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沢歩き&ハイキング・船形山(御所山)
宮本 容幸

山行日 2015年10月31日~11月1日
メンバー (L)内田、三澤、高木、飯塚、永岡、天内、渡辺(靖)、宮本

 今回の山行報告はストーリー仕立てにしてみました。ご理解頂ければ幸いです。では、「三峰がもしも特殊部隊だったら山行はこんな感じ?」をどうぞ。

【10月31日:作戦行動1日目】
 おはよー起きろ~!!の声で私は飛び起きた。私は三峰山岳会精鋭部隊のチーム内田に志願した宮本二等兵である。
 今回のミッションは大沢小屋と船形山の奪還である。情報筋によれば某国工作員が船形山山頂に最新鋭イージスシステムを構築中とのことである。これは絶対に阻止しなければならない!! あっ、情報筋が怪しいので本当か?って話ものあるのですが...
 ここで今回のメンバー編成を紹介しよう。内田隊長、高木大佐、三澤大佐、KG(外人部隊)、飯塚衛生兵、天内退役軍人、渡辺コック、宮本二等兵の編成である。
 我らは、三国SAにて司令部からの作戦行動開始の合図を待っていた。作戦開始の合図は[おはよー起きろ~!!]である。そう、今先ほど飛び起きたのはそのためである。
 速攻でテントを撤収し車両に飛び乗り第2合流ポイントへ向かう。
 第2合流ポイントLAWSONで補給を済ませ最前線の避難小屋ベースキャンプへ向かう。
 ベースキャンプと言っても誰一人居ない。既に味方は撤退した後であった。設備は非常に整った快適そうなベースキャンプを放棄するぐらい今回の敵は手強いらしい。
トラバース中です  束の間の休息を得て我らは奪還に向け個人装備を整え、いざ出陣!!
 初日のルートは大沢小屋まで沢沿いをたどり正面突破で小屋を奪還する予定である。行動開始直後に三澤大佐が敵の仕掛けたトラップにより沢靴のソールが剥離!!作戦行動不能か?と思いきや大佐は迂回路を使用してポイント落合まで単独行動することに。それから暫くすると両サイドが切り立った岩壁に囲まれたトラバースゾーンに突入。既に無数の鎖が設置されているので過去の作戦で整備されたと思われる。問題は誰が整備したのか!! もし敵が整備したものなら必ずやトラップが仕掛けられているはずである。気を引き締めて前進することにした。切り立った岩壁を見ると地殻変動の影響と思われる地層が露わに。
 やっとトラバースに馴れたころ敵の仕掛けた落葉ゾーンが現れた!落葉と思いながら油断して踏むとバナナの皮以上に滑りやすいゾーンだ。戦意喪失を狙ったトラップだが、高木大佐からコックと二等兵に細心の注意を払うようにと指示が飛ぶ。大佐の指示がなければ敵の餌食になっていたことだろう。
 落葉ゾーンを抜けて暫くすると材木岩が右壁に現れた!この岩は先の震災で上部の岩が崩れ落ち形状が変わってしまったらしい。それでもこの美しさは作戦行動中の癒しとなった。
写真だと・・・伝わり難い?  この時点で、あることに気が付いた。後方確認をすると「振り返ればKG」が居る。しかも微妙な距離感を空けている。おそらく後方から隊全体を把握して警戒体制を取っているに違いない!! しかも単独行動でオリジナルルートを簡単そうにスタスタと!!( ̄0 ̄; コック及び二等兵は苦労して前進しているのに・・・。流石、外人部隊所属の強者だ。
 その後、簡単な区間を順調に突破し三澤大佐と合流するポイント落合に到着。三澤大佐は一時間近く前から待機していたとのこと。流石、ベテランの三澤大佐だ。
 部隊は任務遂行のために更に進む。大沢小屋の襲撃予定時刻は15時である。既に12時を回っているので先を急がなければ・・・。コックと二等兵は不馴れな足捌きで思うように先に進めない。内田隊長及び飯塚衛生兵は軽やかな足捌きで先に進む。志願した以上足手まといにならぬように必死に足を進めるがうまく前進できない。ヤバイ?
 そうこうしているうちに前方が騒がしくなっている。敵襲か?
 急いで近付くとナメコ発見の知らせであった。今回の作戦では行動中に秋の味覚を調達し夕食時に堪能するという楽しみがあったのである。ただ、入渓前から今年は2週間ほどキノコが早く採れているので今回は期待できないと通達を受けていたため、発見したときに騒いでしまったのである。更に別のキノコも同時に収穫できた!今夜はキノコ汁が皆に振る舞われるだろう。
美味しかったナメコ  そして遂に大沢小屋が見えてきた。襲撃の準備を整え突撃である。情報によれば正面階段から二階に突入するのと同時に一階風呂場からも突入できるらしいが、今回は正面突破あるのみ!!!!
 最後尾の高木大佐及びコック、二等兵が突入した時には既に一掃作戦が終了していた・・・。
 山小屋にはトイレと囲炉裏、五右衛門風呂が完備されていて快適に過ごせる環境が整っている。薪も室内に一部保管されており、冷えた体を温めるために少し頂戴し早速夕飯の支度です。本日のメニューは、ベテラン勢特製のなめ茸おろし、別のキノコ&きりたんぽ鍋、そして天婦羅です。皆で美味しく完食して早めの23時に就寝。

