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アイスクライミング・八ヶ岳南沢大滝&大同心大滝
荻原 健一

山行日 2016年2月20日~21日
メンバー (L)荻原、小芝、軽部

 南沢大滝と大同心大滝はいずれも40m~50m、傾斜も垂直で八ヶ岳を代表するヴァーチカルアイスの登竜門となっている。
 そんな怖い滝を自分がリードする気にはなかなかなれず、またリードしてくれる人も三峰にはいないので、長年近くて遠い存在であった。が、昨シーズンあたりから良き仲間に恵まれ、トレーニングを積めばなんとか手が届きそうな気がしてきたので、昨年末に例会として企画、目標ルートとして設定した。

【2月20日】曇りのち雪 夕方から雨
大迫力の南沢大滝  この週末山行以外は全て夜行日帰りだが、アイスはこれで4週連続。その割には全然上手くなっていないのと先週に続いての悪天予報にモチベーションがあがらない中、出発する。赤岳山荘より南沢沿いの登山道を1時間程度歩いて、右側に踏み跡を行くと数分で南沢小滝だ。小滝といっても高さ10mほどの垂直な滝で幅も20~30mあり、全然小さくない。更に左手に数分行くと圧巻の南沢大滝が現れる。こんなところ誰が登るの?って感じでお腹が痛くなってくるほどのプレッシャーだ。準備を整えてなるべく簡単そうなラインを確認する。真ん中のラインは厳しそうで右と左のラインならなんとかなるかも?今回は一番簡単そうな左のラインを迷わず選択する。1ピッチで滝上に抜け、太い木に何本も掛っている残置シュリンゲを支点とした。この後、セカンドに登ってきて貰い、全員で懸垂下降したあとにトップロープで1本ずつ登る。真ん中のラインを登ったが、なかなか厳しい。リードはまだ無理だろう。昼前から予報通り雪が降り始め、どんどん強くなるので今日はここまでとし早々に赤岳鉱泉へ向かう。今夜は気温があがり夕方から大雨になる予報なので迷わず小屋泊とさせて頂いた。

【2月21日】快晴
快晴の中での大同心大滝アイス  今日は大同心大滝へ向かう。ヒロケンさんのトポによれば、「大同心大滝は高差高さ?約50mと大きい。ひとつの滝としては八ヶ岳で最大。また核心部が長い距離を登った後の出口にあるためプレッシャーが大きい。いきなり核心から始まる摩利支天沢大滝よりリードのプレッシャーは大きく、今も変わらぬヴァーチカルアイスの登竜門、一度はリードしたい古典的ルートだ」とのこと。大同心沢を詰めて現れた大滝はやっぱり大きくて傾斜も強い。トポの言葉が頭をよぎり弱気になる。昨日リードしたので今日は如何かしら?と、なにげなく他のメンバー二人に聞いてみるが、二人ともつれないお返事。意を決してリードを決め込み準備に入る。1本で行くだけの技量も気力もないので2本に分けて登ることにする。ルートは左ライン。1本目は特に難しいところもなく左側の岩にボルトが打ってあるビレー点まで上がる。ここからの垂直部が核心となる。出だしの乗り移るところからしてまず怖い。早々にスクリューを1本決めて一安心。そこからはアックステンションかけまくりで手がパンプするのを予防しながらゆっくり登っていく。アックスは比較的決めやすく技術的にはなんとかなるレベルだが、高度感が圧倒的でプレッシャーは相当強い。滝の落ち口を慎重に抜けると雪原となり、5mほど歩いて左側のビレー点でセルフをとる。痺れた~。後はセカンド以降にも登って来てもらい、懸垂下降してトップロープを張る。トップロープで一人2本ずつ登ったところで終了となる。私はリードの疲れもあり、2本目はもうお腹いっぱい状態。快晴の中の大同心大滝アイスは大満足の内容でした!


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