トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ348号目次

雪山縦走・上越国境稜線(巻機山~中ノ岳)
峯川 正行

山行日 2015年5月2日~6日
メンバー (L)大田、小幡、峯川、内田

 今年のGWは父親が腰の手術をして入院をするので、近郊の山で一泊くらいでのんびりして家の猫たちと遊んじゃおうかなあと思っていた次第なのですが、大集会の後の宴会でオオマサさんから巻機山から越後駒ヶ岳を5日間で歩くという計画を聞いて、一瞬箸が止まりました。確かあれは7年前にアッコさんと十字峡からネコブ山を経由して下津川山に登り巻機山を目指す山行を計画していたのですが、私が脚の故障で参加ができずに、いつか歩きたいと思っていたルートだったのです。
 8年前、朝日岳から巻機山への上越国境稜線ルートを歩いているので、この上越国境稜線の続きを是非やってみたいと思い、GWは山にどっぷり浸かろうと決心しました。

【5月2日(土):快晴】
 前日金曜夜に駒込で集合し、ハスラー号で出発し、いつもの赤城高原SAで仮眠をして六日町ICで下車です。今回はオオマサさん発案の六日町駅前の南魚沼市役所の駐車場に車をデポするという画期的な案で、しばしのお別れを・・・。南魚沼市役所にオオマサさんが駐車の許可などの連絡をしていただき、感謝申し上げます。ここなら車上荒らしなどなく安心です。
避難小屋前でスノーテーブルにて宴会  6時50分六日町駅発の清水行のバスに乗車して山並みを眺めていくと緊張感が高まってまいりました。雪の状態はどうなんだろう、藪は出ていないんだろうか。天気は大丈夫なんだろうか。家の猫たちは寂しがっていないだろうか・・・。
 清水集落のバス停に7時20分に到着です。ここから30分くらい林道歩きで桜坂駐車場に到着です。懐かしいトイレがありましたが、その前に駐車場ができたようでした。荷物などの最終確認をしていよいよ出発です。天気も快晴で暑いくらいです。
 井戸尾根を登っていきますが、以前この時期に来た時もどうも夏道が判然としないまま適当に踏み跡を追っていき藪っぽいところを歩くはめになって、気をつけて同じバスに乗車していた単独男性の後を追って歩いていたのですが、藪っぽいところにぶつかり左側へトラバースして急坂を登って行きましたが、最後は無理やり雪壁を登る感じになってしまいました。最終的には夏道に合流しました。夏道はもっと左側だったみたいです。井戸の壁が終わると五合目の道標があり、さきほどの単独男性が休憩しておりました。ここからは藪もなく快適な雪面歩きとなります。稜線を見上げるとなんとも雪が少ないなあと。明らかに以前この時期に来た時と比べて雪が少ないです。巻機から先はどうも藪が出ているのでは・・・。
 暑くてしょうがなく、数度休憩を入れて前巻機に到着。山スキーの方と少しお話して避難小屋を目指します。暑さと寝不足もあったので当初予定の牛ヶ岳での幕営をやめ、快適な避難小屋前で幕営することに変更。他にも2パーティが幕営。避難小屋は屋根と二階の入口が出ている状況。以前アッコさんと来た時に比べると明らかに雪が少ない・・・。ん~不安。早めに到着なのでスノーテーブルを設営して宴会開始。楽しい時間です。

【5月3日(日):快晴のち曇り】
 3時起き5時出発。このスケジュールは定例的なものとなりました。
 今日も朝からとても天気が良いです。巻機までの急登は朝で雪がしまっていてアイゼンで快適に登り、以前歩いた朝日岳からの上越国境稜線を眺めたりと景色を堪能できました。
 朝日岳分岐を通り牛ヶ岳方面に進みますが、進むべきルートに明らかに藪がでているではないですか!牛ヶ岳には向かわずにトラバースしていよいよ未踏のルートである上越国境稜線に足を踏み込みます。

