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アイスクライミング・八ヶ岳三叉峰ルンゼ
荻原 健一

山行日 2015年12月5日~6日
メンバー (L)荻原、小芝、軽部

 数年前の岳人で特集された「八ヶ岳クラシックバリエーション図鑑」に掲載されたアイスルートで気になっていたのが、峰ノ松目沢と三叉峰ルンゼだ。前者は今年1月に行ったので次は三叉峰と思っていたところ、アイス初めの足慣らし企画に三峰クライマーのエース2名が参加してくれたので迷わずこのルートに決めた。

【12月5日】曇り
 今日は偵察のみなのでゆっくり赤岳鉱泉へ向かう。アプローチは石尊稜と途中まで同じ。途中の二俣で右へ行くと石尊稜取付き、左へ行くと三叉峰ルンゼ取付きとなるので左へ行く。石尊稜には何回か来ているが、今回はご丁寧に各々のルート名を明示した赤布があった。左俣に入るとすぐにチョックストーンの小滝が現れる。トポ図を見るとシーズン初めで埋まってない場合は右岸から巻くとあるが、悪そうなので直登するがこちらも悪い。その先の小滝は氷結が甘く、薄いのであんまり気持ち良くない。これを越えるとようやくF1となる。F1の氷結はバッチリだが、先行パーティーがさんざん苦労した挙句に登れず敗退したので、リードは緊張する。時間をかけて小まめにスクリューを入れまくり滝上に出て右岸の残置支点でビレーする。セカンド、サードを迎え入れると良い時間となったので、ここから懸垂して鉱泉へ戻る。
 明日は好天予報で、更に本日アプローチが確認でき、また核心のF1も登れたので明日の登攀成功はほぼ間違いなし、ということで夜は大いに盛り上がった。

【12月6日】快晴
 暗いうちから出発。昨日アプローチが悪かったので、今日は石尊稜の下部岩壁取付きからF1へ下りトラバースして取り付く。我々が一番乗りでその後に2パーティーが追いついてきた。今日は核心のバーチカルF1(Ⅴ級)をエースの芝っちが華麗にリードする。
バーチカルのF1(12m)  F1以降はⅢ~Ⅳの短い滝が続き簡単だが、スクリュービレーが続くので、マルチの良い練習になる。ほどなく二俣になるが、ルートは右だ。簡単なナメ氷と涸滝を登ると岩と雪の奥壁といった雰囲気となり、三叉峰ルンゼは実質終了となる。ここでロープを仕舞い、右へ上がれば石尊稜と合流する。稜線を少し上がると上部岩壁の基部に着くが、ここは渋滞となっていた。1時間近く待ったが、先行パーティーの動きは鈍く、痺れを切らした後続パーティーは石尊稜右側の斜面をトラバースして稜線へ上がって行った。岳人の紹介文にもこのトラバースルートがお勧めと書いてあったので、我々もこちらのトレースを有り難く使わせて貰うことにする。10分程度で上がれたので、石尊稜ではなく三叉峰狙いの場合はこちらが良さそうだ。稜線からは1時間程度で鉱泉に戻ることができた。

 シーズン初めの足慣らし・手慣らしということで当初は裏同心やジョーゴ沢を考えていたが、力量のあるメンバーのおかげで「行ってみたかったルート」を思いがけず行くことができ、大満足の1本となった。

〈コースタイム〉
【12月6日】
鉱泉(5:30) → 三叉峰ルンゼ → 石尊稜上部岩壁(10:00) → 稜線(11:00) → 鉱泉(13:00)


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