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雪山登山・大佐飛山
峯川 正行

山行日 2016年3月12日~13日
メンバー (L)峯川、金子、荻原、飯塚、渡辺(靖)、成田、菅原、青木

【プロローグ】
 『大佐飛山~栃木で一番遠い山~』というフレーズをどこかで目にして、名前にも惹かれて1年くらい前から登山適時と言われている3月末に例会を出そうと決めました。ただ、従姉妹の結婚式が3月下旬に開かれるので、さすがに登山で欠席です!とも言えないので2週間前に繰り上げることに。結果的にこれが正解となりました。今年は全国的に雪が少なく、また融雪も早いようで、この山域も1ヶ月ほど季節が早まってしまっているようです。
 今回は大御所メンバーが参加となり、私も緊張しながらの山行準備となりました。

【3月12日(土) 晴れのち雪】
 峯川車は駒込集合、金子さん車は東所沢集合で東北道・羽生PAに23時頃集合となりました。関越と東北道が昨年10月に圏央道で結ばれてこのような集合方法も可能になり、なんとも便利です。西那須野塩原ICにて下車して、道の駅・湯の香しおばらにて仮眠です。
 6時に出発し、登山口を目指しますが、登山口の林道への入口がわかりにくいので事前にネットなどで確認済みです。百村山の昔からの登山口である光徳寺の手前に巻川林道へ左折して登山口までたどり着けます。しかしこの左折する所がわかりにくいです。林道を示す木製の標識も倒れている始末で、どなたかの家の入口のような感じです。これは事前に調べていないとスルーしてしまいそうです。
 林道は一旦沢を渡り、ぐんぐん高度をあげていきますが落石が多いので注意したほうがいいです。帰りの際に石に乗り上げてしまいました。
 7時過ぎにアルミ梯子がかかる黒滝山登山口に到着です。車が2台既にあり、これでトレースはありそう・・・。通常のこの時期では本来は雪が多く登山口までは到達できずに途中で車を駐車するようです。
 準備をして、アルミ梯子を登り始めると稜線までの登りがなんともきついです。登りながら帰りの下山の時が泥壁になって大変だろうなあと。重い荷物に体を慣らしながら慎重にゆっくり登って行くと30分で百村山先の分岐ポイントに到着です。雪もうっすら出てきました。天気もよく那須連峰が見えます。右に行くと百村山となります。このコースだと百村山をショートカットする感じとなります。ここからは三石山、サル山、山藤山と約一時間刻みでゆっくり進みます。先ほど右側に見えた那須連峰もだんだんガスが上がってきてしまい、最後には何も見えなくなってしまいました。ルートはいたって安全です。一応歩きやすいので途中でアイゼンを装着しました。ワカンは必要ない状況でした。金子さん、荻原さんはこんなルート歩いて憤慨しないだろうかなんとも心配でした。雪も降り出し、天気予報とかなり違いますが、明日の天気は大丈夫だと言い聞かせながら進みます。青い空と雪の天空回廊を絶対に見るんだと。
 黒滝山には11時半過ぎに到着です。黒滝山手前で単独のおじさんに会って、この先は吹雪いていて大変だった!明日も天気が悪いから気をつけたほうがいい!と助言をいただきました。どうも黒滝山で引き返したようでした。明日の朝は天気がよいのではと思っていたので。明日は天気が悪いと言われたのでなんとも気分が悪いです!
黒滝山までは夏道はあるみたいです  時間は早いのですが幕場探しです。当初の案では黒滝山と西村山の鞍部が適地ではと思っていました。黒滝山から先が迷いやすいと記録があったので注意して進みますが、赤布が連発して期待はずれでした。ただ、赤布がないと、右へ左へくねくねするルートなのでわかりづらいかと思います。12時10分くらいに二重山稜の窪地に当たるような場所を幕場にすることを決定。時間が早くてすいません~。私の山行はいつもこんな感じでして・・・。どうせ天気も良くないし!水作りと宴会をしていればすぐに時間は過ぎます。ジャンボテントと2,3人テントを設営してみんなで楽しくテント生活です。荻原さんとテントで一緒になるのは10年ぶりぐらいでしょうか。こんな山行に来ていただいて申し訳ないです。雪はまだ降り続いていますが、積もるような雪質ではなかったので安心しておりました。夕食は先日の滑川温泉で好評だったらしい、豚肉と白菜のミルフィーユ鍋の進化版です。事前に家で白菜と豚肉を刻んでコッフェルにぎゅうぎゅうに入れ込み、ミルフィーユ状態にして冷凍しそのままザックに入れて持ち上げました。この人数なのでミルフィーユ鍋は2回戦方式として、2個目の鍋は最近重いものなら何でも持ちます!と豪語するやすよちゃんに持参してもらいました。一年でこんなにたくましくなるなんて峯おじさん思いもしませんでした~。
 この鍋は簡単なんです!出汁を入れて水を入れて火をかけて数十分で完了!家での仕込みをしっかりすれば大丈夫です。夕食タイムでみんなに食べて頂いている時に金子さんが久々の山で日本酒が美味しかったのか900mlが既に空で気持よく寝てしまいました。ミルフィーユ鍋を食べていただけなかったのでなんとも残念でございました。