巻機山から朝日岳方面いよいよ未踏のルートへ でも藪が・・・

 時間は6時過ぎで朝日がとても眩しかったです。果てしなく続く藪を眺めるとこの先はいったい・・・。かなり不安に苛まれました。なんとか腰上までの笹なので前には進むのですが、やはりスピードは遅いです。
 藪に苦しめられながら、しばらく進んだところで、この藪を前進すべきか撤退して越後駒ヶ岳だけピストンにするか、下津川山からネコブ山を経由して十字峡へエスケースするか検討をはじめたのですが、小幡さんの一言で前進することに決定となりました。私の中でも中ノ岳までは絶対に到達したいと決心しました。
 暑いほどの快晴の中、1,834mの三角点に10時前に到着です。ここからは雪がついているナイフリッジの嫌らしい下りなのですが、暑さのためかなり雪が腐っていて、一歩一歩慎重に下ります。私も一瞬バランスを崩して滑りそうになりましたが、ピッケルを雪面へ思いっきり突き刺して難を逃れました。

快晴の中、藪を突き進む1,834m三角点からのナイフリッジ下降

 ここからは三ツ石山までアップダウンを繰り返しながら250mほど標高を下げていきますが、陽が指す斜面は藪が出ていたりと雪面とミックス状態で多少ペースをあげて進むことができました。藪が出ている尾根ルートをそれて雪面を拾って北側をトラバースしていくと三ツ石山の先に人影が見えます。それも単独です。もしかしたらGWなので誰か歩いているのでは思ったのですが、実際に人に会うとなると嬉しいものです。三ツ石山直下の雪面で単独男性を事情聴取?するために敢えて待機し、色々と情報をいただきました。ネコブ山から上がり下津川山経由で巻機を目指すとのこと。下津川山から小沢岳までは藪がかなり多いのとのこと。小沢岳からここまではかなり雪を拾えたとのこと。今日は頑張れる!という情報を糧に頑張って進むこととしました。
 13時くらいに三ツ石山に到着し、ここから小沢岳に向けて登り返しです。時間も時間なのでそろそろ幕営場所の選定となります。三ツ石山から見ても三角点のある1,790mあたりが台地のようになっているので、そこなら幕営できるのではと思いました。この登りは雪が尾根沿いにいい感じについているので快適に登って行けます。

1,790m台地に向けての登り1,790m台地の幕場 ネコブ山の展望台

 15時前に1,790m台地に到着です。目の前にはネコブ山の壮大な尾根が見えます。思ったより小さめの台地ですが、テントを設営するのにはちょうどいい広さです。夕方から周囲がガスってきて、どうも明日の朝はあまり天気が期待できないかもしれないなあと。今日も早めに19時前には就寝です。

【5月4日(月):曇りのち晴れのち暴風雨】
 今日も3時起床5時発です。少しガスっていてあまり見通しはよくない感じです。予報では今日も日中は晴れる予定なので、しばらくするとガスも抜けてくるかと。テントから見えていた山は小沢岳ではなく、小沢岳の前衛峰で結構な距離がありました。それもしばらく藪こぎです。
小沢岳に向けて幕場から藪こぎ開始  尾根上に出てしまえばなんとかなる藪です。1,869mPで方向が少し変わるのですが、まだガスっていて先がまったく見えません。地形図とコンパスで確認していると一瞬ガスが抜けて進むべきルートが見えてきました。方向を確認して鞍部へ下ります。鞍部に着いた6時過ぎくらいからようやくガスがしっかりと抜けてきました。小沢岳での登りは昨日あった男性の言うとおりに尾根横側に雪面が残っているのでなんとか雪を拾って快適に登れました。
 小沢岳に到着するとまた一瞬ガスに巻かれましたが、進路を帰る北東方向にコンパスを合わせて一気に鞍部に下っていきますが、鞍部でクマさんのしっかりとした足跡を発見!かなりしっかりとした足跡だったのでおそらく今日の朝に通過したはずです。それでも足跡は尾根をまたいで沢につづいていたので安心です。肉球の跡が猫みたいで可愛かったです。
 鞍部から下津川山へ部分は遠目から見ていてわかっていたのですが、ナイフリッジ状でもちろん雪が全て落ちておりました。歩きながら、ここに雪が付いていたほうがかなり嫌らしい感じで逆に雪が落ちて藪になってくれてよかったなあと思いました。
下津川山に向けてナイフリッジを進む  ナイフリッジを抜けて山頂直下の雪原で一本とっていると尾根上に3名の人影を発見しました。それも、進むべき尾根を逆に歩いてきているのでかなりの情報を共有できそうです。この山域の重要ポイントである下津川山の山頂は雪がなく三角点がぽつんとありました。かつてアッコさんも歩いたネコブ山を経由する銅倉尾根もかなり壮大であり、いつかこの尾根を登ってみたいなあと。
 3名パーティの方から情報を聞きたいので、すぐに山頂から北東方向に進みます。男性2名と女性1名のパーティで、写真家と思われる男性リーダーはなんと長靴でとてもこの界隈をよく知っている方でした。とても気さくな皆様でいろんな情報を共有できました。一番重要な情報は、彼らが上がってきた本谷山のルートで出だしの林道部分でした。十字峡から先の取付(内膳落合)までの三国(さぐり)川沿いの林道が予想通りに雪渓の状態が酷く、デブリも相当あるらしくトラバース地獄だったようです。一度滑ったら雪解けの濁流に一直線だったようです。私も昨年の記録などを調べていてこの林道には降りたくないなあと思っていました。今年は融雪が早く林道が出ているのでは?と期待はしていましたが、この情報で進むべきルートは確定したと思います。とにかく中ノ岳まで進み、日向山経由で十字峡へダイレクトに下山するルートしかないということです。

