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雪山登山・五竜岳
荻原 健一

山行日 2016年3月19日~21日
メンバー (L)荻原、榊原

 このルートは6年前の3月3連休に4名で挑戦して以来となる。当時は2日目のアタック日が爆弾低気圧で猛吹雪となり、テントから一歩も出ることが出来ず、結局3日目朝まで降り続け、約1.5mの降雪となった。あまり雪が降らないという韓国出身の約1名だけはやたら興奮して喜んでいたが・・・。
 それから早くも6年。長年の宿題は片付くのか?

【3月19日】終日雨
 金曜夜より結構激しい雨となる。テントを濡らしたくないので、塩尻健康ランドでの仮眠とする。雨の中、白馬五竜スキー場のテレキャビンに移動してアルプス平駅へ。荷物が重いのでゆっくり歩き、4時間弱で大遠見山と西遠見山の間に幕を張る。幕を張ってからも雨と風はますます強くなる一方だが、テントに入れば中は天国。一杯やってご機嫌になり就寝となる。

【3月20日】晴れ&霧
 朝起きると快晴だ。鹿島槍北壁や五竜岳もよく見えて一気にモチベーションがあがる。

鹿島槍北壁五竜岳(山頂は左、真ん中はG2の頭)

 予定より出発時間を早めて意気揚々とテントを出る。しかし西遠見山を過ぎたあたりからガスが湧き始め白岳への登りの途中でホワイトアウトになってしまう。360度白いので平行感覚までおかしくなってくる。谷川岳でよくある現象なので、仙ノ倉北尾根隊もこんな感じなのかなー等と考えていると、やがて白岳直下に至り、幕営の後と残置されたザックが現れる。更に数十メートル進むと五竜岳方面から2名が空身で戻ってくる。風も強く視界も悪いので後立山の主稜線の分岐の標識まで行って写真を撮って帰ってきたとのこと。「山頂までは厳しいと思いますよ」と言われるが、「とりあえず五竜山荘まで行ってから考えますよ」と言って別れる。程なく山荘に到着するが、先ほどより風も弱くなり時折ガスも切れ始めている。これで帰るのは勿体ないということになり山頂を目指すことにする。稜線を左に見ながらトラバース気味に高度を稼いで行きG2の頭手前の鞍部に出る。
バックはG2の頭(この頃からガスが晴れる)  通常はG2を左に見ながら更にトラバースなのだが、ルートが良くわからない。氷化気味で傾斜の強い雪壁をトラバースしながらウロウロするのも厭らしいので稜線伝いにG2の頭経由で行くことにする。学生時代の正月に同ルートを登降した榊原さんから「結構悪いですよ」と言われるがそのまま進む。行ってみるとやっぱり少々悪かったが、雪が緩み始めて来て蹴りこむとバッチリ足が決まるので技術的には簡単だった。但し一度滑れば滑落停止などで止まるような傾斜ではなくどこまでも落ちていく感じなので緊張感はそれなりにある。やがてG2と五竜岳のコルに至り最後の山頂直下の雪壁の登りとなる。まー、登りは簡単だ。雪壁を越えると程なく山頂。
五竜岳山頂  視界は360度とはいかないが8割ほどは見える感じで時折ガスの中から剱岳が顔を出す。自分と相棒の日頃の行いの良さに感謝する。
 そこそこ風も強いので早々に山頂を後にして下山にかかる。山頂直下の雪壁とG2周辺の雪壁の下りを慎重にこなして山荘まで降りると4人組が幕営の準備をしていた。明日アタックするとのこと。まだ昼過ぎだが周囲はすっかりガスに覆われているので、今からのアタックは難しいのだろう。更にガスの濃くなった白岳周辺を通過して西遠見山~幕場へと戻る。一般ルートと言えども登頂後の酒は旨い。

【3月21日】晴れのち雪
 今日は下山のみ。天気が良かったのは朝だけで下山を開始した頃から雪となった。約2時間であっと言う間にアルプス平駅に到着。

〈コースタイム〉
【3月20日】 幕場(7:15) → 山頂(11:15) → 幕場(13:45)

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