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アイスクライミング・八ヶ岳広河原沢3ルンゼ
荻原 健一

山行日 2015年12月19日~20日
メンバー (L)荻原、小芝、軽部

 最初にこの3ルンゼに来たのは10年前か?その時は本流から3ルンゼ出合までの偵察中にメンバーの一人が薄い氷を叩いて、崩壊した氷ごと滝下に滑落して撤退した。その後何回か計画したが、悪天などで一度も3ルンゼ出合に辿り着くことはなく、いつのまにか10年の年月が経ってしまった。

【12月19日】晴れ
3ルンゼ出合  前夜発で小淵沢駅で仮眠。翌朝、舟山十字路まで車で入り、そこから二俣へ向かう。広河原沢3ルンゼは比較的雪崩リスクの高いルートなので、12月の新雪期に企画したのだが、今年は寡雪で二俣も積雪は数センチといったところだ。  二俣でテントを張り、明日のために3ルンゼ出合まで偵察へ向かう。今年はエルニーニョ現象とかでとにかく気温が高い。1週間前の同ルートの記録を見たら氷が解けてしまい、3ルンゼ手前で敗退している。我々は2日前から入った寒気に期待して入山したが、果たして氷結状況は如何に?  偵察の結果、本流の氷結状態は甘いが何とか登れる。3ルンゼに入れば氷は固く問題なさそう。といった具合でなんとか登れる目途が立った。2週間目のアイス同様ギリギリセーフ!ちなみに3ルンゼ入口は結構分かりづらく、我々は随分とウロウロしてしまった。ポイントは「3ルンゼ入口はゴルジュになっている」といったところか?

【12月20日】快晴
8mのバーチカル滝  今日は移動性高気圧が真上に来ていて最高の天気。3ルンゼ手前の本流チョックストーン滝の氷結の甘い滝でロープを出し、ほどなく3ルンゼ出合へ。最初の小滝はノーロープで登るが、落ち口で氷が割れ滑落。傾斜が緩くすぐに止まったが、やはり落ち口の氷は怖い。もう一つ小滝を越えると3段の大滝が現れる。傾斜は緩く氷も柔らかいので簡単。3段目が少々立っているが2~3m程度だ。滝上に上がると右上の壁に比較的新しいリングボルトが2本打ってあったのでここでビレーする。大滝を向けると二俣。ルートは右俣でも左俣でもよいのだが、我々は予定通り右俣へ。ここは、ほぼ垂直のバーチカル8m滝だ。傾斜はきついが氷の状態は良くスクリューの利きはバッチリだ。エース芝っちが華麗にリードし、更にもう1ピッチはアイス初リードの軽部っちが無難にこなす。ここでロープをほどき、後は歩いて阿弥陀岳南稜P3基部へ。南稜ルートと合流して大休止。天気は無風快晴、展望は360度で完登の充実感と相まって気分は最高。その後は青ナギ経由広河原沢本流に戻って二俣へ下山した。

 10年越しの思いの詰まったルートに力量のあるメンバーと気持ちよく登れて大満足です!

〈コースタイム〉
【12月20日】
二俣(5:30) → 3ルンゼ出合(8:00) → 稜線(阿弥陀南稜P3基部)(11:30)


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