下津川山から薄い藪にて快適に下降小穂口の頭から本谷山方面へは尾根には雪なし

 ここからは雪と藪のミックスですが、藪もそれほど密でなく、薄い踏み跡もあったりするので前半戦の藪とは比較にならないほど楽に進めることができました。十字峡から上がってくる一般ルートと合流する小穂口ノ頭までの最後の登りにはまったく雪はついていませんでしたが、ずんずん歩けます。小穂口ノ頭で軽く一本取り、本谷山に向かいますがこの部分は一般ルートなのか刈払が突如としてされておりました。ナイフリッジ状なので雪はまったくついていません。
笹に囲まれて風をしのげた幕場  最後は雪面を右に巻きながら本谷山へ登り詰める尾根を見つけ登っていきますが、途中にカタクリが綺麗に咲いていたので踏まないように気をつけながら登ります。かわいい山名板がある本谷山には13時半に到着です。
 この時間になると幕営地点を探すことになるのですが、この先は雪が多少あるのではと期待していたのですが、予想通りに本谷山北側ルートにはある程度雪がついていました。一気に下がって鞍部があり、平坦で幕営地に最適かと思ったのですが、風がとんでもなく吹き抜けます。そして、おそらくこの後天気が荒れる予定なので、風雨をしのげる場所を探しますが、少し戻ったところに笹に囲まれた部分があり、ここに幕営することとなりました。少し斜めになっていましたが整地作業をして早々にテント設営です。18時過ぎくらいから風も雨もかなり酷くなりましたが、設営した場所がよかったのかとんでもない被害を受けずにすみました。今夜の就寝はさらに早くなり、19時前には就寝でした。翌日は相当頑張って歩かないと中ノ岳には到達できないので、早々に就寝です。

【5月5日(火):曇りのち快晴】
 今日も3時起床5時発です。夜はかなりの暴風雨でテントが一瞬でぺしゃんこになりました。外はガスっていてほぼ見通しがない状態でした。広く平な鞍部を通り、1,799mを目指して登りますが、昨日歩くべきルートを見ていたら雪塊が崩れそうな感じで、雨上がりで朝起きたら落ちてなくなっているのではと心配しておりましたがなんとか残ってくれておりました。雨を含んだ雪なので出だしの登りはかなり慎重に尾根側に寄りながら登って行きました。なかなかガスが抜けないで越後沢山のピークがなかなか見えません。しばらくは尾根の右側にある程度雪面が残っていたので快調に登って行けます。進路方向が変わる越後沢山には6時に到着です。山名板のようなものは見つけられずに三角点のみありました。ここからは丹後山を目指して一旦鞍部まで下り、ゆっくり高度を稼ぎながら登っていくルートで尾根が細くないのでおそらく雪が多く付いているだろうと。越後沢山から北側に進路をとり急斜面を下っていきますが、踏み跡がありました。ある程度下って行くとようやくガスが抜けてきて、目指す丹後山避難小屋がぽつんとかわいく見えました。
 1,692mを過ぎて順調に登って行くと、藪に阻まれたので一本取ることにしましたが、またガスに巻かれてしまい、進むべき進路がなかなか見えません。藪の中から先を見るのですがなかなかわかりづらく、しばらく待っていると一瞬ガスが抜け始めて降りるべきルートが一瞬見えました。のっぺりしたルートが見えて短い藪を掛け下り雪原に降り立ちました。ここから1,710mPと1,792mPを経由しながら丹後山を目指します。ガスも抜けてくれて景色を堪能しながら広い雪原歩きです。前方にはぽつんと小さな丹後山避難小屋も見えました。1,792mPへ一登りすると丹後山も近いです。十字峡からの一般ルートと合流すると小屋が間近です。小屋から十字峡へ下山した新しい踏み跡もありました。この人はおそらく例の林道で大変な目に遭っているのではと心配になりました。
快適な丹後山避難小屋  丹後山避難小屋はコンパクトですがトイレもあり、ロフトも有りとても快適です。夏山シーズンは一応幕営禁止のようです。しばらく小屋内で休憩となりましたが、小屋内の看板に『この小屋に入る事のできた喜びを忘れないようにしましょう』という文言があり、とても印象的でした。我々もこの小屋で休憩させていただいた喜びは忘れません!
 8時40分に避難小屋を出発し先を急ぎます。ここからは一般登山道があるので夏道を拾いながらペースをあげていきます。右側を見ると至仏山、平ヶ岳から藤原岳を経由する稜線が見えて、いつか歩いてみたいなあと。利根川水源碑で記念写真を撮り、大水上山に到着しました。平ヶ岳からのルートは最後の登りが相当きつそうです。昨日出会ったもうひとパーティはこのルートを巡ってきて、藪だらけで大変だったと言っていましたが、確かに稜線の標高が低いこともありますが、かなり藪が出ていました。このご時世でのGWの残雪歩きは藪との戦いを念頭に予備日を入れていかないとまずいなあと思いました。

