トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ350号目次

縦走・雲取山
有馬 健太郎

山行日 2015年10月24日~25日
メンバー (L)峯川、三澤、別所、平尾、渡辺(靖)、有馬

 今回の山行は、奥多摩の鴨沢西から、奥後山を通って雲取山へ登頂し、雲取山荘の側で1泊。次の日はそこから白岩山を通り、秩父の三峯神社へ向かうコースである。山行のあとは、温泉に入浴し、三峯神社へ参拝する。三峰山岳会に入ったばかりの私にとって、三峰という名前のルーツを探れることは楽しみのひとつでもある。
 三峰山とは、雲取山・白岩山・妙法ヶ岳の三山を総称する山名である。明治初年、明治政府の神仏分離の命により、三峰山は、神山を選び三峯神社となった。三峯神社のシンボルは山犬だ。山犬は、山谷を越え、千里を走って、災禍の原因を除去してくれるものと信じられている。そこへ参拝するのも楽しみだ。土曜日からの出発予定だったが、奥多摩駅前にある餃子屋天益の女将さんのご厚意により、金曜日の深夜に座敷で宿泊することができるようになった。そのおかげで金曜日の深夜に奥多摩駅前の天益に集合。ちょっとした宴会を行い、仮眠した。
 土曜日の早朝、奥多摩駅前からバスに乗った。途中、奥多摩湖のあたりでニホンザルを見ることができた。東京でニホンザルを見ることができるとは思わなかった。そのあと鴨沢西で下車した。登山客は鴨沢で下車していて、ここで降りたのは我々のパーティーのみだった。準備を終えるとお祭まで青梅街道を歩いた。左の方向には、丹波川が流れていて、遠くの山では紅葉が始まっており、緑色、黄色、赤色と赤茶色のコントラストがすばらしかった。そこから林道に入り、いよいよ登山の開始だ。雲取山は標高2,017m。東京都の最高峰だ。百名山でもあり、深田久弥は「煤煙とコンクリートの壁とネオンサインのみがいたずらにふえて行く東京都に、原生林に覆われた雲取山のあることは誇っていいだろう。」と記している。
紅葉が始まっています  1日目のルートは、雲取山荘まで行く。歩行時間はおよそ7時間だ。早朝のバスに乗車できたため、余裕をもって歩くことができる。今日、明日の天気予報は晴れだったが、曇っていた。なだらかな林道を歩いていた。左側には後山川が流れていて飽きさせない風景だった。しばらく進むと、天気予報どおりに快晴になった。気温もちょうど良い感じで、更に、人が私たち以外に誰もいないこともよかった。さらにしばらく歩くと、ゲートのある片倉橋についた。日も照り始めているため、暑くなってきた。林道は、塩沢橋まで続く。なだらかな林道をこつこつと歩いていく。塩沢橋で休憩後、ここから山道に入っていく。ようやく登山っぽくなってきた。細い、急斜面の道を歩いていく。樹林帯の中を通っているため、落ち葉がたくさん落ちている。リズムよく歩くと、サクッ、サクッと心地よい音が聞こえてくる。
黄金色に輝くヨモギ尾根  ブナなどの木々が黄金色になっており、メルヘンチックな感じが続いた。すごく気持ちよかったが、なかなか尾根までたどりつかない。けっこう長いなと思っているとようやく針焼場尾根にたどり着いた。カエデなども見られるようになり、黄金色と赤色のハーモニーを見ることができた。また遠くの山々も見ることができるようになり、まだ緑が多いものの紅葉を楽しめた。
 しばらくして奥後山に到着。尾根を歩いてきたのが続いた感じで、あまり山頂とは思えなかった。ここから奥多摩小屋までまだまだ時間がかかる。今回、改めて早朝のバスに乗ることができてよかったと思った。
 緩やかなアップダウンが続き、左側には飛竜山も見ることができた。しばらく歩くと、前方には雲取山を時々見ることができた。まだまだ遠い。それにしても人とあまり会うことがなかったのですごくよかった。
