トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ350号目次

雪山登山・鹿島槍ヶ岳(赤岩尾根)
荻原 健一

山行日 2015年12月30日~1月1日
メンバー (L)荻原、軽部、古屋、小松

 赤岩尾根からの鹿島槍ヶ岳は一般ルートであり、技術的な困難性は皆無だろう。しかしながらここ数年の北アルプスの年末年始は毎年大荒れになっており、大荒れ予報からか入山者も極めて少ない。三峰山岳会もこの5年間、爺ヶ岳東尾根や赤岩尾根から毎年パーティーを出していたが、悪天やラッセルに苦しめられ鹿島槍ヶ岳山頂までは全パーティーが届いていない。
 子育てに一区切りがついた私も昨年から合流し、最短ルートの赤岩尾根からの登頂を目指したが、とんでもない大雪に見舞われ敗退。当然のように今年も再挑戦することとなった。

【12月30日】快晴
高千穂平から見る鹿島槍  今年は私にとっては暦が悪く12/30からの入山となった。例会企画で出したのだが、もっと前から休みがとれるメンバーが先発隊として個人山行を企画したので、先発隊の方が人数が多くなってしまった(6名)。それでも仕事熱心な?精鋭メンバー4名が集まり、体力なら任せろ的な若いパーティーとなり頼もしい限りだ。更に今年は寡雪に加えて珍しく大荒れ予報もないことから、登頂成功の期待が高まる。
 前夜発で出発し、基点となる大町の大谷原駐車場には朝の7時30分頃に到着。準備をして8時に出発する。我々のほかにはもう1パーティー(5名)が入るようだ。しばらく林道を歩き、途中で単独の先行者に追いつくとトレースがなくなる。西俣出合のあたりで赤岩尾根を降りて来た杉並労山の2名とすれ違い、三峰の先行パーティーの無事と登頂成功を聞き気分が盛り上がる。少し登るとほどなく先行パーティーとご対面。登頂成功の余韻からか?皆さん随分と興奮気味だ。別れたあとは先行パーティーのトレースを使えるのでサクサク高度を稼いでいく。高千穂平に着いたのが15時くらいで明日の悪天予報を考えると先に進むか悩んだが、初日だし無理は止めようということで今日はここまで。無風快晴の素晴らしい展望を十分楽しめた。

【12月31日】朝は晴れ、その後大雪
赤岩の頭への登り  予報だと朝から崩れる予定であったが、出発時間になっても雲が多い程度でまだ天気は持っている。昨日のトレースも残っており、崩れる前に少しでも進もうと早めに出発する。冷池山荘までは2時間半で一気に上がる。
 予定では明日が登頂日であったが、「この山は妥協したら登頂できない」を合言葉にアタックを1日早めて本日登頂することとする。30分でテント張りと出発準備を終えて山頂へ向かう。天気はまだ持っている。っていうか、むしろ晴れてきた。布引山の登りにかかる頃にはさすがに天気は崩れだし、視界は悪く雪も降ってくる。しかし風はそれほど強くなく、この時点で登頂成功を確信する。視界が悪いので布引山から先はパーティーが離れないように気をつけて進む。緩やかな登りをこなすとほどなく鹿島槍ヶ岳(南峰)の頂上だ。昨年の豪雪と比べると随分と呆気ない感じもするが、何はともあれ登頂成功は嬉しいものだ。古屋君が持ってきた三峰会旗を出して記念写真を撮り下山にかかる。途中出会った真っ白な雷鳥親子3羽が何とも愛らしく心が和んだ。

鹿島槍ヶ岳山頂

【1月1日】
 昨日あまりにも呆気なく登頂してしまったので、爺ヶ岳東尾根から降りようかという話もあったが、メンバーの1名がアイゼントラブルを抱えてしまったので、予定通り赤岩尾根から下山する。登頂時から本日朝まで降り続いた雪は1m以上と思われ、赤岩の頭までのラッセルは結構な労力だ。メンバーは体力はあるがラッセルの経験はあまりないので良い経験になったと思う。頭からの下りは雪がかなり不安定で厭らしいので、私が先頭で降りる。安全地帯まで降りるとほっと一息。しかしここまで降りても今日は風がやたらと強い。今日がアタック日だったら、ラッセルと強い風に苦しめられて登頂できたかどうか?やはり妥協しなくて良かった。高千穂平を越えるとようやく風も収まり終盤戦となる。後は尾根をあっという間に駆け下り、林道に出て駐車場へ。あまりに速い下山となったので、温泉入浴後にもう1晩テントを張って翌日帰京した。

〈コースタイム〉
【12月30日】 大谷原駐車場(8:00) → 高千穂平(15:00)
【12月31日】 幕場(6:30) → 冷池山荘(9:00~9:30) → 鹿島槍山頂(11:30) → 冷池山荘(13:00)
【1月1日】 冷池山荘(8:00) → 大谷原駐車場(15:00)

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ350号目次