利根川水源碑にて大水上山から派生する平ヶ岳へのルート

 一度一気に下り、また登り返すと兎岳です。ここは荒沢岳へルートの始点となります。このルートの存在はまったく知らず、持参していない新しいエアリアには赤線ルートとなっているようでした。残雪期もいいですが、途中水場もあるので無積期に歩いてもいいかもしれません。大水上山、兎岳は魅力的なルートのジャンクションピークとなっておりました。
 また行きたい宿題ルートができてしまいました。困ったものです。小兎岳を越えて夏道をいくとショウジョウバカマが綺麗に咲いており踏まないように気をつけながら進みます。時間も12時近くになり天気も快晴でとても暑いです。雪もかなり腐ってきました。尾根横の雪原もかなり崩れていたりして、慎重にルートを選びながら進んでいきます。いよいよ最後のピークである中ノ岳が目の前にそびえております。
中ノ岳への急登  1,768mPを過ぎて最後の急登手前に鞍部で一本取り、中ノ岳目指して進みます。ずんずん登って行くと、まさしく雪の壁が目の前に聳えています。そして溶けて崩れかかった薄いステップが一本まっすぐついています。おそらくこれは巻き道などなくこの垂直に近い壁を直登していくのだなあと・・・。私がトップで行ったのですが、雪が締まっていれば、アイゼンで蹴りこんでピッケルのピックでさして登っていけるのですが、雪がかなり腐ってしまい、重荷でもありピックでさしても非常に不安定で荷重を掛けられない感じで、慎重にゆっくり足を蹴りこんで登っていきますが、足場が途中で崩れたり石付きで差してもグラっときたりと冷や汗もので一歩一歩慎重に足をあげていきます。下で落ちても大丈夫だからと言っていますが、かつて落ちた経験がある私なので落ちるわけにはいきません。それを見かねた小幡さんは忍者のようにサクサクと腕を突き刺しながら私の横を一気に駆け抜けていきました。流石だと思いました。それに勇気をもらった私はゆっくりですが、慎重になんとか登り終えました。そして壁を抜けたところで涼しげな顔で腕組みをして景色を見ている小幡さんが神々しかったです。私はやはりこのようなルートはなんとも苦手なのだなあと思いました。精神的にあまりよろしくない登りでした。その後を登ってきた女性二人はやはり涼しげな顔を登ってきました。なんとも恥ずかしい限りです。私は岩登りは絶対にやってはいけないと再認識をいたしました。
涼しげに雪壁を登り切る  精神的に落ち着いていない状態で登り、九合目の日向山からのルートと合流です。ここで一本取り少し落ち着きました。明日の下山ルートでもあるので降り口を確認したりしました。単独の山スキーの方が先を歩いていて、この日向山からのルートを登ってきたようです。ということは明日の下山時には踏み跡は残っているなあと。
 最後の一登りでようやく14時に中ノ岳に到着です。360度素晴らしい眺望です。歩いてきた牛ヶ岳からのルートが全て見えるのが本当に素晴らしいです。よくぞ歩いてきたなあと思いました。越後駒ヶ岳には届きませんでしたが、中ノ岳に辿り着けは今回の計画はほぼ達成したと思います。私にとって越後駒ヶ岳は未踏なので、今度は荒沢岳からのルートで来てもいいかもしれません。
360度展望の中ノ岳!感慨一入です  記念写真を撮り、中ノ岳避難小屋に向かいます。少し離れているかなあと思っていたのですが、すぐに到着しました。もちろん我々の貸し切りです。1階の入り口は雪で埋もれていたので2階の窓から入りました。トイレもありなんとも快適です。2階を占領させていただき、残りのウィスキーを全て飲み干し、ここまで歩けてよかったね~という感じで楽しく夜が更けていきました。夜は満月が綺麗でした。
快適な中ノ岳避難小屋へ到着!

