トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ346号目次

ハイキング・月山
藤ドンご隠居と格子と助子の月山お勧めコース
鈴木 章子

山行日 2014年9月20日~23日
メンバー (L)鈴木(章)、飯塚、藤井

 久々に自分のために休暇が取れ嬉しくて、ご隠居と格子を誘って月山に出かけた。行動予定時間1日6時間前後、最終日は肘折温泉泊の条件で。

【9月20日】
 前夜、新宿西口から夜行バスで出発。山形駅から鶴岡駅行高速バスで月山口下車。そのままバス停で待っているとコミュニティーバス(バスストップ)が来たので乗り込む。乗客は全員で10名ほど。バスはドンドン山の中に向かい月山姥沢に向かう。途中の自然博物園で下車したのは、我々3名のみ。
月山お勧めコース スタート!!  そこから旧六十里越街道に向かう予定だったが、ご隠居が突然、今宵の宿 施薬避難小屋への最短距離の石跳川コースを登ると言い出す。なんとわがままな! しかし、伴としては逆らえず小屋で合流と言うことで、格子と二人旧六十里越街道に向かう。
 旧六十里越街道の入口が中々分からず(起点になるはずの国民宿舎は今はない)右往左往。道路工事の作業員が指をさした丸いトタン屋根作り小屋の脇の藪っぽい道に入って行った。50mも進むと道らしくなり進めば進むほど旧街道の趣が出てきた。
 この道は湯殿山大鳥居まで、水場の途切れることもなく、緩い傾斜を登っていく。至る所に現在位置の案内板、名前の由来があり、歩いていても飽きることはなかった。
 大岫(おおぐき)峠は、西川町と鶴岡市の分岐点。峠でゆっくり何度目かの食事を取りながら、二人でこれから行く湯殿山神社の話をした。
 湯殿山神社分岐から山道を辿り懺悔坂を登る。本日、一番辛い登りと感じた。大鳥居をくぐり湯殿山神社まで車道を30分、睡眠不足の体にはこれも堪えた。
 神社の入り口で身を清め、お祓いをして頂き、御神体(温泉の湯の上を裸足で歩く業)に接し、最後に足湯で体を温める。なんと温かみのある神様なのか、格子ともども感激。神社から小屋まであとは登り1時間、下りは50分。大した登りじゃないねと、軽く見ていたが・・・。
 目前の下山者数名が、なかなか下りてこない。あれが月光坂と言うんだね。と言いながら本日最後の行動食を取る。全員下山を確認したのち、登り始めて分かった。ゴルジュの中に傾斜50度位の角度に鉄梯子が小屋手前まで。上っても上っても続く。日は段々影ってくるし、暗いゴルジュの中、本日最急登の登り。もう歩きたくな~い。
 登りきって2分で小屋に着いた。小屋では、先着のご隠居一人、高鼾で眠っていらした。小さな小屋で5人が上限だろうか。小屋の中には、流し台があり蛇口の付いた水道、小屋の外のトイレは水洗。何と素晴らしい小屋。我々忍びの者には贅沢すぎる。
 小屋の近くの高台から夕陽に歓声。小屋裏の湯殿山と星空に歓喜。更に、今夜の食当、ご隠居のチキンラーメン3個に感激?
「これだけ?」
「チキンラーメンに、温泉卵とキャベツが付けば、こんな贅沢はない!」
「ハハアー・・・」
 明日の好天が約束されている夜は何だか嬉しい。格子がステーキを食べるとき、助子が饅頭を食べるときに等しい。湯殿山のお札にお礼を言ってシュラフにもぐり込んだ。

格子さん

【9月21日】
 快晴の中、6:50に小屋を出た。金姥で荷物を置き、姥ヶ岳をゆっくりとピストン。素晴らしい展望と紅葉を楽しんだ後、月山山頂を目指す。月山リフトが動き始めたのか至る所から人が来る。白装束の団体が山頂から下山。俄か修験者なのか挨拶しても少しずれる。まあ、それがこの山の魅力だろう。
 山頂に立つのは今回で3回目。特別の感はないが、何時も混んでいる。
 山頂で充分に景色を楽しんだ後、いよいよ今回の目的、肘折温泉目指し22キロの下山コースに入る。今宵は、途中に有る念仏ヶ原避難小屋泊。

