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沢登り・万太郎本谷
永岡  恵二

山行日 2015年8月1日~2日
メンバー (L)永岡、大田、内田、津田、古屋

【8月1日】
 8:34土合発、8:42土樽着。駅舎を出るといきなり汗が噴き出した。絶好の沢日和だ。ここから入渓点までは約1時間。日陰もなく炎天下の呉作新道を歩いて入渓点に向かった。寝不足もあり、津田ちゃんが軽い熱中症になったようで、入渓点の日陰で横になって少し休憩した。10:30くらいにようやく入渓。
 暫くは川原歩きが続く。暑くてたまらない。ナメ床ゾーンに、ウォータースライダーのようになっている溝があり、そこで一本とることにした。ウォータースライダーで滑って火照った体を冷やした。
 暫くすると関越トンネルの換気口が見えた。1/25000の地図で万太郎本谷と関越トンネルが交差する地点をみると、ずいぶん進んでいるようにみえるが、実際はそこまで進んでいない。地図の記載が間違っているのか、換気口は関越トンネルの真上にあるわけではないようだ。
 オキドウキョに到着。ここは泳ぎが必要ということで、ロープを出して、順番に突破。水量がそれほどでもなかったので、厳しくはなかった。

関越トンネルの換気口オキドウキョはロープを使って突破

崩壊した雪渓  その先には雪渓があった。スノーブリッジが崩壊したあとで、大きな塊が行く手を阻んでいた。雪の塊にとりつくと、直ぐ近くの雪の塊が崩れた。あんなのが落ちてきたら、即死だ。まず、自分が突破した。振り返ると今にも崩れそうな雪の塊が降り口のすぐ横にあった。後続に雪の塊を降りたら、直ぐに離れるように指示するが、よくわかっていないようで、ちょっと焦った。
 16:30に本日の核心部、一の滝に到着した。ここは左岸のルンゼを高巻く。ガイドには高巻きしすぎると、大変で1時間半ほど時間がかかるような記載があった。滝のすぐ右側のルンゼを登ろうとしたところ、メンバーが迷わず、ここでなく、もう少し戻ったところからとコメント。ここで、下見だけでもすればよかった。メンバーの意見に従って、少し戻ったところのルンゼにとりついた。直ぐに厳しい登りになり、ロープを出すことに。とてもトラバースできるような場所はなく、どんどん上へ行くことになってしまった。自分がみんなを引き上げている間、ウッチーが先に上がり、トラバースできそうな場所を探すが、なかなか見つからず、強引に藪の中を突っ込んでトラバースすることにした。登りすぎているので、懸垂下降ができる場所があったので、少し下りることにした。下りた場所を少し移動すると、滝が見えた。まだ滝の上に抜けるにはトラバースが必要だった。ここでも藪の中を強引にトラバースし、また懸垂下降できそうな場所に出たので、こちらで下降。下降点がちょうど正規のトラバースのルートだったようで、無事に沢に戻ることができた。振り返って、正規ルートを見たが、結構嫌らしいトラバースだった。
一の滝で記念撮影!!  沢に戻ったのが18:30。2時間も藪の中を彷徨っていたことになる。もう薄暗くなってきていた。早く幕場を探さないと、暗くなってしまう。直ぐに出発し、幕場を見つけ、直ぐにタープを張ったら、暗くなっていた。ヘッドライトを点けて薪を集めて、焚火をしてひと段落できた。高巻きでかなり疲れてしまい、早々に就寝した。

【8月2日】
 6:30幕場を出発。直ぐに二の滝に到着。こちらは特に問題なく、右側を登っていけた。
 続いては、今回の核心、三の滝だ。まずは1段目。水流の右側が垂直壁だったが、比較的ホールドもあり、登れそう。空身で大田さんに登ってもらった。4~5m位の場所と上部のスラブに残置のハーケンがあったのでそちらに中間支点をとり、更に上の細い木に支点をとった。事前に決めていた笛の合図で、二番手で自分が登り、津田ちゃん、古屋っち、最後にロープの末端に大田さんのザックをつけて、うっちーとザックを一緒にゴボウで引き揚げた。
三の滝 一段目  二段目はスラブの斜面だ。水流の右側を自分がリードで登った。アクアステルスなら、スラブなら問題ないと思ったが、ぬめっており、厳しい。小さな段差や、泥つきを足場にして、ブッシュに突入。50mロープぎりぎりまで登って、ロープをフィックス。2番手の大田さんに後を任して、自分は沢までのルート探しに藪の中へ。ルートらしいところはなく、強引に突っ込んで行き、ようやく沢に出ると、三の滝上部から大分先まで来ていた。皆を迎えに沢を下って、滝のちょっと上あたりで藪に入ると、ロープをフィックスした場所のすぐ横だった。2時間半かけて、三の滝を無事に突破できることができた。
三の滝 二段目  火照った体を沢で冷やして、最後の詰めに向かった。あとは難しい場所はないが、急だったり、巨岩だったり、簡単にはいかない。距離も長く、疲れる。水流が無くなり、お花畑の中をどんどん詰めていった。見ている分には本当にきれいだが、歩くとアザミがチクチクと嫌がらせのように刺してくる。雷もゴロゴロなっており、不気味だった。
 13:30、肩の小屋に到着。雷のおかげで登山客は全て下山していた。暇になった小屋の人が自分たちに話しかけてきた。万太郎の沢はよく雷が落ちるとのことだった。無事に雷を避けられ、ほっとした。下山準備ができたので、一応小屋の人に7月20日の土砂崩れで8月中旬まで運行中止になっているというロープウェイが動いていないか確認したが、やはり動いていないとのこと。仕方がないので、西黒尾根を下って下山した。途中、雹が降り、土砂降りの夕立となった。足首を痛めている自分とヘロヘロに疲労した津田ちゃんが下山できたのは18:50だった。

お花畑
〈コースタイム〉
【8月1日】 土樽(8:45) → 入渓(10:30) → 一の滝(16:30) → BP(19:00)
【8月2日】 BP(6:30) → 三の滝(8:00) → 肩の小屋(13:30) → 下山(18:50)

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