【5月6日(水):快晴】
 いよいよ最終日です。下山となりますが、日向山あたりまでは急な下りなので気を引き締めていかないとと思っていました。できるだけ早めに下山したかったので、今日はさらに早く4時45分発です。出発する際の小屋からの朝焼けがとても綺麗でした。

素晴らしい日の出を眺めて出発幕営に良さそうな日向山

 中ノ岳を通過し、九合目分岐点から日向山に向けて一気に下りますが、すぐに夏道が出ていたのでそちらを進みます。天気も今日も良いようで景色が素晴らしいです。右側には八海山へ続く五竜岳や御月山の稜線が見えますがナイフリッジ状になっていてかなり神経を使うルートだなあと感じました。七合目、六合目と雪のコンディションもいい感じで問題なく通過し、雨量観測所がある五合目に6時20分くらいに到着し長めの休憩です。反対側の歩いてきた尾根からぽつんと見えていたのがこの雨量観測所でした。避難小屋ではないので中に入ることはできません。観測所の横には三角点がありました。
 ゆっくり休憩していると、反対側に聳えている銅倉尾根の桑ノ木山、ネコブ山がやはり素晴らしい尾根に見えます。しつこいようですが、やはりいつかこのルートを登ってみたいです。
綺麗な石楠花と壮大な銅倉尾根  この時間ならば、もしかするとかなり早い時間に下山でき、バスに間に合うのでは?と思い始めました。日向山からの下降はかなりの急斜面でアイゼンを履いていますが慎重に降りました。事故の多くは下山中に発生する確率がとても高いのでこの下りもあまりおしゃべりせずに黙々と下って行きました。標高1,200mくらいで雪もなくなり夏道を歩けるようになり、登山道脇には石楠花の花が咲いていてとても気持ちが癒やされます。
 二合目を過ぎると樹林帯になり、しゃくなげ湖が見えてきます。新緑が朝日に照らされてとても綺麗で気持ちがいいです。イワウチワも咲いていて和みます。
 登山口には9時20分到着です。まだ登山口付近には残雪が多く車は入れない状態でした。無事下山できてみんなで握手を交わしました。でもまだ林道歩きが残っています。登山口から右側、左側とどちらを行ってもダムに到着するのですが、県道233号線の方が安全らしいという情報をオオマサさんがゲットしていたので、県道233号側に向けて左側に進みます。一度橋を渡ると雪に半分埋もれたトンネルがありますがここを進みます。橋をわたって左側の三国川沿いの林道は例の本谷山への登山口(内膳落合)へ続きますが、入口付近ですでに林道が雪に埋もれ、濁流に向かって滑り台状態になっていて、ずっとこの状態で歩くなんて正気ではないと思いました。涼しいトンネルを抜けるとネコブ山への銅倉尾根取付である階段が導水管脇にありました。銅倉尾根の登りだしはしばらくこの導水管脇の階段を登っていくようです。

