2014年5月3日~6日
メンバー (L)荻原、斎藤(吉)、永岡

 昨年のGWスキーは薬師岳周辺であったが、その際一緒に滑った仲間と「来年は双六だー!!」と盛り上がったので、予定通り例会として企画した。メンバーはちょっと寂しいが、いつものお気楽ご気楽メンバーの3人組なので気兼ねがなくてよい。

【5月3日】
 新穂高温泉の無料駐車場から重いスキーを担いで出発する。蒲田川左俣沿いの林道を進み、わさび平へ。ここから雪がだいぶ付いてくるのでシール歩行に切り替える。小池新道に入ると秩父沢からのデブリがひどい。そういえば途中3人組のパーティーがデブリと落石がひどいと言って戻ってきたが、敗退するほどの危険は感じなかったので我々はそのまま進む。元気があれば大ノマ乗越しを越えて双六小屋まで行きたいところであったが、テントと4日分の食料の重荷は中高年パーティーには堪えるので、予定通り大ノマ乗越しへのルートを左に分けて鏡平へ向かう。この頃から天気も悪化し、雪が降り始め視界もほとんど効かなくなる。組員のペースもバラバラになり1時間以上も離れてしまうような状態になったので、鏡平の手前30分くらいのところで今日の行動をあきらめる。学生らしき10数名のパーティーと我々より更にバテバテだった単独氏の3パーティーが同じようなところを幕場とした。

双六岳山頂 【5月4日】
 今日はB.C.の双六小屋まで行った後、1本滑る予定なので早めに出発するが、学生パーティーは更に早く出発したようだ。天気は快晴でモチベーションは急上昇! 鏡平には寄らずに弓折岳にそのまま突き上げる。なかなかの急登でシール歩行はあきらめてアイゼンで登る。板は重いので背負わず、引っ張って登ったら結構楽チンだった、ほどなく弓折岳山頂へ。ここからの稜線ルートは、シール歩行可能な小さなアップダウンが続く。揉沢岳手前のコルから左手の双六谷へ降り、谷を詰めて双六小屋へ到着。明日の天気は大荒れ予報なので、できれば冬季小屋に入りたい。小屋の中を覗くと誰もいない! ありがたく小屋を使わせて貰うことにする。荷物を置いて場所を確保した後、双六岳山頂へ向かう。天気は今日いっぱいは大丈夫そうだ。山頂からの景色は360度で北アルプスのど真ん中を実感できる。
 景色を楽しんだあとは、いよいよ今山行初めての本格的な滑降だ。山頂より双六谷へ続く沢へ飛び込む。斜度は急過ぎず緩すぎず、私の技術だとちょうど快適な感じで雪の状態もゲレンデみたいで簡単だ。時間はたっぷりあるので、贅沢な滑りをゆっくり味わいながら満喫する。程なく双六谷へ合流し、緩やかな斜面を登り返し、双六小屋へ戻る。今日はなかなか充実した1日であった。

【5月5日】
 予報だと今日は終日吹雪だが、さてどうだろう? 小屋の窓を開けると、残念。やはり吹雪だった。天気は時間を追って猛吹雪になり、朝方なんとか行動していたパーティーも小屋に逃げ込んでくる。外は地獄だったなどと言っている。と、いうことで一日飲んで食べてしゃべって過ごす。小屋は10数名でいっぱいとなったが、我々ほど酒を持って来ていたパーティーはなかった。
さすが三峰?

大ノマ乗越しにて 【5月6日】
 今日は残念ながら、もう下山しなくてはならない。天気は起きた頃はまだ真っ白だったが、小屋を出る頃には急速に回復して、快晴となる。雪はまだバリバリだが、斜度の緩い双六谷の滑降には問題ない。あっという間に大ノマ乗越しへの分岐に到着。ここから300mの登りとなる。我々はアイゼンを付けてつぼ足で登ったが、シール登行も可能だったようだ。乗越しに着くと突然ガスに包まれホワイトアウトになってしまう。今山行最大の滑降がガスの中ではつまらないのでしばらく待機する。30分程粘っていると、ガスが動き出し、一気に晴れ上がる。
 槍や穂高が美しい! 最高のロケーションの中、いよいよ標高差1,000mの大滑降が始まる。昨日の雪が多少緩和剤にはなってくれているが、その下にあると思われるデブリで見た目よりはデコボコしている。それでもそれなりに楽しく滑っていける。モキチさんはすっ飛んで行ってしまった。相変わらず速い。太腿が痙攣しそうになる頃、左俣林道の少し上の雪崩安全地帯で大休止する。その後林道沿いにわさび平まで滑り、ここでスキーを外す。スキーを背負い長い林道歩きをこなし新穂高温泉に到着して山行終了となる。
双六谷  今回は、最初の林道歩きの時点で2パーティーも敗退して戻ってきたので最初はどうなることかと思ったが、周囲の山で大量遭難を出した5月5日の悪天をうまく凌いで、双六の山スキーを十分楽しむことができた。やはり北アの山スキーはスケールが大きくて素晴らしい! さて来年はどこに行こうか?

〈コースタイム〉
【5月3日】 新穂高駐車場(8:30) → 鏡平手前2,150m(15:30)
【5月4日】 幕場(5:30) → 双六冬季小屋(10:30~11:30) → 双六岳(13:00) → 小屋(14:30)
【5月5日】 終日停滞
【5月6日】 小屋(8:00) → 新穂高駐車場(13:00)

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