素晴らしい展望と紅葉姥ヶ岳と助子さん

 立山の弥陀ヶ原にも劣らない広く続く草原地帯を、草の掛かった登山道を探しながら下山。紅葉も程々、空ゆく雲も白い。不満はないはずなのだが、道がー。
広く続く草原地帯  立谷川が最終鞍部。ここに架かる清川橋は7橋脚を残し無残に崩壊。渡渉になったが水が冷たい! 今年の山は、何故か、渡渉が多い気がするが・・・。
 渡渉後、充分休息を取り、小屋を目指し痩せ尾根に取り付く。1時間ほどで小屋に着いた。小屋には先着の3パーティーが夕食の準備をしていた。小屋は、2階建でしっかり作られていた。土地の人の憩いの場所なのか、生活用品がやたらと多い。2階には布団も用意されていたが、水場は小屋の前の小さな沢だがあまり良いとは言えない。
 水を汲んで調理を始めたが、ここだけの話、小屋での食事、我々が一番質素だった。外のパーティーとあまり話をすることもなく、明日の出発が早いのか、全員20時頃には静かになった。

【9月22日】
 さあ、今日も快晴。新しい出合いの始まり。先々が明るい。小屋を最後に出たのは我パーティー。全員をお見送り。まるで小屋の主みたい。小屋にお礼を告げ出発。
小屋へのお礼  今夜こそは御馳走が食べられる。『豪華メニュー』、考えただけでも心ドキドキ。幸せがやってくる。まずは、三ヶ月池で一休み。湿原に半月の池があり、正面に月山が一望。素晴らしいビューポイント。そろそろ湿原ともお別れ、幸せはさっと行ってしまうんだねー。
 その後は、美しいブナ林の中をゆっくり下山。「キノコは?」と、キョロキョロしたけど出合ったのは、熊の落し物ばかり。ご隠居が小枝で突いては、固さを確認。「3時間前」、「5時間前」と、教えて下さる。熊は、今、発情期。気をつけた方がいいね。3人で、鈴をジャラジャラしていても。
 赤沢川と赤柴川の合流点は素晴らしい幕場だった。テントもないくせに、ここに幕を張りたいと格子は言う。焚火の跡もあるが、そこから見える空の小さいこと。助子は大きい物が好きなんだ。
 合流点から3時間ほどで月山登山口に出た。樹林帯歩きが嫌になる頃だった。立派な登山口の看板。「ホッ」とはしたが、ここから登るのは、んー辛い。水場は、赤沢川合流点からここまでなかった。

湿原で記念撮影!月山登山口でポーズを決める助子さん

 後は車道を1時間20分歩けば、風呂が、食事が、布団がある。夕食のメニューを話しながらブラブラと肘折温泉を目指した。
 この3日間、3人の団結の源は、分け合い飲み続けたメロンカルピスだった。月山の水にぴったり。非常においしかった。また、宿の食事も格別。食べ過ぎて助子は苦しい、苦しいと言っていた。この宿、悪くはなかったね。

待望のご馳走

【9月23日】
 最終日は、5時半からの朝市でどっさり買い物をして、新庄行きのバスに乗り込んだ。

〈コースタイム〉
【9月20日(土)】 旧六十里越街道入口(10:35) → 田代沢(11:15) → 大岫(おおぐき)峠(12:40) → 二ノ峠(13:05) → カラ沢(13:20) → 龍ヶ池(13:50) → 湯殿神社分岐(13:55~14:10) → 大鳥居(14:50) → 湯殿山神社(15:20~16:00) → 月光坂 → 施薬避難小屋(泊)(16:50)
【9月21日(日)】 施薬避難小屋(6:50) → 金姥(7:50) → 姥ヶ岳往復 → 金姥 → 牛首(9:00) → 月山山頂(10:30) → 肘折温泉下山口(10:50) → 立谷川(14:20~40) → 念仏ヶ原避難小屋(泊)(15:40)
【9月22日(月)】 念仏ヶ原避難小屋(7:25) → 三ヶ月池(7:50) → 小岳(8:50) → 赤沢川合流点(10:00) → 猫又(11:25) → 湯殿山石碑(11:40) → 大森山(12:35) → 月山登山口(12:55) → 肘折温泉(泊)(14:50)
〈交通費・宿泊費他〉
新宿~山形(高速夜行バス)¥6,700
山形~月山口(山交バス)¥1,570
月山口~自然博物園(コミュニティーバス)¥500
肘折温泉~新庄駅(山交バス)¥1,240
新庄駅~都内(含む新幹線)¥11,770
松屋旅館1泊2食(税+入湯税込)¥7,710
湯殿山参拝料¥500

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ346号目次