トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ350号目次

読図山行・庚申山
待望の中倉尾根(松木谷右岸尾根、石塔尾根とも言う)
前野 立穂

山行日 2015年12月5日~6日
メンバー (L)鈴木(章)、成田、内田、永岡、山口(順)、前野(和)、前野(立)、(藤岡)

 私は今回とても楽しみにしておりました。増田宏さんの著書『皇海山と足尾山塊』を地元の図書館で借り、読んでいました。そのとき、庚申山から北東に延びる顕著な尾根は、山ヤとして、さらに群馬在住の身として必ず歩いてみなければ、と思いました。三峰の例会予定表を見て、鈴木アッコさんの山行を発見、早々申し込みをしました。

【12月4日(金)】
 鈴木アッコリーダーを中心に6名東京発。目指すは"わたらせ鉄道"間藤駅、2台の車で無事に深夜到着。待合室は明かりが点いて快適な仮眠室。寝酒を飲む男達。グーグー。

【12月5日(土)】晴れ
 ここで朝6時、前野二人が合流する。我が家から、三境山トンネルの峠越えをして約45分、静かな間藤駅はまだ眠っていた。そして初めてお会いする藤岡さん、挨拶を交わす早々、どうも体調が悪いとのこと。なんと、わたらせ鉄道の朝一番列車で帰還するというハプニング。お会いしてすぐに見送りする藤岡さんは、列車の中でひとり寂しそう。
 気を取り直して山口さんと車デポ地のかじか荘へ移動する。その後、銅(あかがね)親水公園へ先に向かった5人を追いかける。銅親水公園は足尾ダム(三川ダム)建設時に作られた大きな公園だ。西方向に大きく中倉尾根が見える。ワクワク感が高まる。青い空に1羽トンビがくるりと輪を描いた。
 駐車場を出発、右手のダムの堰から滝のように水が落ちている。立派なコンクリの吊り橋を西に向かって歩く。公園管理棟がある。カギが掛けられ、トイレも水も使用できない。替わりにポリタンクが置いてあり、そこから水を拝借する。さらに堤を少し登ると仁田元沢の右岸口に着く。水道管兼用の橋を渡り、仁田元沢の左岸に着く。橋の下へ回り込むように数m降りると林道だ。この沢沿いの林道を西方向上流へ1時間歩く。準備運動に丁度良い距離か?林道の終点手前917mP付近が取付きだ。右手の灌木に黄色いテープと足元にケルンがある。目印として解り易い。
 暑さ調整を含め、一息ついて急勾配の登山道を駆け上がる。しっかりとした道だ。ルーファイを想定していたので少し驚いた。支尾根稜線に着くと赤テープとケルンがある。葉の落ちた樹木の下は低いササだ。右へ高みとなる道がついている。10時過ぎ、中倉尾根の稜線に着く。取付きから1時間40分かかった。一気に日光の山々が見えてきて歓声をあげる。とたんに岩稜が多くなった稜線に冷たい風が吹き付ける。数日前に雪が降ったようで稜線は所々白くなっている。
 10分ほどで道の真ん中に中倉山三角点が現れた。ササに埋もれ気味だ。少し先に山名板がある。風が強いので支柱を石で囲みケルンから飛び出した格好だ。アッコCLがザックから、「これが見えぬか?」と"三峰のシンボル旗"を出す。皆、目いっぱいの笑顔で集合写真パチリ。良く見たら一人(目が)寝ている。(あっ!ユキだ)

中倉山山頂右側が雪、左側はササ原の稜線

 ここからは、多少のアップダウンを繰り返し、ササ原の気持ち良い稜線が続く。いつも後方散歩の山ぐっちはササ原についた何本ものシカ道をアッチコッチ、マイペースで歩いている。時々あらぬ方向にいってしまい、見えないと思ったら、また現れる。群れを束ねるボス鹿か?頼もしい??
 沢入山1,704mに着く。私は身体が冷えたせいか、足がつりそうになってきた。足重で、シカフンが砂糖をまぶした甘納豆に見えてきた頃、気持ち良いコルとなり、昼食とする。ここは鹿の生息地のど真ん中だ。
 お腹を一杯にして、西方へ向かう。標高を上げる。雪が多くなる。コメツガの樹林帯に突っ込む。シャクナゲが現れる。平らな地形にトレースはないが、ルートを定めガンガン登る。13時半、シャクナゲに囲まれた山頂オロ山1,822mに着く。事前の調べには「ヲロ山」となっている。

