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アイスクライミング・尾白川下流域の氷瀑
荻原 健一

山行日 2015年2月14日~15日
メンバー (L)荻原、小芝

錦滝の全景  アイス道場3回目はメンバーと氷結状態で場所を決めることになっていたが、前々から気になっていた尾白川下流域・ガンガノ沢・錦滝の氷結状況が今年はとても良いとのネット情報を見つけたので、早速バイブル「チャレンジ!アルパインクライミング」で調べてみると、ここはなかなかのアイス天国でガンガノ沢以外にもガンマルンゼ、ベータルンゼ、刃渡り沢など面白そうで魅力的なルートがたくさん取れるとのことだったので迷わずこの山域に決定する。

【2月14日(土)】
 前夜は車で小淵沢へ。テントを張るのも面倒なので駅で仮眠させて頂く。誰もいないかと思いきや赤布を大量に持った若者軍団が先に寝ていた。翌朝声を掛けてみると、東大のワンゲルで八ヶ岳東面の杣添尾根~横岳をピストンしてくるとのこと。若者なのになかなか渋いルートを選ぶ。樹林帯の静かなラッセルが楽しめそうで、近々私も計画してみたい。我々はのんびり出発で、車で日向山登山口へ向かう。登山口の手前100mくらいの中途半端なところに車止めがあり、ここから約1時間で錦滝に出合って幕を張る。なんと短く素晴らしいアプローチだろう!
F2をリードする  オーストラリア人2名がツエルトを張っていて、その中でぺちゃくちゃ話している以外は誰もいない。その後更におしゃべりな女子2名が来るが、どこかに行ってしまいガンガノ沢は我々だけの貸し切りとなる。F1錦滝はヴァーチカルなので、まずはウォーミングアップのため、傾斜の緩いF2へ向かう。
 それぞれリードを1回ずつしたところで、後続パーティーがうじゃうじゃやって来てトップロープを張るというので我々は更に上の左俣右岸の氷壁へ移動する。ここはいつも空いているようだが、垂直の壁が30m以上あり、北面で氷も固いので良い練習になる。ヴァーチカルラインのリードは辛いので右寄りの傾斜70~80度くらいのラインでリードの練習をする。
F2上の左俣・右岸の氷壁錦滝のヴァーチカルラインを登り込む  最後に錦滝へ懸垂下降し、トップロープで登り込む。真ん中の凹角状は簡単だが上部の氷が薄くアックスで叩くと嫌な音がする。一番左寄りのルートはヴァーチカルで良い練習になった。3本登って二人ともお腹いっぱいとなり本日の訓練を終了する。アイス道場恒例のキムチ鍋(3回目)と満天の星空に囲まれ気分のよい夜が過ぎていく。

【2月15日(日)】
 朝食も恒例となったキムチラーメン(3回目)を食し、今日はアプローチが少々長い刃渡り沢へ向かう。林道途中からトレースが怪しくなり嫌な感じになってくる。林道終了点から急降して尾白川へ降りるとトレースはかなり怪しくなりラッセルとなる。徒渉点が分からずウロウロしてようやく対岸に渡るがその後もラッセルが続く。なんとかF1に辿り着くが写真の様子と違って氷はなく雪で埋まっているのか既に雪の下で氷は溶けてしまっているのかよく分からない。ラッセルは更に深く腰以上となり、これ以上進んでも氷を楽しめる感じはしなかったので引き返すことにする。途中で後続パーティーに会って「行けるところまで行ってみる」とのことだったが、後で聞いてみるとやはりF1手前であきらめたとのこと。まだ時間が早かったので、ガンマルンゼを登る。核心はF1(Ⅳ+)だが、昨日錦滝(Ⅴ+)を登っているので、ものすごく簡単に感じる。5Pほど登るが、後はラッセルが延々と続く感じだったので、ここで終了とし、同ルートを引き返す。

 今回は2日間とも十分な登りこみができて、なかなか充実したアイス訓練となった。尾白川下流域はアプローチも短く、トップロープも張れるので、今回要領が分かったところで、次回は初心者向け講習会としても使ってみたい。

ガンマルンゼ・F1

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