 ヨモギ尾根を通り、ようやく水飲み場についた。暑かったので水がおいしかった。急な斜面を登ると、奥多摩小屋がある。登りきると、景色が一変した。大菩薩嶺や富士山を見ることができた。天気も良く、あまりの景色の良さにビールを飲むことにした。さっき水を飲んだばかりだったが、喉がすぐに乾いていた。気温も高かったため、すごくおいしく飲めた。それから、小雲取山に向かった。遠くの山々の景色が楽しめるため、疲れを忘れて登っていた。
 小雲取山に到着すると、富士山が更に見えるようになった。ここから山頂まで30分くらいなのでもう少しだ。この辺りから、たくさんの人たちと会うようになった。道も広く、登りやすい。あっという間に山頂に登頂した。周りに木々があるため、周りの景色はあまり良くなかった。みんなで記念撮影!
快晴の雲取山にて  宿泊地の雲取山荘へ向かう。樹林帯の中を歩いていく。登りのときと違って、紅葉があまり見られない。20分ぐらい下ると、雲取山荘が見えてきた。今日はここにテントを張った。テントの側でソーセージやサラミなどを焼いてつまみとして食べた。やはり、登頂した後にビールを飲むと格別においしい。
 そのあと、夕食のシチューを食べた。自然の中で食事をするのは本当にいいものだ。暗くなってから、星空を眺めに歩いていると、2匹の鹿にでくわした。ここで野生の鹿を見ることができるとは思わなかった。明日も何か良いことがありそうだ。
 山の中のテント泊ははじめてだったが、何もかも新鮮だ。あっという間に朝を迎えると、昨日とはかわってとても寒かった。朝食を終えて出発した。風が強い。しばらく歩いていると、体も温まってきた。大ダワに到着した。尾根状の鞍部らしい。大きな木もあり、アララギだろう。ここから先はアップダウンが多くなってくる。道も狭くなってきた。少し歩きづらい箇所がいくつかでてきた。
 しばらくいくと、芋ノ木ドッケという看板が見えた。ここが東京都で2番目に高い山らしい。周りの景色もそんなによいわけではなく、ピークとは思えなかった。
 次に白岩山を目指す。三峰山といわれる中の一山だ。足取りも更に軽くなってきた。ただ、到着してみると木が多くて周りの景色が見えないため、ピークとは思えなかった。ちょっと、残念だった。
 しばらく歩いていると、遠くの景色も見えるようになり、和名倉山など山々の紅葉がきれいだった。尾根を歩き続けると狭くなった。前白岩の肩に着いた。ここからは下りが続くだろう。お清平で休憩をとった。このあと霧藻ヶ峰まで行けば、あとは下りだろう。霧藻ヶ峰からは、森林帯が続いた。鳥居があったりして、三峯神社まで近くなってきた。お土産屋なども見えてきた。三峯神社に到着した。ただ、急に仕事が入ってきたため、帰ることにした。温泉と三峯神社参拝が、お預けとなってしまった。残念!

三峯神社
〈コースタイム〉
【10月24日】 鴨沢西BS(6:45) → 後山林道入口(7:05) → 片倉橋ゲート(7:45) → 塩沢橋(8:20~35) → 取付(8:45) → 奥後山界隈(10:30) → 奥多摩小屋水場(12:50) → 奥多摩小屋(13:00~15) → 雲取山(14:30) → 雲取山荘【幕営】(15:05)
【10月25日】 雲取山荘(5:45) → 大ダワ(6:05) → 芋ノ木ドッケ(6:55~7:05) → 白岩山(7:10) → 白岩小屋(7:30) → お清平(8:35~50) → 霧藻ケ峰(9:10) → 地蔵峠(9:25) → 妙法ヶ岳分岐(10:10) → 三峯神社鳥居(10:20)~三峯神社本殿(10:40)

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ350号目次