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縦走・念丈岳
峯川 正行

山行日 2016年9月10日~11日
メンバー (L)峯川、箭内、平尾、岡部

 最近よくヤマレコ見るのが楽しみです。全国で多くの人が山に行っていろんな記録をアップしてくれるのです。たまにマニアックで私好みの山行があったりするとお気に入りに入れて自分の山行候補を入れたりします。昨年とても気になったキーワード・・・念丈岳、上澤新道、そして念丈岳整備作業。整備作業がおそらくされている時期を狙ってこの山行の企画となりました。一番楽しみなのが上沢の泉という幕場です。昨年刈り払いされてテントが数張り設営できるスペースがあるようです。なんとも楽しみです!

【9月10日】晴れのち曇り
 お気に入りの小黒川PAで仮眠をして松川ICで下車をしてセブン-イレブンに立ち寄り、本高森山登山口を目指します。高森カントリークラブの横を通過して更に奥に進みますが、舗装路で問題ないと思っていたのですが、数カ所陥没したり段差があったりして慎重に進みました。3台ぐらいしか車を駐車できないような本高森山登山口には長野ナンバーが1台あるだけでした。静かな山行になりそうです。共同装備などの割り振りをして6時半から歩き出すことができました。早出&早幕がモットーなのでまずはホッといたしました。登山口には予想通りに念丈クラブの方々が刈り払いに入られていることを知らせる張り紙がありました。今日か明日には念丈クラブの皆さんにお会いできるのではと楽しみになりました。
念丈クラブの皆さんの刈り払いの案内  しっかり下道がついた樹林帯の中、順調に高度を稼いで登っていきます。本高森山まではかなり前から登山道があったようで、古い指導標がいくつもありました。登り始めて1時間半ほどで前高森山と吉田山への分岐ポイントです。以前アッコさんがこの山域に入山した際はこの吉田山ルートで下山したようです。
 高度を900mほど登ったころに本高森山に到着です。3時間かからないで到着です。順調ですね。本高森山は樹林に囲まれていますが、唯一南アルプス側が抜けていて綺麗な南アルプスの稜線を眺めることができました。しばらくこんな快晴の中、山を歩いてなかったので登りでの汗がなんとも心地よいです。
南アルプスの眺望がよい本高森山  いよいよこれからが上澤新道です。上澤新道のいわれを記載したパネルもありました。何年もかけて開拓したこのルートへの思いが伝わってきました。我々もこのルートを歩くことにより道が踏み固められて、上澤新道のためになるのだと思い一歩一歩しっかり踏みしめながら進もうと思いました。
いよいよこれより上澤新道です!  大島山までのルートは気持ちのいい笹原が広がり、そして今日の青空がまた素晴らしい。笹原と青空のコントラストが目に優しいです。たまに花崗岩のザレ場などを通過していくと、前方から男女2人パーティーの方にお会いしました。昨日は清水平で幕営されたようで、水場の水流はかなり細いとのこと。先の上沢の泉はジャブジャブ流れているとの情報をいただき、テンションがあがります。
笹原と青空が素晴らしい上澤新道  しばらく笹原のルートを進んでいくと、大島山直下の標高2,080m付近の小さな笹原の清水平に到着です。手作りの釘打ちプレートで水場を差していたので、地形図でザレを示している西側に5分ほど下っていく確かににザレ場があり、その奥の細い涸れ沢を進むと細いですが水が流れていました。冷たくて美味しい清水を頂きました。美味しいです!清水平に戻り笹原と青空を見ながらしばし休憩です。先程お会いした方たちが幕営したと思われる場所もありました。3張くらいは設営できる感じでしょうか。
 少しの登りで大島山に到着です。大島山は予想に反して展望が素晴らしい山でした。大島山のシンボルと言われる1本の立ち枯れの木がとても印象的でした。
立ち枯れの1本木が印象的な大島山  上沢の泉は大島山から2,158mPまで稜線を進みますが、そこから稜線を外し南西方向へ下っていきます。おそらく上沢の泉の源頭部に降りていくと思われます。しばらく下っていくと小沢が出てきました。これが上沢の泉です。コンコンと冷たい水が湧き出て流れていました。本当に美味しいのです。
冷たい水がコンコンと湧き出す上沢の泉  そして上沢の泉の少し上に念丈クラブの方たちが笹原を刈り払いしていただいた場所があり、3張くらいテント設営できそうでした。我々は登山道の左側の空間にブルーシートを敷いてテントを設営しました。笹を刈り払った際は切り口が刃物のようになるのでテントボトムを切らないようにブルーシートを持ってきましたが正解でした。まだ時間は13時過ぎでしたが、おそらくこの後は誰も来ないだろうということで登山道のど真ん中で宴会が始まりました。
 虫が多かったのですが、皆さん蚊帳頭巾をちゃんと持ってきておりました。頭巾を被っての宴会はなんとも怪しい集団のようでした。その日の夕食は峯川担当で、最近はまっている鶏ちゃん焼です!木曽の郷土料理のようで最近はまっております。自宅で鶏もも肉と赤味噌と豆板醤で味付の仕込をして真空パックで冷凍してきて持参です。フライパンで炒めるだけで簡単です。あっという間に完食となりました!明日も早いので19時過ぎには就寝です。

