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集中山行・会津駒ヶ岳
その1 沢登り・ミノコクリ沢中門沢
金子 隆雄

山行日 2014年9月13日~15日
メンバー (L)金子、小幡、深谷、永岡

 今年の集中山行は昨年と同じく会津駒と決まり、昨年、行きそびれた中門沢からの集中とすることにした。昨年は台風の直撃で全滅、1パーティも会津駒に辿り着くことができなかった。
 中門沢へのアプローチは昨年の計画と同じで大津岐川の支流の滝沢を溯行、金山沢を下降してミノコクリ沢へ出ることにした。
 金曜夜に東所沢駅で待ち合わせて高速に入ると早速事故渋滞に巻き込まれて合流場所の塩原の道の駅に着いたのは2時過ぎ、先に着いていたメンバーは既に寝ていた。

【9月13日】
 寝たと思ったらもう起きる時間、眠さをこらえて出発する。小豆温泉で御神楽沢パーティを降ろし、会津駒の登山口へ向かう。登山口の広場の少し手前で通行止めとなっており広場までは入れなくなっている。周辺は車がいっぱいで停められず、少し戻った路肩に駐車した。全員もう一台の車に乗り込んで入渓地点へ向かう。
 カーブの多い樹海ラインを通り大津岐林道への入口を探すがよくわからず行き過ぎてしまう。ウロウロしながらようやく林道入口を探し当てる。かなり判りづらく注意していないと見過ごしてしまう。林道はかなりのダートだがゆっくり走れば車での通行は可能だ。
 滝沢出合の少し上流の橋を渡り駐車できるスペースを探すが駐車できそうな場所はなく橋まで戻る。橋の傍に駐車できそうなスペースがあるがそこには既に車が停まっている。その奥にまだスペースがあるので出発前だった釣り人に車を動かしてもらい奥に停めることができた。
 滝沢沿いの林道は地図では取水堤まで続いているが、途中で道がなくなっているので沢へと降りて沢の中を進む。やがてシロウ沢と思える沢が右岸より出合い、この沢へ入る。しかし、少し進んでから違うことに気付いた、曲沢に入ってしまったようだった。早く気付いたので30分ほどのロスで済んだ。
 戻って少し行くと大きな堰堤が現れる。これを右岸の藪から越えてしばらく行くと二俣となる。シロウ沢とスクノシロウ沢に分かれる二俣のようだ。間違いないことを確かめてからシロウ沢へと入る。
シロウ沢でルート確認中  シロウ沢は滝もなくゴルジュもなくただ淡々と高度を上げていくだけだ。ルートファインディングだけは気を使いながら尾根上のコルを目指す。水が涸れて少しの藪こぎで尾根に出る。目指したコルからは、ほんの少しズレたようだが影響はない。
 金山沢へと下る尾根の反対側の斜面は急そうに見えたが下ってみるとそうでもない。すぐに沢形が現れ水も流れるようになる。この沢もシロウ沢と同じで滝もなく下降には適した沢だ。ただ、長いので時間がかかる。日没が近づいているが泊まれる場所がなかなか見つからない。永岡は足が痛むらしく遅れているが幕場探しのため一人先行する。
 ミノコクリ沢との出合近くまで来てようやく平らで砂地のよい幕場が見つかる。後続が到着後すぐにタープを張り、薪を集めて焚き火を始める。
 この夜はとても暖かい夜だった。今年は沢へ行くたびに寒さに震えるということが続いていたので暖かいのはとてもありがたい。

