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沢登り・赤谷川笹穴沢
津田 友紀子

山行日 2016年9月4日~5日
メンバー (L)内田、金子、山蔦、永岡、澤野、津田

 少し前の岳人の沢登り特集を今年の6月に雨の山小屋で読み、そのときにメモを取った、行きたい沢リストの中に笹穴沢があった。そこには「谷川ナンバーワン、全ての魅力が詰まっている」と。いつか行きたいなあと思っていたら内田さんの例会が出て、まだ自分は経験不足とは思いつつも手を挙げ参加することができた。

【9月4日(土)晴れのち曇り】
 前日、東所沢駅22時に集合し、2台の車で川古温泉まで入る。翌朝は6時頃に起床し、1台を下山口の元橋の駐車場に回した。ゆっくり準備をして8:50に川古温泉を出発する。温泉宿の右側の林道を、ゲートを越えて進むが、道なりに行くと左に架かる橋を渡ってしまいそうになる。正しくはそのまままっすぐ、坂道の林道を上がっていくと林道終点、笹穴沢出合に到着する。
 沢に入るとすぐにゴルジュが出てきた。エメラルドグリーンの釜に日が射して美しい。ゴルジュには入らず左岸の明瞭な巻道を進む。沢床に戻るといくつか釜が出てきて、イワナも走っていたようだ。竿を出しながら歩く。しばらくはゴーロ歩きが続いた。
 金山沢出合の先の滝で水量が多いせいか直登がいやらしい個所があり、滝の右脇を内田さんがよじ登ったが、なかなかアクロバティックな体勢が必要で難しい。ザックを別に上げてもらって空身でなんとか上がることができた。
 幕場を探しながら進むが、6人が泊まれるようなよいところはなかなかなく、私には一目ではわからなかったが、1,050m辺りの右岸の鬱蒼として草木の生えているところに決まった。均して整地すると居心地のよい幕場となった。よい薪があまりなく濡れている流木が多かったが、火が着くとすぐに宴会となった。何匹か捕ったイワナも食べられ、毎度の楽しい宴会と最後には骨酒も飲めて幸せに就寝。

【9月5日(日)雨のち晴れ】
 朝6時に出発。天気はあまりよくなく少し寒い。歩き始めてすぐにクロガネ岩峰を見て、本格的な滝も出てきた。1,140mの二俣を過ぎてすぐの2段20m滝は、右壁を登るが全部濡れていて滑りそうだ。水量もだいぶ多い。澤野さんがリードし、次に山蔦さんが登る。途中でピッチを切って、山蔦さんがそこで後続の4人が上がれるよう待ってくれていたが、滝のしぶきをもろに受けてだいぶ寒そうだ。ザックも別に上げてもらい全員上がるのに1時間半かかった。次の12m滝も全面濡れていたので、左岸の脆い土と石のグズグズのところを巻いて上がった。
 その後に続く15m滝も右壁を澤野さんがリードし、後続は快適に上がる。

2段20m滝30m滝

 次の15m滝は左壁の草付きフェースを山蔦さんがリード。岩はずいぶん固いらしい。上がった後の4mナメでも全面濡れていて、ヌルヌル滑る。ゴム靴を履いてきたが、今回はフェルトにすればよかったのかも、という懸念が何度も胸をよぎる。今回は緊張の連続だ。
 次の30m滝は澤野さんが右壁をリード。途中の狭いテラスでピッチを切って、ここでも山蔦さんが後続をサポート。寒い思いをさせてすみません・・・。高度感があってここでも緊張した。
大ナメ滝  ようやく大ナメ滝(40m)まで来た。内田さんと永岡さんが先に登るが、私は遡行図のアドバイスにあった「技術的にはやさしいが滑落は許されない」という文章が頭に浮かび、右側の草付きに歩きやすいところはないか細い沢を少し上がって探してみるが、草のすぐ下はつるつるの岩、沢に向かって逆相気味で滑りそうだ。ここも澤野さんにリードしてもらう。右壁を上がるが途中でピッチを切った。
 最後に城塞のような10m滝は滝のすぐ左壁を上がるのと、もっと手前のルンゼから上がるのと二手に分かれたが、後者が早かったようだ。ここまで来るともう源頭で、一本取りながら上がっていくと、最後は10分ぐらい笹薮を漕いで平標の登山道に出た。もう秋の雰囲気だ。日もだいぶ落ちていて、淡い夕焼けがきれいだった。平標山の家に行くまでに真っ暗になり、そこで装備分けをしてヘッデン下山となった。
 思いがけず早いタイミングで笹穴沢に行くことができたが、大きな滝の連続で私にはお腹いっぱいの沢だった。次回はもっとスムーズに動けるようになって、晴天のときにぜひもう一度登りたい。

〈コースタイム〉
【9月4日(土)】 川古温泉(8:50) → 林道終点(10:20~10:50) → 925m付近(12:05~12:35) → 1,050m付近幕場(15:30)
【9月5日(日)】 幕場(6:00) → 5m滝(9:40) → 30m滝(11:00) → 40mナメ(13:40) → 10m滝(16:15) → 登山道(18:25) → 山の家(19:15) → 元橋駐車場(20:50)

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