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沢登り・笛吹川ヌク沢左俣右沢
小幡 信義

山行日 2015年6月7日
メンバー (L)小幡、金子、箭内、古屋

 前夜発日帰りで、ヌク沢に行って来ました。土曜日の夜、西国分寺駅20:00集合。いつもお世話になっている金子氏の車ホンダフイットに乗り本日の仮眠場所、道の駅「みとみ」へいざ出発。22:00に到着し、テント内で軽くビールを飲み23:00にはシュラフに潜りこむ。

【6月7日】曇り
 5:00に起床し、西沢渓谷駐車場まで移動、沢装備に取り掛かる。通常は近丸新道がヌク沢を横切る地点から遡行を開始するが、今回はヌク沢橋から入渓する。入口にはしっかりとしたヌク沢の看板が目立つ。
 入渓して直ぐに堰堤に出くわす。ここは右側を容易に越す。下流部は樹林が沢筋を覆い暗い渓相であるが、ナメとナメ滝が続き、快適な遡行を楽しむ。
 近丸新道手前6m滝を眼前に一瞬戸惑う。下から見上げると残置ハーケンにスリングが垂れ下がっているので越せるだろうと岩に取り付く。ホールド、スタンス共に細かくスリングに捕まったもののその先が嫌らしい感じで躊躇する。2名はさっさと右側を巻いて行ってしまった。古屋氏も暫く様子を窺っていたが、無理せず巻こうということで先に行ってしまった。最後となった私は追いつこうと近道を抜け大岩を両手で引っ張ったときに岩が土から抜け出し右足を直撃し沢の中へ転がり落ちて行った。ドボーン・・・!すさまじい音が響き渡る。その直後右足の甲先端に激痛、外傷はないが暫くうずくまり痛みが去るのを待つ。5分、10分痛みに耐える。このまま遡行できるか痺れた足に力を入れ歩きだす。何とか行けそうだ・・・。
 巻いて沢床に降りると3人は待っていた。沢を横切る近丸新道に8:00着。ここから奥の二俣間はナメ床が倒木で埋まり歩きにくい、また堰堤も4か所現れ遡行の楽しみが薄れる。
 奥の二俣からは、小滝から始まりナメ滝が連続に続く。最後は10mの豪快な滝は右岸から高巻く。
 いよいよこの先はヌク沢のハイライト大滝である。最初の幾段にも見える100mほどの傾斜の緩い滝は右側を難なく登った。そして遂に見上げるような大滝が目の前に飛び込んでくる。「オオ~!」と声を漏らす。こんなスケールの大きい滝が潜んでいたとは驚きに尽きる。しかし私は登攀意欲が湧かず、右足甲の痛みが心配になってくる。それを悟ったのか若手の古屋氏が先頭を切って右側のルンゼ状を巻き気味に登っていく。80mと50mの滝を一気に巻いてしまう。脇からそそり立つ滝を覗き見ながら「もう一度来て、そのときは滝の登攀をしてやる」と悔しい気持ちを胸に潜めながら進む。
 大滝上部のナメ滝を上がったところで遡行を打ち切る。11:30であった。右岸尾根に上がり40分ほどで戸渡尾根に出る。ここからは下りの一般道であったが、私としては厳しい下山の始まりとなった。そう、下りになると右足の甲が痛み出したのだ。箭内さんのストックを借りてかばいながらの下山となる。3時間痛みを堪えながら駐車場に着く。靴を脱ぐと足の甲先端は内出血で紫色に膨れ上がっていた。翌日病院に行ってみると親指骨折の診断であった。

◎感想、反省
 岩が転がり落ちたとき、後ろに人が居なくて良かった。
 巻いた際追いつこうと焦ってしまい、岩の浮き状態を確認せず、思い切り引っ張ってしまった。
 落石のとき3人に相談し、その時点で引き返すべきであったのか?

〈コースタイム〉
入渓(6:30) → 近丸新道(8:00) → 二俣(9:00) → 終了点(11:30) → 駐車場(16:00)


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