【9月14日】
 今日の行程は短いのでゆっくりめの出発とする。50mほど下るとミノコクリ沢に出た。時間はたっぷりあるので釣りでもしながらのんびり行こうということで釣りながら進む。厳しい所も特になく2時間ほど経過して左岸より水量の多い沢が出合ってきた。ちょうどこの沢を下ってきた釣り人に出会い、話を聞くとこの沢を上から下ってきたのだと言う。この沢は滝などあるんですかと問うと、「いやいや滝なんかないよ、俺たちはロープも持っていないんだから」との返答。それを聞き、この沢はウグイ沢(地形図ではドングリ沢)だと勝手に思い込んでしまった。実はウグイ沢の出合は見落としてしまいとっくに過ぎていたのであったが確認もせずに中門沢はまだ先だと思い真っすぐに続く沢へと進んだ。
 しばらく進むと沢も細くなり水量も激減する。中門沢ってこんなものなのかな、何か変だなと思いつつも先へ進んでいると、後ろを歩いていたバタヤンが、「この沢は中門沢じゃない」とさっき会った釣り人が言ってたよ! えっ、GPSを取り出し確認すると確かに違っている。何と恥ずかしい失敗をやらかしてしまったんだろう。
 戻るしかないのでさっき釣り人が下りてきた沢の出合まで戻る。そう、ここが中門沢だったんです。中門沢はまだまだ水量も多く、さっき間違って入った沢とは大違いだ。だいぶ時間をロスしてしまったが、今日はそんなこと気にしなくていいほど時間の余裕があるので問題ない。
今日の晩ご飯はイワナ丼です  のんびり歩いていると釣竿を持った釣り人が追い越していった。糸が絡まっているらしく立ち止まって直しているが近づくとサッと先へ行きまた立ち止まって直している。どうやら先へ行かれたくないらしい。そんなことを繰り返しているうちに4mほどの両岸つるつるの滝が現れる。釣り人の目当てはこの滝の滝壺らしい。急ぐことはないので気の済むまで釣ってもらって、その間待つことにする。結局は何も釣れずに諦めて下っていった。
 さて、この滝をどうやって越えようか。左岸側壁が何とかヘツって行けそうに見えたのでバタヤンがトライするがかなり悪いとのことで残り3人は左岸より捲く。捲いたはいいが下りられるところがなくて先へ先へとトラバースが続く。ロープはバタヤンが持っているので懸垂もできない。バタヤンがロープを持って途中まで登ってきてくれてようやく沢へ戻ることができた。中門沢で厳しいのはここだけだ。
 この先あまり上流まで行くと泊まる場所がなさそうなので幕場を探しながら行く。標高1,500m辺りに整地すれば泊まれそうな場所があったので時間をかけて整地し立派な幕場が出来上がった。今日の焚き火はなぜか燃え上がらずショボショボだった。

【9月15日】
会津駒での我パーティ  集合時間に間に合わせるため早めに出発する。中門沢はこの先まだまだ滝は沢山出てくるがいずれも階段状で容易だ。ロープが欲しいなと思えるような所もない。
 水が消えるとやがて背丈を超える竹薮となり視界が効かない中での藪漕ぎとなる。かなり長い時間藪を漕いでいた気がするがどれくらいだったかは覚えていない。中門岳とその西側の2,038mピークとの鞍部を目指した。少しズレたが集合時間には間に合う時間に尾根に上がることができた。そこからまた藪に突入してようやく登山道に出ることができた。
 中門岳には寄らずにそのまま会津駒へ向かう。集合場所の会津駒へ着くと森田パーティが待っていた。三岩岳から藪尾根を縦走してきた鈴木パーティは既に下山していったとのことだった。三岩岳からのパーティはとても来られないだろうと思っていたが予想を裏切られた、あっぱれだ。
 最後にタイムリミットぎりぎりで御神楽沢からの荻原パーティが到着して全パーティが揃った。
 2年がかりの集中山行となったが全パーティが目的を達して大成功に終わった。

〈コースタイム〉
【9月13日】 滝沢出合(10:20) → シロウ沢出合(12:20) → 尾根上のコル(15:20) → 金山沢出合(17:30)
【9月14日】 幕場発(7:20) → 中門沢出合(12:00) → 幕場1,500m付近(14:30)
【9月15日】 幕場発(6:10) → 稜線(9:00) → 会津駒ヶ岳山頂(10:30~55) → 登山口(12:30)

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