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沢登り・大洞川井戸沢栂ノ沢
金子 隆雄

山行日 2016年7月30日~31日
メンバー (L)金子、内田、箭内、小幡

 なぜこの沢へ行ってみようという気になったのか自分でもよくわからない。以前、井戸沢の本流を遡行したことがあるが結構楽しめる面白い沢だったのできっと支流も面白いだろうと思ったのかもしれない。
 前夜に東所沢駅に集合し高速は使わずに国道299号線経由140号線で秩父を目指した。雲取林道入口の空地で幕営し仮眠とした。

【7月30日】
 車で鮫沢橋まで移動。以前は荒沢橋まで車で通行できたが今は鮫沢橋の前に頑丈なゲートができていて車はシャットアウトされている。ゲート前の空地は既に 車で一杯なので少し戻った広くなった路肩に駐車する。駐車している車のほとんどは釣り人のものと思われる。ここから荒沢橋まではちょうど1時間の歩きとなる。
 荒沢橋からはもう林道と呼べるような状態ではなくなっている大洞川左岸に沿った道を30分ほど行くと川へと降りる踏み跡があるのでこれを辿り松葉沢を渡って堰堤下へ降り立つ。途中には釣り人のものと思われる自転車が置いてあった。
 堰堤下で沢装備になり堰堤を左から越えて降り立つとそこが井戸沢と惣小屋谷の出合だ。左の井戸沢に入り束の間ゴーロを行くとゴルジュの様相となってくる。大きな滝はないが大きく深い釜を持った滝が次々と出てくる。水に浸かったりヘツったり捲いたりしながら突破していく。ここは以前来たことがあるのだが ほとんど記憶にない。
井戸沢のゴルジュを行く  釣り人が1人降りてきて3人の釣り人が先行していると言う。時間があったら釣りをしようと思っていたがこれで期待できなくなった。やがてキンチヂミの悪場にさしかかる。水線突破はとても無理で右岸より大きく捲くことになる。小尾根の上まで上がる所には太いワイヤーがあり、これ見覚えがあるなあと記憶が蘇ってきた。小尾根まで登り切ると以前来たときにはなかったトラロープのフィックスがある。このフィックスを使って1段下に降りてもそこは狭く急なルンゼになっていてロープなしでは降りられないので懸垂する。30m2本でギリギリ下までとどいた。
 沢へ戻ってもまだゴルジュは終わっていない。最後は右壁にフィックスがある釜を持った小滝をヘツる。落口への一歩が思い切りがいる。これが終わると沢は開けてきてわずかで栂ノ沢出合となる。今日はもうここに泊まってもいいかなと思っていたのだが幕場に良さそうな場所には既に釣り人のタープが張られていた。泊まる場所は探せば他にもあるかもしれないが時間もまだあるので栂ノ沢へ入ることにする。
 栂ノ沢は水量が少なく一面に苔むしている。奥秩父らしいと言えばまあそうなのだが倒木の多さには閉口してしまう。想像していたような沢ではなかった。水量は少ないが滝は多い。倒木を潜っては滝を登り潜っては滝登りの繰り返しだ。もう今日の行動は終えようかなという頃に8mほどの滝が現れる。これを登るには思いっきりシャワークライムだなと躊躇しているとウッチーがさっさとシャワーを浴びながら登り切ってしまった。一日の終わりにシャワークライムは勘弁して欲しいなと思いながらも後に続くしかない。イケイケガールで困るな。
 時刻はもうすぐ16時、そろそろ幕場をと思う頃なんとか4人泊まれそうな所があったので行動を終える。タープを張り薪を集めて火をつけ燃え上がると三峰御殿の完成だ。

【7月31日】
 今日も天気は上々、7時に幕場を後にする。相変わらず倒木が多い沢を少し行くと連瀑帯が始まる。トイ状の細い滝がうねうねと白い蛇のように続いている。 とても登れそうにはないので捲くことにするがかなりの大高捲きでルートファインディングも難しい。右岸から全ての滝をまとめて捲いたが踏み跡もなくかなりの時間を要した。
 小滝をいくつか越え水が枯れると更に倒木が多くなり沢通しに進むのが嫌になってくるので左の尾根に上がって獣道を拾って稜線を目指す。稜線が近付くと獣道にしてはやけにはっきりと踏まれたような道にも見えるような所に出た。登山道は稜線の反対側に付いているはずなので登山道ではないはず。GPSで現在地を確認後に稜線を乗越して笹薮を漕いで下ると登山道に降りることができた。
トイ状の滝が続く連瀑帯  登山道を下り狼平まではわずかの距離だった。狼谷を下るべく笹薮を少し漕いで行くと沢形が現れる。狼谷は二俣近くまで枯沢で尾根の斜面から湧き出る水が流れを作るようになると直に左から1本合流して二俣となる。水が流れるようになった狼谷を更に下ると少しで荒沢谷に合流する。
 狼谷出合の下はゴルジュで水線通しには下れないので右岸から捲く。踏み跡などはないが荒沢谷の上流側から登ってみると古いフィックスがあったのでこれで降りようと引っ張ってみたら結ばれていた木の枝が折れてしまったので懸垂で降りることにする。30m1本で降りてみたが下まで届かず途中まで登り返して左をみると捨て縄がかかっている木があったのでそこからロープ2本で下まで降りることができた。よく見るとあちこちに古いフィックスがありルートは定まっていないようだ。
 菅ノ平手前辺りからは右岸にしっかりした踏み跡が続いていて荒沢橋までほとんど沢へ降りることなく行くことができた。時々見失うこともあるがよく探せば見つかる。赤テープも沢山付いている。この踏み跡は何のために付けたものかは判らない。菅ノ平は平坦で100人でも泊まれるくらいに広い。
 荒沢橋で沢装備を解いて大滝温泉の営業時間に間に合わせるべく早足で歩くが往路と5分くらいしか違わなかった。

〈コースタイム〉
【7月30日】 鮫沢橋(8:30) → 荒沢橋(9:50) → 大洞川堰堤下(9:00~9:30) → 栂ノ沢出合(13:30~13:50) → 幕場(15:45)
【7月31日】 幕場(7:00) → 連瀑帯終了(8:40~8:50) → 二俣(9:15) → 稜線(10:45) → 狼平(11:50) → 狼沢出合(14:45) → 荒沢橋(17:45~18:00) → 鮫沢橋(18:55)

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