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沢登り・摺上川烏川滑谷沢右俣
金子 隆雄

山行日 2015年6月19日~21日
メンバー (L)金子、紺野、飯塚、YUKI、杉本、内田

 滑谷沢は摺上川(すりかみがわ)最大の支流である烏川の上流部に注ぎ込む沢である。昨年の秋にキノコを目当てにこの沢を訪れた。この山域へ足を踏み入れたのはその時が初めてだった。滑谷沢の出合で1泊し左俣を溯行して林道(旧国道)へ戻るというルートだった。今回は右俣を詰めて栗子山の山頂を踏んで三本松沢を下降して左俣へ出て林道へ戻るルートを2泊3日で計画した。
 人数が多いので車2台で向かう。我々は東川口駅に集合し安達太良SAで合流後にSAビバーク。

【6月19日】 曇り後雨
 福島飯坂ICで高速を降りて国道13号を米沢方面へ1時間ほどで起点となる東栗子トンネルだ。トンネル脇のスペースに駐車する。かなり広い場所なので一杯で停められないということは起こらないだろう。
 入渓地点の烏川橋へ行くには交通量の多い道を横断して行かなければならないがトンネルから出てくる車に十分注意しないと入山前に病院送り、なんてことにもなりかねない。昔の国道だっただけに道は平坦で歩きやすい。二ツ小屋トンネルが現れると烏川橋も近い。真っ暗なトンネルの中をヘッドランプなしで進む。途中崩れた石が堆積していたりするので気をつけないといけない。トンネルを抜けて20分ほどで入渓地点の烏川橋へ着く。ここまで小型の四駆車なら入って来られるがここから先は無理のようだ。
滑谷沢の出合  橋から烏川へ降りて滑谷沢出合へと下る。烏川は平坦な平瀬が続く。昨年来たときは大人数でキノコを探しながらワイワイガヤガヤと下ったので時間がかかったが、今回はただひたすら下るのみだったので思いのほか早く着いた。ゴルジュを過ぎた辺りで右岸から出合うクモ沢は気づかずに通り過ぎた。滑谷沢出合の昨年泊まった場所は草に覆われていて、あれほどの人数が泊まれるような場所には見えなくなっていた。
 滑谷沢に入ると烏川のような平瀬ではなくなるがほとんど滝もなく困難な所はない。二俣までの中間地点の沢が右へ大きく屈曲する所に5mほどの滝が現れる。これが二俣までで唯一の滝となる。右側を容易に登れる。二俣まで後わずかの所まで来ていたが雨が降ってきており、また日程も余裕があるので左岸の沢床から3mほど上がった台地にタープを張る。タープを張っている間も雨が降り続き濡れてかなり寒いので焚き火がしたかったが雨が止むのを待つしかなかった。
 夕方近くなって雨が止んだので早速焚き火をする。濡れた衣服を乾かし暖まることができて焚き火は本当にありがたい。

【6月20日】 曇り時々雨
 今日も雲が低くいつ降り出してもおかしくない天気だ。幕場を出て20分くらいで二俣に着いた。此処から自分には未知の右俣へと入る。右俣は左俣とは違い、滝が多い。捲かなくてはならない滝も出てくるが大きな滝はないのでそれなりに楽しみながら溯ることができる。天気が良ければもっと楽しいのだろうけど。2時間半弱で奥の二俣へ到着。奥の二俣のブナ林の中には広くて良い幕場がある。
 栗子山へ上がるために奥の二俣からは左の沢へ入る。左岸から滝で出合ってくる大谷地沢を過ぎると砂岩の抉れた4mほどの滝が現れる。登れそうもないので左岸より捲いて越える。
大谷地沢先の抉れた滝  水が消え沢形もなくなり藪へ突入する。しばらくは急傾斜で辛い藪漕ぎになる。登るにつれ傾斜は緩んでくるが蔓が絡んで行く手を阻む。背丈を超える藪なので視界は全く利かない。ナビゲーター役のオスギの後ろからの指示で右に左にとルートを選んで藪を漕いでいく。藪と格闘中に急に雨が激しくなり雨具を着込む間もなくずぶ濡れになってしまう。
 栗子山の山頂付近は平坦で傾斜はほとんどない。GPSまで動員して三角点を探すが一面の藪の中からは探しだすことはできなかった。そうこうしていると赤テープが出てきてはっきりした踏み跡が現れる。三角点探しに時間を費やしてもしょうがないので踏み跡を辿ってさっさと下ることにする。が、いくらも行かないうちに踏み跡を見失ってしまう。もっとちゃんと探せば見つかっていたのだろうが直ぐに諦めてまた藪に突っ込む。しばらく藪を漕ぐと再び踏み跡に合流した。このまま1202mPとのコルまで行けるかと期待したがそう都合良くはいかなかった。踏み跡はコルの手前で山形県側へと下っていた。
栗子山から三本松沢下降点のコルを目指す  踏み跡がなくなってからコルまではまたまた藪を漕ぐことになる。コルから三本松沢の左俣を目指して下降すると直ぐに沢が現れる。1時間ほどの下降で中俣の出合に着く。雨が降り続いているので水はかなり濁ってきているがまだ増水はしていない。右俣の出合を過ぎるとナメが続くが滑りそうなので左岸の林のなかを下る。滑谷沢との出合の滝を右から捲いて越えて裏見の滝上に降りると直ぐに今日の幕場予定地だ。
 今は草が生い茂り昨年見た時ほどの広さは感じないが6人泊まるには十分な広さだ。対岸にも少人数なら泊れる場所がある。

二泊目の幕場(裏見の滝上)

【6月21日】 曇り
 この先にはもう何もなく時間もかからないことが分かっているので朝はのんびりした出発となる。1時間ほどで大平橋に着いた。途中にショートカットできる踏み跡があるがこれは見つからなかった。橋から林道へ上がって後は東栗子トンネルまで戻るだけだ。
 穴原温泉に寄って温泉に浸かって帰途についた。

〈コースタイム〉
【6月19日】 東栗子トンネル(7:35) → 烏川橋(9:5~35) → 滑谷沢出合(11:45) → 幕場(13:30)
【6月20日】 幕場(7:15) → 二俣(7:35) → 奥の二俣(9:55~10:15) → 栗子山(13:35) → コル(15:45) → 幕場(17:25)
【6月21日】 幕場(9:15) → 大平橋(10:00) → 東栗子トンネル(12:15)

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