【3月13日(日) 晴れのち曇り】
 今日は行動時間が何気に長いので6時過ぎに出発。テントは設営したままで空身で出発です。なんと天気が良いのです!これはみなさんの日頃の行いが良いのだ!
大所帯の幕場から出発!  西村山へはトレースがついている左斜面を上がっていきます。幕場は二重山稜の真ん中の窪地なので右側から登っても西村山にたどり着きます。ひとまずトレースを追いかけると展望が開けてきます。雲海が広がりなんともテンションが上がってきます。これなら天空回廊が一望できそうです。すぐに西村山につき、稜線を進みますが、雪もそれほど積もってなくアイゼンで問題なく、ワカンも必要なかったです。那須連峰がとても綺麗でした。山座同定をしていると、大佐飛山からつづく男鹿岳から尾根づたいで延々と歩いていくと那須連峰につながっていることがわかりました。この山域はあまり知識がなかったのですが、かなり面白そうです。来年もまた通いたいです。
いつか男鹿岳から那須連峰へ歩きたい!  本来のこの時期だと、大長山手前には巨大雪庇ができるそうですが、今年はかなり小規模な雪庇しかありませんでした。やはり今年は雪が少ないです。1時間ほど快適な稜線歩きをすると大長山に到着です。大長山には荻原さん出身のM大ワンゲルのM型プレートがありました。かなり古いです。それも8月に藪漕ぎで来ています。相当な藪だと思います。シゴキ山行だったのでしょうか。
大長山にて 有名なM大ワンゲルのMプレート  さて、大長山で方向を北側へ進路を変えて大佐飛山を目指します。ここからがこの山行のハイライトである『雪の天空回廊』なのです。おそらく昨日はガスガスで何も見えなかったでしょう。こんな素晴らしい快晴の中を歩かせてもらって嬉しい限りです。昨年から企画した甲斐がありました。昨晩の雪が樹木につもって、これもまたいいアクセントとなりました。雪をかぶった大佐飛山を左手に見ながら雪の天空回廊をみんなわいわいと下って行きます。
大佐飛山目指して天空回廊を下ります  ここで二人組のパーティーをすれ違いました。大佐飛山山頂で幕営したそうです。トレースを付けて頂き感謝でございます。帰宅後に私がアップしたヤマレコにご丁寧にコメント頂きました。愛知の方のようです。とても丁寧に山に登られている印象でした。
 天空回廊に感動している私は最後尾から写真を取りながらのんびり下っていきます。最高です!遠くの稜線を眺めていると、あの稜線も歩きたいというプランがいくつもわいてきます。
 鞍部で少し休憩して、大佐飛山へ登っていきます。トレースがありますので快適に登らせてもらっています。大佐飛山には9時前に到着です。樹林に囲まれてあまり展望はきかないです。ひとつ気になったのが、いくつかある山名板がかなり高い位置にあるのです。しつこいようですが、やはり今年は雪が少ないのです。1.5mほど少ないでしょうか。いつかここを通過して瓢箪峠経由で男鹿岳を目指したいです!その時は大佐飛山で幕営をしたいと思います。
大佐飛山の山名板がはるか上で雪が少ないです  往路を戻りますが、だんだんガスが上がってきました。本当に運が良いようです。天空回廊を歩くまで天気がもってくれたようです。
 幕営地には11時に到着し、テント撤収をして12時に出発です。やはりピストンは帰りの時間が長く感じます。でも、目的はほぼ果たせたので、下山後の温泉とチーズケーキを食べることを考えながらの下山です。
 最後の核心は巻川林道への急な泥壁の下降です。私は先頭だったのでごまかして残置ロープを使って下れましたが、後続のみなさんはズルズル滑って大変だったと思います。ヤレヤレという感じで15時過ぎに林道に降り立ちました。実はこの登山口、少し先にも登山口があったようです。それも100mぐらい先ですぐ近くです。下山の際は我々が使った分岐を通過して百村山を過ぎた後にある分岐ポイントを経由して下山したほうが泥壁に苦労すること無く下れるようです。この泥壁を嫌がっていた、やすよちゃん、もう少し先に行けばよかったね。下調べが甘くてごめんなさいです。
泥壁に苦戦してアルミ梯子のある新登山口に到着  おかげさまで計画通りに大佐飛山山行を遂行できてほっといたしました。今回の山行でテント内での金子さんの重い一言に納得いたしました。「岩つばめというのはね、計画をして、その山に思い入れがあるリーダーが書くべきもんなんですよ!」
 確かに、自分の思い入れがあるリーダー企画の原稿は最後のリーダーの仕事として原稿を書くのは当たり前なのだなあと。ですので大佐飛山も書かせていただきました!
 今後もこの山域をウロウロして興味深い山行企画をして岩つばめの原稿を書き上げていきたいと思います。

〈コースタイム〉
【3月12日】 黒滝山・大佐飛新登山口(7:10) → 三石山(8:35~45) → サル山(9:30~40) → 山藤山(10:30~40) → 11:40黒滝山(11:40~50) → 西村山手前鞍部【幕営】(12:10)
【3月13日】 西村山手前鞍部(6:15) → 西村山(6:25) → 大長山(7:30~35) → 大佐飛山(8:50~9:00) → 大長山(10:00~10) → 西村山(10:45) → 西村山手前鞍部【テント撤収】(11:00~12:00) → 黒滝山(12:10) → 山藤山(13:00~10) → サル山(13:40~14:00) → 黒滝山・大佐飛新登山口(15:10)

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