トンネル入口 デブリが凄いです

 発電所を見て林道を進みますが予想に反してこちらもデブリがかなりあり、慎重に進みます。先ほど登山口で装備を解除してしまったのも良くなかったです。それでも、この林道の歩きの楽しみはフキノトウ探しです。下ばかり見て歩いていましたが、かなりのフキノトウを見つけることができました!嬉しいですね~。
フキノトウを探しながら黙々と進む  1時間半くらいのんびり歩くと三国川ダムに到着です。対岸の右岸にはダム管理棟がありましたが向かわずにそのまましゃくなげ湖観光センターにむけて林道を進みます。のどかな野中集落が目に入ってきます。下界に下山してきたなあという実感がわいてきます。オオマサさんが林道の東屋で休憩中にタクシーを手配してくれたので、観光センターに到着するとタクシーがすでに待機していました。話を聞くと、三国川タム管理棟までタクシーも入れるようで、右岸に渡ってタクシーを待っていても良かったようです。管理棟脇の駐車場には一般車も停めているようで、マイカーでこの時期に十字峡を目指す場合はダム管理棟に車を駐車して林道歩きになるかと思います。
 12時前にタクシーで六日町駅に戻り、ハスラー号に久々に対面となりました。その後は最近できた、湯らりあに南魚沼市役所から少し歩いて入浴です。以前あった格安の中央温泉が廃業していて、この温泉はその後継温泉のような感じでとてもコンパクトな温泉施設です。石鹸類はないので持参か購入です。この数日間の汗を全て流させていただきました。真っ赤にやけてしまいヒリヒリ痛かったです。その後は静かな商店街で昼食をとり一路東京へ向かいますが、高速が全然混んでなくスムーズに帰京できました。GW最終日だったのですが、おそらく渋滞のピークはすでに過ぎていたようです。なので、来年以降もGW最終日を下山日とすれば渋滞に巻き込まれることなく帰京できるなあと思いました。
 今回の山行は以前から心残りだったルートであり、急遽参加させていただきました。藪には苦しめられましたが、藪の苦労も歩いているうちに麻痺してきていいもんだなあと思うようになりました。本山行では天候によって停滞することもなく歩けることができて本当によかったです。一人では歩くことはおそらくできないルートだと思います。統率のとれたパーティで山に長期に入るのは本当に楽しく、思い出に残ります。また感慨深い、いいルートを歩きたいです。オオマサさん、小幡さん、ゆうきちゃんありがとうございました!

湯らりあで5日間の汗を流す
〈コースタイム〉
【5月2日(土)】 六日町駅(6:50)=清水バス停(7:20~25) → 桜坂登山口(8:00~15) → 五合目(10:25) → 前巻機(13:50~14:00) → 避難小屋【幕営】(14:10)
【5月3日(日)】 避難小屋(5:00) → 巻機山稜線(5:25) → 朝日岳分岐(5:40~50) → 牛ヶ岳直下上越国境稜線分岐(6:10) → 1,834m三角点(9:40~50) → トラバース終了(11:50) → 三ツ石山(13:10) → 1,790m三角点台地【幕営】(15:00)
【5月4日(月)】 1,790m三角点台地(5:00) → 1,869m(5:45~55) → 小沢岳(7:15) → 最低鞍部(7:33) → 下津川山(8:55~9:05) → 三人パーティに出会う(9:10) → 1,712mP(11:30) → 小穂口ノ頭(12:30~40) → 本谷山(13:30~40) → 1,799m直下の鞍部【幕営】(14:05)
【5月5日(火)】 1,799m直下の鞍部(5:10) → 越後沢山(6:00~10) → 1,692m先の藪乗越(6:55~7:05) → 1,710mP(7:25) → 1,792mP(7:55) → 丹後山避難小屋(8:15~40) → 丹後山(8:45) → 利根川水源碑(9:10) → 大水上山(9:30~45) → 兎岳(10:30~50) → 1,768mP先の中ノ岳直下鞍部(12:10~25) → 九合目(13:20) → 中ノ岳(13:55~14:05) → 中ノ岳避難小屋【小屋泊】(14:10)
【5月6日(水)】 中ノ岳避難小屋(4:45) → 九合目(5:05) → 七合目(5:45) → 日向山雨量計測所(6:20~50) → 三合目(7:30) → 二合目(8:05) → 一合目(8:40) → 中ノ岳登山口(9:20~50) → しゃくなげ湖三国ダムトンネル(11:25) → しゃくなげ湖観光センター(11:45)=[タクシー]=六日町駅(12:10)

〈諸経費〉
■往路・バス
六日町駅⇒清水【南越後観光バス】
 450円+100円(別途荷物料金)=550円
■復路・タクシー(中型)
しゃくなげ湖観光センター⇒六日町駅
【六日町タクシー】:4,740円


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ348号目次