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沢登り・片品川根羽沢大薙沢
吉岡 卓磨

山行日 2016年6月25日~26日
メンバー (L)鈴木(章)、和田、下村、吉岡(卓)

 ニュースでは群馬県みなかみ町の八木沢ダムの貯水率が梅雨時としては異例の少なさと騒ぎ立てている昨今、そこから20kmほどの距離にある尾瀬の根羽沢大薙沢に行ってきた。梅雨の中休みになんとか当たってほしい、いや当たるはずだ、こっちの方はたいして降ってないんだから。
 朝起きるとほぼ止みかけの雨。東所沢で集合し、一路大清水へ。雨はもう止んでいる。そして新緑が美しい。この辺は落葉樹で、薄緑の葉は曇天に差し込む光でさえ輝いて見える。天気は回復傾向、いい調子だねぇ。
 大清水に車を停め(1日500円)パッキングして出発。30分もしないうちに物見橋に到着し、入渓の準備にかかる。そしてすぐに5×6m滝が現れた。最初のここが一番難しかったように思う。右から巻いて、スリングをつなげて確保しながら突破する。
根羽沢金山後の軌道と釜のある小滝  続いて軌道下の釜のある滝。ここは金山跡とのことだが、かつて賑わいを見せた頃が偲ばれる。今はただ、軌道越しに差し込む光が深い釜を照らすだけだ。
 1日目はあまり濡れないと思っていたのだが、さっそくここで腰まで浸かりながらの滝登りになった。その後は緩やかな沢歩きで二俣が近づき、幕場にいい場所を探すが、結局遡行図の「ビバークサイトとしてよいところ」にテントを張った。
 さて、焚き火をやりましょうとのことで薪集めをする。
薪集め中に発見したショウキラン  連日の雨で濡れているが、こんな薪で大丈夫なんだろうか。ちなみに自然公園法では特別保護地区に指定された場所では明確に焚き火を禁じているが、その他の地区・地域では明記されていない。細い枝やらクマザサやら針葉樹の枝先やらから太めの枝まで結構集めたな。大きな木の根元に腐生植物と思われるものを発見。ギンリョウソウなら何度か見かけたことがあるが、これは違うな。後で教えてもらったところ、ショウキランというらしい。着火剤をいくつか使い、なんとか火は点いた。さて、懸垂下降経験の乏しい私は和田さんの指導のもとで練習。ここで和田さんにトラブル発生。「アタシのルベルソがねえ・・・。」ん~、確かに入渓前は緑のルベルソがギアラックにあった。5×6m滝のときに落としたらしいとのこと。見つかればよいのだが、どうしたもんじゃろの~。とりあえず今はムンターヒッチで下る。
 火を囲んで夕食を食べ、しばし語らったのち就寝。深夜に雨が降ったようだ。
 翌日、4時に起床、6時に出発。間もなくの二俣を左俣へ。7mスダレ状滝の手前のナメに花が咲いている。こんな流れの激しいところにどうやって根を張っているのだろうか。まぁ苔のぬめりの上に張ってるんだろうけど。ピョコン・ペタン・ピッタンコのド根性を感じるな。後で調べたところオオバミゾホオズキという花のようだ。
 さらに3段20mを巻いていくといよいよ沢も水量が少なくなり、ツメになる。登山道があるはずの方向へ、踏み跡かもしれないスキマに入り込む。薮なんかほとんど歩いたことがないので、草を踏んで滑る感じが慣れない。そんな感じでわさわさやっていると両船へ出た。その向こうには湖がある。お、スキー場もある。丸沼だな。

オオバミゾホオズキ3段20mの滝

 このまま四郎峠まで歩いたのち、しばし休憩。さぶい。稜線は風がよく通るなぁ。そうそう、稜線というのは風が強いものだった。ここから右俣の沢に行くのだが、四郎峠からは踏み跡ができている。ここを下ればよい。
 尾根は登るほど集約され、沢は下るほど集約されていく。ほどなくして沢らしい沢になった。そしてお待ちかねのゆるい傾斜のナメ。遡行図の概要に記載されているとおり「どこまで続くの!」と思わず口に出た。基本的に黄土色の岩盤なのだが、ちょいちょい黒い筋が走っている。そんなふうに幾星霜を重ね、地層を重ねてきたということなんだろうが、残念ながら地質はまったくわからない。 延々と下っていると、滑り台に最適な傾斜が現れた。さて、滑ってみるか。釜に入り込めば全部濡れるよな。でも、沢に来たら一回くらい全身ずぶ濡れないと感じがしないもんな。では行くゼ、ホホ~イ・・・滑りが悪いようだ。もう一回ホホホ~イ!意外と滑らず腰までしか浸らなかったけど楽しかった。そんなナメもいよいよ終わり再び合流地点、そして幕場へ。と、思ったらまだナメが続く。行きでは誰も全く気づかなかったけど、意外とどこもナメだったんだ。小滝を越え、最初の滝のところで本番の懸垂下降を終えると、その滝壺に緑のルベルソ発見!小さくて重たいものは流されないって聞いたことがあるけどその通りだった。何とか枝にひっかけて無事回収。
アッコさんのイエイ!のポーズ  すぐに物見橋に着き、沢はここで終了。沢経験が少ないのでそんなもんなのかと思っただけだが、沢登りというのはよくやっても、沢下りというのはなかなかやるものではないらしい。ということで今回はなかなか貴重な経験をできたようだ。
 車窓から再び新緑を眺めながら帰路に就いた。沢汚れは「ほっこりの湯」で流した。道路の向かいにおいしい湧水が湧いていた。そういえば大清水っていかにも水が湧いてそうな名前だよな。とおもったら物見小屋の売店先にあったらしい。今度来たときはここで汲もう。

根羽沢大薙沢ルート図
〈コースタイム〉
【6月25日】 大清水(10:46) → 物見橋(11:07) → 根羽沢金山跡(12:31) → 幕場(13:37)
【6月26日】 幕場(6:00) → 二俣(6:18) → 四郎峠(9:22) → 幕場(11:09~11:36) → 物見橋(12:50) → 大清水(13:04)

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