幕営地の上沢の泉での頭巾宴会最近ハマっている木曽の郷土料理・鶏ちゃん焼

【9月11日】曇り時々晴れ
 本日は3時起床5時出発です。天気が心配されましたが、なんとか雨にも降られずに助かりました。暗がりの中、出発となりました。まずは稜線に合流すべく登っていきます。昨年の刈り払いのお陰でルートはしっかり下道が見えます。ありがたいです。
 立ち枯れのエリアを進むと目の前に念丈岳が見えてきます。また左側には安平路山も見えます。安平路山への稜線もなんとも魅力的です。
朝焼けが神秘的だった念丈岳山頂  ひと登りすると360度大展望の念丈岳に6時前に到着です。朝焼け状態ですがなんとも神秘的で感動いたしました。我々のみ独占で静寂の中、騒ぐことなくただ静かに風を感じておりました。越百山や奥念丈岳もお隣に聳えて、いつか歩く機会を作りたいと思いました。
 ここで上澤新道とはお別れです。ここまでのルート整備、本当に頭が下がります。烏帽子ヶ岳方面に進路を進めます。越百山への分岐口は『越百山』と書かれた指導標も朽ちていて、笹もかなりかぶっていたので少々わかりづらいですが、少し凹んでいるので分かる人には道筋が見えるはずです。多少のアップダウンをこなして稜線を進むと1時間ほどで池ノ平山へ到着です。ここはテントが4張ぐらい設営できるぐらい平らな場所で刈り払いもされておりました。昨年は念丈クラブの皆さんも幕営しておりました。ただ水場がないので担ぎ上げとなります。
テントが設営できそうな池ノ平山  しばし休憩し稜線を進んでいくと、ウィーン~という機械音が聞こえてきて、刈り払いをしている音だと思いました。念丈クラブの方で今年は鳩打峠から入山しているようです。感謝の意を伝えて、さらに進むと樹林帯の中に黄色のツェルトが見えました。おそらく念丈クラブの皆さんのベースキャンプなのだろうと思いました。話を伺うと、今回のプロジェクトは刈り払いだけではなく、新たなる水場の発見のようです。水場と書かれた手作りの指導標も今回持参されて、稜線の北側を差していました。この水場を探すのには相当時間がかかったようです。下りに10分以上かかるようで、なかなか大変です。まだ、道筋もちゃんとつけられていないようです。ここで水が取れれば池ノ平山で幕営することも可能になるかと思います。ここまで重い重機を担いで刈り払いをしていただいたことに感謝の挨拶をして、今後もこの山域に多く来てルートを踏み固めることを誓い烏帽子ヶ岳に向かいます。
念丈クラブの皆さんのベースキャンプ地  雲が多少かかっていますが、南アルプスの稜線は今日も綺麗に眺めることができます。岩稜帯である烏帽子ヶ岳界隈ですが、安全に登ることができます。烏帽子ヶ岳から崩壊地であるセキナギを眺めながら下っていくと7合目の飯島ルートとの分岐点9時前に到着です。刈り払いのお陰でとても気持ちよく歩くことができました。小八郎岳という面白い名前の山があり、片桐小八郎の碑があるからスルーしないで寄っていきましょうということになり、ミズナラ林の中を下っていきます。このルートは上澤新道と打って変わって多くの人が登ってきます。皆さん縦走ではなく、念丈岳、烏帽子ヶ岳までのピストンの人が多いようです。小八郎岳に到着すると予想に反して眺望が良くてびっくりしました。そして囲炉裏付の東屋もあり、地元の人たちがのんびり談笑していました。子供たちも登ってきたりと多くの人に愛されている山のようです。この場所だけのんびり時間がながれているようで気持ちがとても良かったです。
東屋付の気持がよい小八郎岳  あとは鳩打峠に下るだけです。惰性で下っていきますが、レッドデータブック指定になっているササユリが自生しているようで保護の看板がありました。いつかササユリを観賞しに来たいものです。小八郎岳でタクシーを予約したので、鳩打峠についてすぐにタクシーが来てくれました。問題は取付の本高森山登山口までタクシーが入ってくれるかどうか心配だったのですが、マルモタクシーの運転手さんは悪路に負けることなく果敢に攻めてくれました!
 その後は定番の松川温泉清流荘に向かいますが、いつもとなんか違います。明らかに体脂肪が少ない人たちが多いのです。体つきを察しておそらく近くでマラソン大会があったのではと思いました。フロントで聞いてみるとその通りでした。
 今回の山行は静寂の中の静かな山旅で、とても癒やされました。こんな気分にさせて頂いたのも念丈クラブの皆様のおかげであるということを忘れてはいけません。私も登山グループでこのようなホームグラウンドの山を持ってみたいと思うようになりました。

〈コースタイム〉
【9月10日】 本高森登山口(6:30) → 前高森分岐(8:10) → 本高森山(9:15~45) → 清水平【水場偵察】(11:15~45) → 大島山(11:55~12:10) → 上沢の泉【幕営】(12:30)
【9月11日】 上沢の泉(4:55) → 念丈岳(5:45~6:05) → 奥念丈岳分岐(6:10) → 池ノ平山(7:00~15) → 水場【新設】(7:30) → 烏帽子ヶ岳(7:50~8:05) → 七合目・飯島分岐(8:55~9:05) → 小八郎岳(10:00~10) → 鳩打峠(10:45)

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