沢入山オロ山でニカッ

 KGが山名板を手にニコリ笑顔。西に大きな皇海山が見えてきた。見事だ。
 ここからシャクナゲの藪を一所懸命歩く。雪が多くなり、傾斜も急になると鋸山が見えだす。なかなか良い景色だ。ナリ爺が頑張って先頭を登る。雪にツボ足の状況だが、かえって歩き易い。方向は南東で1,745mのコルからはひたすら庚申山に向かって登る。振り返ると後続がいない。何かあったかと、少し待つ、やはりトラブルだった。KGの登山靴が壊れた。左足の前半分のソールが剥がれ、つま先がパカパカ。救急テープでぐるぐる巻く。KG曰く「そろそろダメになるかな?」、どうも想定していたようだ。「新しいのを買いなよ!」とアッコリーダーの決め言葉。大事に至らず、無事、樹林帯の中の庚申山山頂の祠へ15時過ぎに着く。
庚申山山頂  またもや、リーダーからお約束の三峰印の旗を手に集合写真パチリ。いつの間にか私の足も治り、元気に写真に納まる。安堵!
 後は庚申山荘の宴会を期待して下山開始。急坂の下りが続く。鎖や梯子をいくつも過ぎ、つららが垂れた岩穴を潜り、1時間で庚申山荘についた。水あり、トイレあり、畳の部屋あり、布団あり、テーブルありの二階建ての小屋だ。実に有難い。夕刻17時過ぎはもう暗い。さっそくソーラーランタンが出てきた。(アッコさんが仕入れた小道具)LEDは明るい。
 今夜の食担は前野(和世)、メニューは芋煮の鍋、早速酒盛りが始まる。ビールで乾杯、ワイン、焼酎、酒がテーブルに並び、鍋料理に大満足。うどんで締め、酒盛りは23時まで続いた。夜中にトイレに起きると、イビキが頭の上から降りている。1mも重ねた布団の上でKGが寝ていた。外に出ると一面真っ白な雪だった。10cmほど積もっていた。

庚申山荘前 【12月6日(日)】
 朝起きると綺麗な青空、新雪に眩しい光が輝いていた。庚申山荘北東にある崖の道を登る「お山巡りのみち」は、この新雪で凍って危険とCLが判断し、中止とした。次回のチャレンジだ。山荘を清掃し、山荘前で集合写真パチリ。気持ち良い。ゆっくり出発する。
 KGの靴を補修しながら、途中、夫婦蛙や鏡岩などを確認し、約1時間で庚申七滝のある一の鳥居に着いた。時間は10時50分。七滝を見学する。橋が破損していて、周回はできないが、水の豊富な流れに感嘆する。ここで、最後のコーヒータイム。高度を大分下げたので、雪はもうない。ここから林道歩きとなる。すぐに斜面にゴーロが一杯ある「天狗の投石」に着く。林道なので横に広がり、ワイワイ喋りながら、ほぼ12時にデポ車のある国民宿舎かじか荘に着く。私と山口さんで車の回収に向かう。再びカジカ荘で合流し、この宿舎のお風呂に入る。日曜なので結構山以外のお客がいる。帰路、黒保根「道の駅やまびこ」でソースかつ丼や蕎麦を食べ、解散とする。天気に恵まれ、大変気持ちの良い山行でした。是非、この素晴らしい足尾山塊でまたお会いできることを祈念します。皆さま有難うございました。

庚申山からの下り つららLEDソーラーランタン
〈コースタイム〉
【12月5日】 間藤駅(6:30) → (車デポ) → 銅親水公園(7:30) → 仁田元沢林道917P(8:30) → 中倉山の南支尾根稜線上(9:40) → 中倉尾根上(10:10) → 中倉山(10:20) → 沢入山(11:50) → (昼食) → オロ山(13:30) → 庚申山(15:10) → 庚申山荘(16:30)
【12月6日】 庚申山荘(9:00) → 一の鳥居(10:50) → かじか荘(11:50)=車デポ地 → (風呂) → (黒保根道の駅)解散

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ350号目次