【11月1日:作戦行動2日目】
 翌日は5時起床の7時には出発です!朝食は、コック特製の別のキノコ入り水餃子スープでした。やっぱり別のキノコは美味しかったです。
※別のキノコについては、高木大佐にお聞きください。(>_<)
 大沢小屋から大滝間のトラバースで鎖のアンカーが朽ちて鎖の役目を果たしていない!後方から鎖に注意の声が聞こえます。
 その後、自分の番になり鎖を使わずにトラバースを開始したその時!! グラッっと来ました!地震じゃないですよぉ。あの浮石を掴んだ感覚・・・。触らなかったことにしようと丁寧に戻そうとしましたが、浮石も浮石としての意思が強いのか?ルート上で私の腕の中に抱かれたままの石とじゃれ合う二等兵。流石に両腕を塞ぐ程の石ですから、仲良く先に進めません。石好きの二等兵も心を鬼にして浮石を沢へポーンと投石しちゃいました。そしたら浮石の逆襲?投石時の水しぶきが私の顔面にスローモーションで迫ってきます。トラバース中かつ鈍間な二等兵ですので、顔面で浮石の思いを受け止めました。そして、後ろを振り返るとまたまたKGが!! しかも今回はニヤッリって感じで笑っていました。まさか、私と浮石のやり取りを全て見られていました。なんとも恥ずかしい2日目スタートです。そもそも船形山山頂を目指すのに、このスタートは不吉だ。気合いを入れなおして再スタート。大滝までは一時間程度で楽々到着。
 ここからの上りはガレ場なので団体様ご注意ですよ。慎重に石を落とさないように登っていきます。ここから一般道に出るまでの道のりが意外と険しく沢靴で急登や枝を掴んだトラバースを2時間ほど格闘し稜線に出る手前で山靴に履き替え山頂を目指します。暫くすると船形山を目視で確認。なんと船形山全体が白い雪を被ったようなカモフラージュをしていました。恐らく敵陣が我らの戦意を喪失させる目的で夜な夜な偽装工作をしたのでしょうか?だが、我ら三峰精鋭隊には関係ない子供騙しですよ。

雪化粧の船形山が見えますよ船形山山頂にて

 随分舐められたものです。山頂への分岐点で空身にし、全員で総攻撃です!突撃隊は白いアプローチを突き進み、寒さと強風に耐えながら山頂を目指し前進です。
 山頂に近づくにつれて、白さも濃くなり先を急ぎます。山頂には、立派な避難小屋があります。
 寒いのと任務遂行のため突入。一階の入り口は既に閉鎖されており、裏から入り口へ通じる梯子を登り、お邪魔します!!
 普通の家のようなドアをガチャリ。中には最新鋭のイージスシステムが何処かにある。全員で詮索開始。奥にもう一枚ドアがある。開けると数名の人!挨拶をして再詮索開始。部屋の中には最新鋭の薪ストーブがあるのみ。恐らく情報筋は薪ストーブとイージスシステムと勘違いしたのであろう。仕方がない。早々に分岐点まで戻り下山することにする。
 のんびりと一般道を通り駐車場への下山中もキノコとの遭遇などがあり、駐車場に着いたのは5時近くでした。

〈コースタイム〉
【10月31日】 三国SA(07:00) → 御所山荘(9:30) → 大沢小屋(15:40)
【11月1日】 大沢小屋(6:50) → 大滝(8:10) → 船形山分岐 → 船形山山頂(11:20) → 御所山荘(16:45)

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