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縦走・蓮華岳~針ノ木岳
林 紀臣

山行日 2014年7月20日~21日
メンバー (L)箭内、天城、澁谷、林

【7月20日(日)】
 扇沢バスターミナルにて前泊、針ノ木小屋に向け出発。前日雨をやり過ごしたおかげでとても良い天気。
 大沢小屋着、すみずみまできれいに掃き掃除されており大変に美しい。毎朝これを続けるのは簡単ではないだろう。出るとすぐに雪渓が見えて来る。登りのずっと上まで人が歩くのが見え、気持ちが萎えかける。まあいつか終わるでしょと言いつつアイゼンを付ける。
 1時間ほど行き、雪渓わきの奥で発電機のようなエンジン音が聞こえる。もう小屋が近いのか? それらしいものは見えない。どうも水汲みポンプの音らしい。
 前方、空との境で雪渓が切れているように見える箇所があり、あそこが尾根だったらいいのにと思い登って行くと、果たして稜線上の針ノ木小屋に到着。いつもながら、山行中にいきなり人工物が現れるとほっとする。荷物を下ろしテント張り。久々に見る北アルプスの景色にしばらく呆然とする。
 皆で蓮華岳に向かう。途中、ピンク色の小さい花の群生があちこちにあり、リーダーはすれ違う人達に次々声をかけ「コマクサ!」「そうそうコマクサ」などとしきりに喜び合っている。そうか、これが・・・。何だか変な形だ。こんな砂地の、しかも風が強いところに点々と根を下ろして花まで咲かせてしまうとは。恐るべき生命力というしかない。
 蓮華岳頂上着。残念ながら曇ってきてしまい眺望なし。まあ仕方ない。今日はよくやったぜ。
「ところで林隊員」「はっ」「明朝、針ノ木山頂にてご来光を拝むべし」「はっ。皆で行きますか」「否、君だけである」「(えっ)」
という訳で、明日朝は「朝飯前」の一人針ノ木岳ピストンとなった。ビール+スパゲティの夕食後、早々にシュラフへと逃げる。

【7月21日(月・祝)】
 4時半頃起床、テント場発。まだ暗い中を針ノ木山頂に向けて登ると、日の出の前兆がオレンジ色にうっすらと見え、段々と赤紫に変わって行く。太陽が上り、周りの山々が薄く紅色に染まって行く。体の中から、しばらく感じていなかった興奮がよみがえり思わず叫びそうになってしまう。
早起きのごほうび  山頂は自分一人きりかと思いきや、もうたくさんの人がいた。めったにない快晴の下、周囲360度に山々がはっきりと見える。生まれて初めて立山・剱を見た。あまりの素晴らしさにハイになり、知らない人たちにも思わず話しかけてしまう。「すごいですね。僕は東京からです。どちらのグループですか」「近いんです。安曇野市って分かります?」山が身近にあり過ぎると、意外にあまり登ろうとは思わないとのこと。
 下りるのがもったいなく、興奮したり呆然としたりしながらあっと言う間に30分ほど過ぎてしまう。テントに戻るのがかなり遅れてしまい、朝食抜きの罰でも仕方なかったが、寛大なる措置でありがたく熱々のラーメンにありつけた。
 山頂で見た絶景のおかげで帰りの記憶が完全に飛んでしまった。残念ながらここでこのレポートを終えたい。

針ノ木岳頂上より
〈コースタイム〉
【7月20日】 扇沢バスターミナル(6:30) → 大沢小屋(8:00) → 雪渓登り開始(8:30) → 針ノ木小屋(12:00) → 蓮華岳頂上往復(13:00~14:30)
【7月21日】 針ノ木岳頂上往復(5:00~6:30) → 針ノ木小屋(8:00) → 大沢小屋(10:00) → 扇沢バスターミナル(11:00)

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